2013年3月31日(日)

イラン旅行記アップしまちた→→→

こんにちは。基本的に生活ぶりにも精神状態にも大きな変化はないミキです。変わったことといえば、このところ株のヤマ勘が当たりすぎてちょっと気味悪いことくらいです。

いや、株式投資って、色々と分析を重ねて銘柄を選択したり売買のタイミングを計る、一種の推理ゲームなんですけどね。なんとなく開いた経済誌でたまたま目に飛び込んできたとか、ツイッターで見て妙に気になったとかで、これまで存在すら知らなかったベンチャー企業の株を何度か買ってみたら、次の日に大材料が出てストップ高……ってぴったしカンカン(死語)なパターンが連続3回。ひょっとして父が「儲けて妹たちにも分けてやれよ」と霊界通信してきてるんじゃないか?とオカルト想像するほど。

とはいえ、勘ではなくて推理を重ねて売買した方がもう、髪の毛が抜けるほどダメダメすぎて(特に川崎汽船な!たったの2週間で年収分損させられて、コンテナ船まで破壊したくなるレベル)、もうアカン!これ以上精神がもたん!と失敗銘柄を損切りしてるから、現時点ではプラマイゼロって感じなんですけどね……。

まあ株だのFXだのをいじっている間は家族に対する悲しみを忘れられるもんで、疲弊した精神をさらにムチ打つ方式でがんばってます。YES!THIS・IS・SPARTA!!!(映画『スリーハンドレッド』のレオニダス王の声でお読み下さい)

駅で陸自がリクルートしていたよ。

よくできた語呂合わせだ。思わずオバちゃんも「うちの息子が入学希望なんです!」と電話しそうになったわ。いや、息子四つ足だけどな。

ここまで力強いネーミングをするならば、どたぬきの股間にも力強くどきんたまを描いていただきたい。

おちりふかふか〜。そこにしびれるいやされるぅ〜(=´ω`=)

ペット市場が2兆円規模にまで成長した現在、ペットショップのおもちゃも百花繚乱。イヌのみならずヒトも喜ぶ商品づくりが求められる中、ペット業界は飼い主の財布のひもをゆるめさせようとあの手この手を尽くしてくる。

そんな中でも笑っちゃうのが「食べ物デザイン」。たしかに玄関のドアを開けると犬が三色だんごをくわえて迎えに出てきたら、間抜けすぎて多少の悩みは吹き飛ぶというものだ。

なにか食べてるヘボピーの手元をうらやましげに見上げている。

それにしても四角い。そして遊園地にあるトコトコ歩くパンダの乗り物そっくりだ。トコトコ。

2013年3月27日(水)

なんつーかもう精神的に疲労困憊で、どこから夢でどこから現実か見失いがちな毎日です……。
ぶっちゃけるとアルツハイマー発病9年目の母が色々まずいので(アルツは発病から余命10年がおおよその限界らしい)、息のあるうちに会っとこうと焦燥感に肩を押されて3日に一回隣島にあるホームまで往復5時間かけて面会に行ってたら、なんぼヒバリやスズメがさえずる田んぼ道に癒されようとも、さすがに体力的にキツいです。

そんなところへもってきて大好きな叔母も入院と、ストレスの波状攻撃。おお!エリ!エリ!ラマ・サバクタニ!(神よ、神よ、なぜ我を見捨てたもうや)
まあ昨日母の担当医から話を聞くと、まだ急にどうこういう状態ではないと言われたので500グラムほど肩の荷を下ろしたんですけどね。

GWは引きこもりの末妹も連れて姉妹三人でインドに行くし、年末には定期預金を解約してウユニ塩湖に行くんだから、お母さんあと10年ほどがんばってよ〜!

そんな管理人に友人のヒゲ乙女・M君が送ってくれた写真。「ミッヒ・ハーネマンってこの人ですか?(違)」というタイトルのメールを見て、ドキドキしながら添付ファイルを開いたら、M!ぶっころ……いや、とっても癒されたわぁ〜(=´ω`=)→→→

とあるゲイ写真集より。ローマぜったいこんなんちゃう!

だからローマこんなんちゃうねん!

あ、これはちょっとローマかも……。

阿含の星まつりも変わりましたなー。腐女子を意識してるのか?

マヤちゃんの大好きスポット・あわじぼくじょうにて。いるのは牛と馬ばかり、プレイスポットといえば「乳しぼり」「乳のませ」「チーズ作り」しかない施設に、野郎5人でなにしに来てんだか。

……でもなんだかとっても楽しそう!

いや、ホンマ楽しそうですね!

