2019年9月26日(木)

用事がちっとも片づかない。気持ちだけはスキージャンプ選手並みに前のめりなのだが、加齢で頭と体がついてこない。
さっき考えていたことが椅子から立ち上がった瞬間に頭から消え失せる。握力低下でつかんだものを取り落とし、指先は震えて細かい作業がストレスフル。目がおかしいのは手術の影響だから仕方がないとはいえ、50代でこんなにポンコツになるなんて聞いてないよお!人生の先輩方、もっと早く「還暦から老人?甘い甘い!老いは50過ぎから来るんだぜ」っってことを教えといてくれよお!

……と旧式Macのモニタにぼやいても仕方がない。考えてみればこのMacもいつ逝去してもおかしくないご老人。HDの立てる音が最近心なしか大きくなって、いつドゥームスデイが来るかとヒヤヒヤものだ。修理に出す手もあるものの、このマシンを組んでくれたMac尊師も天上のアップルパラダイスに引っ越しなさったことだし、化石に延命措置をほどこすのもいかがなものか。

ではどのMacを購入するか。iMacそれともMac book Airをもう一台?それを外付けモニタに接続してクラムシェルモードで使用する?その際にはメモリ増設した方がいいの?
いやその前にiPhoneの方が先でしょう。安い楽天回線も残したいからandroidも機種変更しなくては。このホームページを作っているソフトも古すぎるから、レンタルホームページを借りてサイトをお引っ越しさせなくては。

消費税をアップしてもろくなことに使われない予感がするせいで、消費税は可能な限り払いたくない、という意地だけで「9月中に大物は全て購入する」と決めたものの、仕事と犬の介護をしながらでは時間が絶望的に足りやしない。昨夜なんかMac本体どころかMacをつなぐための無線LANを買い換えるために、帰宅後〜就寝までの貴重な3時間を費やしてしまった。価格comやAmazonのレビューを見れば見るほど混乱してくるんだよお!(咆哮)

増税前にできるだけポイントがたくさん付くところでお得に買いたい。でも考えることは皆同じ。無理矢理作った時間で店を走り回ってもどこも混んでおり、お得な機種は売り切れだ。午前中には黄色だけ残っていたシャープのお得なandroid機が「黄色はなあ……。」と思っている間に売り切れて頭をかきむしったりと、精神的にもよろしくない。

残された時間はあと5日。その間にヤマダ電機とビッグカメラとAPPLE STOREと楽天モバイルとauを回って選択&契約をせねばならぬ。もうええやん2%余分に払っても。お前はよくやった。森に帰ろう……とささやく声を払いのけつつ、今日も目を血走らせてレビューサイトを凝視している。

店はいわばオーナーの子供。その子供にこんな変ちくりんな店名とキャラクターをくっつけるとは、店主も個性派なのだろうか。
でも「変」で人の興味を引く作戦は成功していると見えて、この店、私の若い頃から潰れず営業してるんだよね。

2019年9月20日(金)

消費税アップまで残すところ一ヶ月を切ったあたりから猛然と駆け込み消費をしているせいで、まったく落ち着く暇がない。仕事の合間に電気屋を見て回り、ネットで情報を集め、店に問い合わせ電話をかけていると、もう何がなにやら。

……というのは、これまで「インターネットに侵されない環境をひとつくらい残しておこう。ネットがあると本を読まなくなるしね!」とノンネットだったマヤハウスに、この期に及んでネット回線を引いたものだから、パソコン環境を一から整える必要があるのだ。
その上ヘボピーがAndroidからiPhone11に変えるとのことで、その手伝いに手が掛かり、ついでに自分も使用中の楽天モバイルを機種変更、auのガラケーはスマホに変更、と作業が山積み。

おまけに市のパソコン無料回収(家まで佐川さんが回収に来てくれるのだ)が今月いっぱいとあって、部屋の隅でうっちゃってあったノートパソコン4台──水をかけて壊した Mac book1台、Windows XPマシン2台、Windows10にアップグレードできない7搭載マシン1台──の初期化の作業をしなくてはならないのだが、これが思うようにいかず、頭をかきむしりすぎて足下には抜け毛の山ができている。

そういうわけでどうしようもなく慌ててます。消費税アップ後は深海にもぐって消費活動を控えるので、あと少しの間はクレジットカードを切って切って切りまくる毎日である。

なぜか突然「ムー」ブームのミキ家。部屋のあちこちに図書館で借りてきた怪しい表紙の雑誌が散らばっている。
なんたって私もヘボピーもノストラダムスの大予言世代だしね!

