どすこい!パキスタン行軍記 〜北京〜 by ヘボピー (写真とキャプション:ミキナチ)


「アサーっ!」(by谷岡ヤスジ)

「げっ、もう朝?」

4月28日土曜日、パキスタンへ出発の日。でも、荷造りはまだ終わっていない!

今回の旅行は日本から添乗員同行のツアーなので緊張感ゼロ。
だって、赤ちゃんのように添乗員さんに身を委ねていれば、パキスタンまで連れて行ってくれるんだモン!

今までのような個人旅行だと、自分達で航空券を手配したり(姉が)、ホテルを予約したり(姉が)、トラブルが起こった時は自力で対処しないといけなかったりするから(姉が)、おのずと心構えも違ってこようというもの。

フセインみたいなルックスのわからず屋さんのエジプトおやじやイランおやじと、姉が激しくやりあっているとき私は何をしているかというと、「姉に 同意しますよ!」とばかりにコクコクうなずいてみたり、交渉成立とみるや「アンタが大将!」とおやじにまぶしい笑顔を投げかけるなど、小粋なパントマイムを繰り出して援護射撃をしている。
実は、消火活動中の消防士の横で、炎に向かって水鉄砲を放つのと同じくらい役に立ってないらしいけどね……。

私達は関空に着くなり早速ビールで小宴会を開始。
なんといっても行く先はアルコールご法度のイスラム国。「今のうちに飲んどかなきゃ!」という焦燥感がハートに火をつける!

関空のそこかしこに畳みかけるように貼られていたポスター。

これを目にしてにわかに不安を覚えた旅人たちが「アタシ便秘だけど念のため……」と、薬局に駆け込む姿が目に浮かぶ。


さて、パキスタンへの飛行機はパキスタン航空などから直行便が週に何便かでているものの、すべて成田発。
我々関西組はまず関空から北京へ行き、そこで関東組と合流。それから国内線に乗り換えてウイグルへ行き、一泊して翌朝パキスタンへ飛ぶという行程。

日本人と中国人をみっちり詰め込んだ飛行機は13時50分に関空を出発。3時間ちょいで北京首都国際空港T3ターミナルにとうちゃ〜く。
2008年のオリンピックに向けて完成したT3ターミナルは広大で近代的で、中国の自信の程が伺える。

ビールを飲みに入ったレストランの店員も掃除のおばちゃんも愛想がよくて、中国にもサービスという概念が定着してきたんだなぁという感じ。
トイレには「本日の掃除担当者」の顔写真や、「私達はきれいなトイレを目指します!」といった、オープンキャンパスの広告ばりの爽やかさを強調したポスターが貼ってあった。

そういう風にサービス向上に努める一方で、国内線に乗り換えるために、スーツケースを一旦受け取ってまた預け直させたり、何度ものボディ&手荷物チェック、セキュリテイ係の高圧的な態度とかが、せっかくの努力を水の泡にしてるっちゅーの!


一生訪れるつもりのなかった中国に、よもやパキスタン行きのトランジットで足を踏み入れることになろうとは……。

上空から見た北京には高層マンションが林立しており、 経済誌でしか知らなかった「中国の不動産バブル」がリアルに迫ってきた。

だが、膨らみきった風船はいつかしぼむもの。ハードランディングなバブル崩壊で、世界恐慌を引き起こすことだけは、私の老後のためにも避けて頂きたい。

北京空港は竹をイメージした天井にリキが入った近代的なつくり。

イミグレーションで明滅する電光掲示板の「熱烈歓迎」「WELCOME TO CHINA」という文字を眺めていると、もうあとには引けない感に心拍数が上がってくる。

まあここでは石仮面並に無表情な入国管理官にパスポートを差し出して、北京<入>というスタンプをペタンと押してもらうだけなんだけどね。

ウイング間を結ぶモノレール?の文房具っぽいつり革。「がんばれロボコン」のロボコンの手みたいだ。

ギューギューの車内で中国語のシャワーを浴びていると、ヘボピーがそっと耳打ちしてきた。
「なんか『敵のふところに入り込んだ!』って感じがするよね!」
うん、おねえちゃんもそう思ってたよ……。