マンションの階段に愛犬を立たせて必死で「可愛い写真」を撮ろうと涙ぐましい努力をする飼い主。30メーターほど離れてるのに犬が見事にこっち目線。

あわじぼくじょうに行く車内のマヤちゃん。興奮しすぎてワケわからんようになってます。

これはなんという虫ですか?

ちょっと落ち着いたら急激に眠気に襲われて、管理人のひざによだれをたらしてまどろんでいます。

あわじぼくじょうでみるくをがぶのみするのがぼくのさいきんのぶーむなんだ。

2013年3月19日(火)

窓から燦々と日光が降り注ぐ朝。窓の外は黄砂と花粉とPM2.5が乱舞する素敵なお天気。一方、私の心には本日も漬け物石が乗っかっている。

悲しい夢で夜明け前に目が覚めたからそのまま起きてきて、閉場間際のニューヨーク市場にて、すべり込みセーフでドル円のポジションを精算してから、本などをこつこつとヤフオクに出品していた。
今の家を売ることを考え始めたので、少しづつ持ち物を減らしているんだけど、ヤフオク出品ってめんどくさくて泣けてくる……。

古代エジプトと神秘学と中世美術史、ノンセンス文学とタルコフスキー。フィリップ・K・ディックと諸星大二郎とスコットピルグリム。ヘルムート・ニュートンのファッション写真集とメープルソープのSM写真。ゴルチェの洋服とバカラの花瓶とトルコの食器。

無茶苦茶なラインナップのようだが、見る人がこれら「出品中の商品一覧」に加えて「落札済みの商品」を見れば、出品者がどんなタイプかなんとなく分かるというのは、なにも私に限ったことじゃないだろう。

出品ラインナップの中に、大事なものが入ってないことに気付いた方もおられるかもしれない。そう、裸男写真集──上品に言えばメールヌードフォトグラフィーコレクターの私は、もちろんそっち系の本も出している。

だが、自分で何をやってんのか記憶が飛ぶ事がしばしばだった昨年末、ぞっとするような発送ミスをしかけたので、それ以降はセキュリティーのためにエロウィークと一般ウィーク、一週間交代で分けて出品するようにしたのだ。

そうこうするうちにラーを乗せた太陽の船は西へと移動し、知らないうちに出勤時刻が迫っていた。

商品の写真を撮ってパソコンに転送して、それをフォトショで加工して、本のISBNナンバーとか発行年を調べて重さと送料を計り、他の店でいくらくらいで売られているのか調査してから値段を決めて、そうしてやっと紹介文を書いて出品……と、5時からコツコツやってんのに10品も出せなかったやん……。

あーあ、ここまでしても本ってぜんぜん売れないのよね。特に古代エジプト関連がダメなんだ。
映画やアート系写真ほど裾野が広くないから、初心者向けにしろ学術書にしろ、好きな人はもう持ってるんだろう。あんまり売れないもんだから、いっそまとめてエジプト好きの人に寄付しようかと思いはじめたわ。

それではぼちぼち出社します。このところ投資が調子いいのがせめてもの慰め。調子こいてプラス分をぜんぶ吐き出した上にマイナス○百万とかにならないように、「欲張らない」と呪文のように唱えつつ、パターで小さくあててて行くイメージを心がけます。

あーあ、今日もしんどいなぁ、とブルーな気持で届いたばかりの某ゲイ雑誌をばらぱら開いたら、コラムニスト兼モデルのDANIEL GARAFALI氏へのインタビュー記事ページで手が止まり、急激に楽しい気分になった。

あらあら〜!あどけない赤ちゃんが成長してこんなにセクスィーなパンいち男子に……。こういういいもん見られるんだから、人生まだまだ捨てたもんじゃねえ。

2013年3月14日(木)

エッセンシャルキューティクルケアのCM、「キューティクルがだだ漏れ」って、キレイでおされなイメージ重視のヘアケア用品に「だだ漏れ」はないんじゃないか?だだ漏れは。

体調が悪い。相変わらず悪い。
脳神経外科で14億円の地獄のそりに乗ったお陰で、手のしびれも握力低下も足のもつれも言語障害も、どれもこれも脳味噌のできものに由来するものではないと分かって胸をなでおろしたのもつかの間、ファーザーロスと更年期障害によるうつは、はいそうですかと霧散してくれるものではないみたい。

ぶっちゃけるともう毎日キツくてキツくて、一週間のうち4日間は生きていることを恨むほどしんどい。ここを更新しようとするものの、書けばぜんぶネガティブトークになっちゃうものでためらってしまう。
それに、一人で自宅にいると落ち着けないから、このところずっと非ネット環境の実家にいるんだ。よって自分ちの先月の電気代、950円……。