2019年9月12日(木)

今日はY君の三回忌だ。あれからまだ2年しか経っていないことに気付き、時間の流れは思っているよりゆったりとしていることに驚いている。

2年前の今日、午後13時15分頃、彼は急逝心筋梗塞であっという間にあちら側へ渡っていった。
娘さんからの又聞きなのだが、遅い夏休みを実家で過ごすべく東京から関西に車を走らせる最中、突然猛烈な胸の痛みに襲われたYは、それでも懸命に高速道路を降り、駆け込んだ病院の待合室、記入した問診票をカウンターに出そうとした時に昏倒。医師の懸命の蘇生術の甲斐なく、享年62才で旅立った。

病院の看護士さんとお医者さんしか目にしていない最後について「Y君らしいよね」と彼を知る人達は口々に言う。
それはそうだ。もし高速道路で突然車が止まっていたら多重事故になりかねなかったのだし、心筋梗塞に襲われたのは不孝とはいえ、医師の目の前で倒れたのは、ある面では「プロの蘇生ケアを受けられた」という意味で後悔は少な目かもしれない。

そうだ、考えれば考えるほどYの人生は「後悔はあまりないのでは」と思えてくる。とんでもなく豊かで楽しい一生。B’zで言うところの♪後悔は少なめのMy Life♪だったろう。

若い頃は借金を作ってヤクザまがいの組織の世話になったり、自分で商売を立ち上げて潰したり、借金返済のために佐川でドライバーとして働き、過労のために腎臓病に冒されたり、離婚したり失職したりまた離婚したり、リクルートされて上京した先の会社が経営不振で潰れたり……と、大変な時期もあっただろうが、年を取るにつれてそれまでに築いた信頼の樹が大きく育って花を咲かせ、イギリスでステージをぶてるまでになっていた。他界する前年などは、少年の頃から憧れていた誰でも知っているスーパースターとステージで歌うチャンスまで得られたと聞く。

中年以降、手術や入院という負の経験もしたものの、再婚した奥様との間に息子さんができ、前の奥様との間の娘さんは何人もの孫まで見せてくれて、「家庭人」としても充実していたことだろう。私は彼と別れずあのまま一緒にいれば、どんな未来が待っていただろう?と想像することもあるが、彼はこの世で「家族人としての役割を果たす」べきだった気もするから、これでよかった。

Yの最後を思い描くと、「あーっ!面白かった!」と笑う顔が目に浮かぶ。濃密な人生。唐突すぎる他界でみんなを驚き悲しませたけれど、誰もが同じように思っていることだろう。

本当にいい人だった。お世辞にもイケメンではなかったけれど、誰にでも笑顔をもたらす、素敵としかいいようのない男だった。彼のキャラクターならきっとどこでもやっていける。神さまに愛されすぎて、天国から出られないかもしれない。
そして私は流れ星のようにあっという間に消え去る今生において、その一部を彼を共有できた幸運に感謝する。

ありがとうジョン、またいつかどこかで会いましょう。

2019年9月5日(木)

これまでに人に言われて嬉しかったことなんかを頭の中に羅列して己を慰める今日この頃。疲れてるのかな……。小学生みたいで恥ずかしいが、どんなことが嬉しかったかちょっと紹介させていただきたい。

「最近ミキさんが仙人に見える」(by 東洋医学系友人)「ミキさんって魔女みたいだよね!」(by 「あんたらの方がよっぽど魔女や!」と言いたくなるようなバリバリ・スピリチュアル系友人たち)
「魔法の先生みたい」(by 会社の同僚)「ハリポタのスネイプ先生そっくり」(by 会社の先輩)「強そう」(by 妹の友人の潜水艦乗りによる第一印象)「ジョジョキャラで言えばリサリサ」(by 30年来の友人)「優しそう」(by 絨毯系友人)「ぜったいOLじゃない」(by 会社の同僚)

そして「んもーっ!そんなことないよ、失礼な!」と口では言いながら内心じわじわ気に入っているのは、妹ヘボピーによる「バイヨン卿以外の何者でもない」というご指摘である。

バイヨン卿とはジャンプ連載の超人気コミック「約束のネバーランド」に登場する鬼の貴族。
人を食らって生きる彼ら鬼は人間との協定に基づき、「指定農場で精算された人肉」しか口にしてはならない。だが、死肉を口にすることに飽き、食事をしても「味がしない……。」とフォークを置いてしまうバイヨン卿は、人肉農園の所有者である己が地位を利用して、秘密の狩り場で生きた子供達をハンティングするいけない遊戯に酔いしれていた……って感じのキャラ設定。

キャラデザインは一言で言うと「しゅっとしている」。長い首、綺麗に手入れされた長い髪、立ち居振る舞いは優雅で、鬼といえども「特権階級」感をバリバリに醸し出している、とにかく「しゅっとした」貴族様なのだ。

逃げまどう人間の子供達を喜々として狩るバイヨン卿は悪役だけれど、対比的に描かれる泡沫貴族のアホぼんと並び立つと、その品格は比べものにならない。
ヘボピーは私の「人生に倦んだ感じ」と外観の雰囲気がバイヨンそのものだと言うのだが、一番近い場所から長年私を見てきた家族の指摘、当たっていると自分でも思うし、確かに人生には倦んでいる。