動体視力と反射神経を試される手荷物レーン。ありえないスピードで回っている。

ヘボが文中で書いている通り、国内線に乗り換える際にもここでいったん荷物を引き取ってから、またしてもX線検査にかけ、またまたカウンターに並んで荷物を預け直さねばならない。

ツアコンいわく「全く何の意味もない検査」なのだが、決定権は相手さんにあるので、我々は羊の群れのように従うのみ。

パキスタン入りすると酒が飲めないからと、空港のカフェで飲んだビールはぬるくて高かった(小ビン250円くらい)。

一方、我々の隣の席では、玄人っぽいアンちゃんたちが真剣きわまりない顔でカードゲーム中。

オッサン組だけではない。見渡せばあっちでもこっちでも、時間とテーブルさえあれば皆カードに興じているではないか。

寸暇を惜しんでゲームに精を出し、「アイヤー!」とか叫んでる人々を目の当たりにして、自分もまだまだ大丈夫!(賭け事好きな意味で)と安堵した。

手っ取り早く現世利益を求める向きには、開運オブジェ(約2千円)がおすすめ。

「金持ちになりたいーっ!」という切実な願いがダイレクトに神様に伝わりそうな造形だが、こいつらのくわえている金貨もどきが、ロック製菓のコインチョコにしか見えないのが惜しい。

「ミャー」って鳴いてるっぽいけどネコじゃないどー!(約3500 円)

MIND・YOUR・STEP 迷える子羊たちのためのトイレガイド。

ドアの鍵をしめてから気持ちよく排泄を!
そりゃードア全開でしゃがんでる人と、目が会ったらきまり悪いわよね。

空港内の喫煙禁止を訴えかける、メルヒェンなポスター。

人差し指を立てて「ノー!ノー!」って感じで振っていると気づくまで、こいつらは「カンチョーしちゃうから」のポーズを決めてるんだど思いこんでいた。

愛児を飾り立てたい親心はいずこも同じ。空港内でちょくちょく見かけたティアラ付きヴェール。流行ってるのか?

シンプルなTシャツを持ってくることによって、ややもすればやりすぎになってしまうヘッドドレスのゴージャスさを巧く中和していますね!w

主を欠いて閑散とした、空港内のお子さまパラダイス。

グッゲンハイム美術館に収蔵されてそうな前衛的クマさんオブジェも、遊んでくれる子供がいなくて寂しそう。

誇り高い感じでまたがってみました。せすじ・ピーン!!

中国で大ヒットを飛ばしている国産アニメ・喜羊羊のキャラ。ドラえもんだってしんちゃんだって目じゃないぞ!

完璧に形がそろった果物が、完璧にクリーンな感じでビニール包装されて並んでいると、なんか買いづらいものがあるんだよね。

めんどくさがりやさんはお金を払うとこれで空港内を移動できる。
携帯電話に向かって機関銃のようにまくし立てるオヤジが乗ってたけど、そんだけ忙しいなら歩いた方が早いような……。

ウルムチ行きの国内線に乗り換える検査所の前で、観光旅行帰りらしきピンクのおばちゃん軍団に遭遇。

色合いは微妙に違ってるけど、なぜピンク。「ピンクはホイチョイ村の仲良しのしるしよ!」って感じなのかな。

検査に並ぶオバちゃんをえぐり込むように盗撮するべしっ!

だがゴールドのカメラは目立ちすぎてドキドキ。派手なボディカラーは盗撮に向かないと痛感した。次に買うならつや消しのガンメタにしよう……。

頭の先から足先まで、情け容赦なくボディチェックする検査官。

黒づくめの制服がえーやんと思った自分はその瞬間、中国に負けた……。
「男がみんな短髪でカッコいい!」と喜んでたヘボピー、おまえも負けだ。

ウイグル行きの飛行機が飛び立つのは北京空港の端っこのウイング。人もまばらでお店もヒマそー。
そのせいだろうか、もう一発ビールを飲んだカフェのねーちゃんは、惚れそうになるほど愛想がよかった。

だが愛嬌と料理は別物。おそろしく食欲をそそらないドンブリだ。

<ウルムチ編につづく>