最近では父の不在の辛さに加えて、1,2年以内には訪れる母との、そしてどんなに長生きしても5年以内には訪れるマヤとのお別れが怖くてたまらなくて、うつが加速するSoooooo Baaaadな状態だ。

この世に残ったただふたつの守るべきものが去った時、果たして自分の精神は耐えられるんだろうか?という恐怖が、考えても無駄だから考えちゃダメだと思っても頭に張り付いて離れない。

そんな中でふと思い出したことがある。
10年前、最愛の犬イリが死んで精神的に地を這いずっていた時、なんらかの道を示して欲しくて占いを頼んだ時のこと。(普段は占いには行かないけど、この時とあと、愛犬ナチが失踪した時の二回だけは見てもらったんだ)

その時に、あなたは50才以降に強く「宗教の相」が出ていますと言われたのだ。
当時はえーっ?それはないわ〜!自分で教祖にでもなるんか?と苦笑するばかりだったけれど、辛さにめげそうな今、何らかの宗教に帰依していれば、気持的にどんなに楽だったろうと思うようになった。

いや、今でも毎朝神道の神さまに手を合わせているし、何かの節目には正式参拝して神主さんにフサフサを振ってもらう。
それでも崖っぷちの信者を手っ取り早く救ってくれるという意味では、叱られそうだけど神道というもの、ぶっちゃけ若干パンチに欠ける気がする。
お日様のように日常をぽかぽか照らしてくれるけれども、ここまで心がしんどくなると、嵐の中で「神よ、全てを捧げます!」と頼まなくちゃ見捨てられそうな、厳しい神さまへのあこがれが芽生えてきた。

だから「50才以降に強く宗教の相が出ています」という言葉がよみがえったんだ。当時はありえんわ〜!と思ったけれど、宗教は最後に取っておける手段かもしれないなぁと思うと、ちょっと気が楽かも。

まあその場合はおだやかな神道や仏教ではなくて、より自分を差し出す感が強いキリスト教かイスラム教を選択するかねえとか色々考えていると、ふとよみがえったのは、戸川純の歌『赤い花の満開の下』。

かつて一人だったように 別れてまた一人になった 
晴れた空あおいで気付く 思ってたよりわたし丈夫そう

本当に優しい人だった 別れても大好きなままだろう 
青い空 雨上がりの雲 結局わたし長生きしそう

話しかけてくる木々よ 花よ あれは赤い花 赤い花 孤独じゃない 

ともだちもいるし 親きょうだいもいるし 
いざとなった時は 神さまもいるし

そうだよね、辛い辛いと言いながらも仕事したりスズメに米をまいたり、マヤと朝日を見に行ったりできてる私もけっこう丈夫かも。いざとなった時には神さまもいるし。そう思って今日もがんばろう。

そうそう、おとといふと気になってたまたま買ったら、すぐにすごい材料が出てストップ高になったジャパン・ティッシュ・エンジニアリング株がどう動いてくれるかも楽しみだ。

きっと今日もストップ高……と思ってたら、市場が開いてソッコーストップ安で、おお!神よ救いたまえ!と叫ぶなり、いきなりどっかに入信する羽目にならないことを、切に祈る。

←いいのか?その芸名で?!

2013年3月8日(金)

一週間のご無沙汰です。インド記事更新しました→

2013年3月2日(土)

臨床最高位機種 フィリップス・アチーバ 3.0T X
言っちゃ悪いがせっかく写真撮るなら後ろの棚、片づけた方がよくないか?

脳卒中を中心に脳・脊髄疾患の診 断に必要不可欠なMRIは、現行臨床機としては最高位の超高磁場3.0T(3.0テスラ)装置を導入しました。
MRIとは磁力(磁場)により体内を画像化 する医療機器であり、磁場強度と共に成長を遂げています。磁場強度はテスラ(T)で表記しますが、1985年MRIの臨床応用が開始された時には0.5T でした。その後徐々に高磁場装置へ移行し、現在では1.5T装置が中心となっています。

数年前より大規模病院・研究機関を中心に3.0Tの超高磁場装置の 普及が始まりつつあります。磁場強度が2倍になれば体内からの信号強度が2倍高くなり、3.0T装置は1.5T装置に比べて2倍画質が高いと言えます。
1.5Tと同じ画質の検査をするのであれば、3.0Tでは半分の時間で可能となります。そこで3.0Tでは検査時間を短くした検査や画質を2倍にした超高分解能検査を行うことが可能です。<K脳神経外科クリニックHPより>

私がこのたび突っ込まれた、もといお世話になったマシンがこれ。
臨床応用が開始された1985 年当時の0.5テスラに比べると、磁場強度は6倍。検査時間が短くて済むのはいいけれど、人体にはホンマに無害なんか?という質問を発しても、もう手遅れだから聞かないでおこう。

このMRIっておいくらくらい?と奥様根性で調べたところ、ぎょへー!!定価14億円(税別)。せいぜい4,5億?という予想のはるか上をいっていた。

なお、六本木ヒルズ森タワーの分譲棟で一番お高い部屋が15億円らしい。高級マンションに近い価格の機器に頭を突っ込んでたとは……。それでも払った診療費は三割負担で9千円弱と考えると、ちょっぴり得した気がしないでもない。

病院経営ってお金がかかるのねぇ。医師免許を取ったはいいけれど、元手がなくて開院できないドクターが多いって現実がしみじみきたわぁ……。
いやそれより、K脳神経外科クリニックののび太みたいな院長先生(推定41才)!個人病院に14億円の検査機器を入れられるだなんて、実家はどんな金持ちなのよおっ!!(嫉妬)


脳の検査に行ってきた。水をかけられた虫みたいに弱ってるので、報告が済んだら実家に戻ってとっとと横にならせて頂きたい。

下の日記で「CTスキャン」と書きちらかしてるけど、実際に使用された機器はMRIだったわ……。MRIって名前だけは聞いたことあるけど、正体すらよく分かってなかった機械オンチですいません。

みなさまの中にもMRI検査を受けたことのある方はいらっしゃるだろう。
しかし、びびるあまり会社で手当たり次第に「MRIしたことある?」とインタビューした結果、私と同年輩はおろか、50代60代ですら受けたことのない人が多かったので、レントゲンやCTスキャンやエコーほどには一般的じゃないのかも。 (とはいえPET検査よりは普及してるみたい)

なぜ私はMRI検査をこれほどまでに怖がるのか?
その理由は「放射線を浴びたライオンが怪物化する」(サイボーグ009)とか「宇宙線を浴びた宇宙飛行士が怪物化する」(ウルトラマン)といった70年代SFネタに親しんで育ったせいか、目に見えない波長に対する、なんとも言いしれぬ嫌悪を今なおぬぐい去れないからである。

それに最近でも、米国の携帯電話会社・モトローラで電磁波とDNA損傷の関連性を研究してた博士が「携帯電話が発する電磁波は脳に悪影響を与えるので、耳にあてての通話はできるだけ短時間で!」とうっかり発言して会社を辞任してたしな……。

そういうわけで私は携帯電話での通話はできるだけ短時間で済ませるし、電気毛布も足以外には使わない。電子レンジもあたため中には周囲から離れる。
そんな私の顔は引きつっていたのだろう、検査前、安心させようと看護士さんが発した言葉がこれ。
「MRIっておっきな磁石みたいなものですから」

おおお!おっきな磁石?!!3.0テスラで脳が汚されるううううう!!!

それでもかろうじて逃げ帰らなかったのは、同僚や友人たちに力強く励まされたからだ。
「電磁波を浴びるリスクを取るか、脳梗塞で倒れるリスクを取るかどっちかだよね!」と。いやごもっとも……。


天日干ししたハクサイよりしなびた私は、肩を落としてクリニックの待合室で待っていた。

脳神経外科なんて特殊な病院、患者はせいぜい2,3人だろうと思ってたら驚いた。来るわ来るわ、親に手を引かれたいたいけな少女から、車椅子に乗った老人までが続々と。
まあ禁煙治療や動脈硬化の検査もやってるみたいだから、みんながみんな脳味噌トラブルではなかろうが、MRI室は常に絶賛稼働中。あの調子だと14億円の回収は案外早いのかもしれない。

さて、検査の順番が回ってきた私に問うた看護士さん。「音に神経質ですか?」
ええ!ええ!発情期の野良猫のケンカどころか、蛇口から水がぽたぽた垂れる音だけでも寝られなくなるくらい神経質ですっ!……とまでは言わなかったものの、力なくうなづくと耳栓を渡された。

それはアマガエル色のアメリカ製耳栓。おおざっぱなつくりで遮音性においてイマイチ信頼できそうにない。耳に入れたらどうやってもすきまができるから、ますます不安になった。


金属部分があるからブラジャーをはずして、「磁場発生中」とのサインのついた部屋へと入り、「それでは横になってください」と言われてベッドに寝ようとしたら「靴を脱いでください」と冷たくいさめられた。思考能力がかなり低下しているようだ……。

アマガエル色の耳栓を装着、さらにその上からごていねいにヘッドホンをつけた後、「検査は10分から15分で済みます。気分が悪くなったら押してください」と渡されたスイッチを握りしめ、ぐいーんとベッドが動き出した。

頭はMRIのわっか部分に吸い込まれたのだろうが、目を固く閉じているから何も見えない。ただ、ヘッドホンから♪ポロンポロンと生ぬるいクラシック音楽が聞こえるのみ……。

……と思っていたら、「それでは始めます」との台詞の数秒後に、耳栓も♪ポロンポロンもなんの意味もなさない強烈な音が響き渡った。

耳から聞こえているというよりも、脳に直接打ち付けてくるようなその音を、はじめのうちこそ「サイト用にどうやって言語化しようかな」と考えたものの、あまりにもの気持ち悪さに15秒でギブアップ!

よく覚えてないけどバラエティーに富んでいて、

ブイーン ブイーン ガガガガガガ カーン カーン ビビビビビビビビビビ 
グイーン グイーン ブーブーブーブー ギュギュギュ カーン カーン

……あかん、動悸がしてきたからこれ以上思い出すのはよしておく。

なんと表現すればいいのだろう、「あ、今脳味噌を輪切りにスキャンされてるな」って感じ。『トータル・リコール』を連想したまではよかったものの、『ジョジョの奇妙な冒険』の5部で生きたまま輪切りにされたソルベのことを思い出したら、さらに気持が悪くなった。

検査時間は10分だったのかそれとも15分だったのか。

はじめのうちは「うへへへ〜ネタ〜(・∀・)」と精一杯ポジティブに楽しもうとしていたのが、だんだん「もうアカン……もうアカン……もうアカン……」と冷や汗ぐっしょりの手でスイッチを握りしめ、それが「生と死の境界線上にあるってこんな感じなのかな……」と変化して、やがて「私は無だ、無だ」と言い聞かせて全ての感覚を手放そうとしてると、ようやく終わった……。全身の力が抜けていた。

看護士さんに「大丈夫ですかぁ?」と訊かれても、「キツかったですねえ……」と震える声で答えるのが精一杯。「下着をおつけになってくださいね」と言われても、「上着がぶ厚いからいいです……」とブラジャーをする元気すらなかった。

♪シャン シャン シャン シャン♪

背筋がゾクゾクする不愉快な音を立てながら、私を見下ろすフィリップス・アチーバ 3.0T X(14億円)。
その待機音がサンタクロースのそりの音に聞こえたものだから、心の中で命名した。患者を生死の境へと導く「地獄のそり」と……。


さて、数十分後にプリントアウトされた脳と血管の画像には異常なし。手のふるえも足のもつれも握力の低下も発声のつまりも、どうやら全てうつのせいだったみたいだ。
初めて目にした己の脳は、小さく白くつつましやかで、自分の脳味噌だというのになんだかある種の聖性を帯びて見え、抱きしめたくなるほど愛しくなった。

豆腐みたいに柔らかいあんな頼りない固まりに、私の全てが詰まっているなんて!
私の思想も喜怒哀楽もすべての記憶も、それどころか体のあらゆる部分を動かしているのが、クルミみたいなしわの入ったこれなんだと思うと、生命の不思議さを心の底から感じて、これまでの鬱々した気分がちょっと晴れた気分になった。


そんなこんなで脳の検査は無事終了。緊張しすぎて全身が筋肉痛。マッサージの予約を入れたところだ。

捕虜の口を割らせる方法に「ホワイトノイズ」というのがあるとミリタリー本で読んだことがある。縛った捕虜の耳元で延々と雑音を聞かせると、たいてい神経をやられてあっさり吐くらしいのだが、「そりゃー吐くわな」と心から納得するほどに、音に神経質な人間にとってはストレスフルな検査だった。

今でもあの音を思い出すだけで変な汗をかいてくるので、みんながみんなに「一度MRIやるといいよ!」とは言えはしない。
けれど「自分の脳を外から見る」ことは、脳の異常を早期発見できるだけではなく、私みたいに精神的に行き詰まった時には己を客観視するきっかけになっていいかもしれない。
まあ、「電磁波を浴びるリスクを取るか、脳梗塞で倒れるリスクを取るかどっちかだよね!」ではあるけどね……。

それにしても検査を受けてからこちら、株式の勘がすごく当たるんですけど、ひょっとして電磁波の影響でミュータント化した?……ってさすがにそれはない。