仙人で魔女で魔法の先生で強そうで優しそうな貴族の鬼。齢50数年目にしてようやく自分のキャラ設定が固まってきた、そんな感じだ。

某オサレブランドが満を持してオファーしてきたトラ愛ファッション。100歩譲ってありえない。
だがしばらく後に見たら黄色いバッグは売れていた。タイガースファンの業は深い。

2019年9月5日(木)

やっと涼しくなったと思ったら突然夏の暑さが戻ったせいだろうか、マヤの認知症が悪化しており私もヘボピーもヘトヘトだ。

年のせいで片道1時間強の通勤だけでも厳しくなってきたところへ、介護のヘヴィ化はこたえるものだ。
家にたどり着き玄関を開けるや否や始まる部屋の掃除。普通犬は自分の排泄物は避けて歩くものだが、認知症ではそれがかなわず、ドアを開けるとそこは阿鼻叫喚ルーム。

まずは足の踏み場を確保するためにざっと掃除してからマヤの散歩とご飯。一息ついたら本格的な掃除。クッションフロアを洗い、その下に敷き詰めてある数十枚のペットシーツをチェック&交換。掃除機をかけてひとまず部屋をヒトの居住に適する状態まで戻すのだが、この時点で9時近い。

そこからシャワーを浴びて自分の食事を済ませ、何があろうと11時前には布団にもぐり込む。そうでないと深夜に幕を開ける「ミッドナイトパンティング&グルグルウォーキング大会 produced by マヤ・ザ・コッカー!」に参加する体力がもたないのだ。

昨夜のウォーキング大会はいつにも増して激しかった。寝室に置いていると自分の就寝がミッションインポッシブルになるため、犬を隣の部屋に放り出したはいいが、そこでもあっちにぶつかりドーン!こっちのものを倒してバーン!挙げ句の果ては「じしんみず」の洗面器に尻もちをついて、深夜3時に洗面所は水浸し。控えめに言って泣きそうになった。

床を拭いている間もマヤ・ザ・コッカーの熱演は止まらない。グルグル、バタバタ、バーン!ドーン!思いついたところでジャーッと放尿。さらにはそれを拭いていることを認識できないから、突進してきて手を踏みつける。

もうー!イヤッ!と深夜のリビングで(小さな声で)叫んではみたが虚しくなるばかり。「牛になってはなりません」という老犬介護の心得が頭によぎる。
そうだそうだ、犬に腹を立てても仕方がないし、寝たきりよりも徘徊の方が私的にはまだマシだから辛抱しよう。お母さんが徘徊していた時もしんどかったなあ、人も犬もボケたら同じだなあ、と壁に向かって歩き続けては後ろ向きに転倒する母の姿を思い出していた。

それにしても今夜のコンサートは熱すぎる。これはもう安定剤の出番だな……。と水薬の入ったシリンジを手に取った直後、ポテンとその場に座り込んだマヤ、秒で寝息を立て始めた。

いやもう介護って想像以上に大変だ。それでも我が家は夜泣きがないから救われている。ツイッターにあふれている、老いた愛犬に手を焼く人々の嘆きと諦観とそれを越える愛に触れながら、今日もマヤに「最後の時までできることは全部やってやるからね」と話しかけながら粗相の始末をしているのだ。

2,3年前、まだちょっとは走れた頃。ぬいぐるみ味ある。

獣医さんに「ポケモンみたいですね!」と言われたよ。

認知症のせいでわんわん美容室が引き受けてくれないから、今ではこんなにきれいな「もんも」を作れないのが残念だ。

去年はスタスタ歩けていた。
人間の約4倍のスピードで年を取る犬は、あっという間に変化する。その変化が哀しくまた愛おしいのだけれども。

2019年9月3日(火)

目の手術をする前後から夢の感触が急激にリアルになった。夢を見ている間は「私は眠っているのだ」と分かりつつ己を観察し、こちらとは微妙に違う状況を全身で味わっている。匂い、感触、温度、音、全てが肉体をもって直に体験しているようで、目覚めたときにどちらが夢でどちらが現実かめまいを覚えることも少なくない。

夢の世界で懐かしい人たちに会えることもある。中でも目の手術の前日に病院のベッドで見た、母、そして分かれた前夫の夢は五感に貼り付いたままだ。

前夫の夢。入院している病院から外に出てしまった私は帰り道が分からなくなっている。いや、帰るべき建物は目の前に見えているのに、そこへたどり着く道が閉ざされているのだ。
どれも同じに見えるグレーの建物の間を縫って歩き回りながら、隣りに渡る階段やドアを探すものの、水族館の魚のようにぐるぐる回っているだけ。「これは夢だが、手術前のこのタイミングで帰れないと、現実世界でもまずいことになる」と体の奥底で分かっているからだんだんあせってきた。

その時目に飛び込んできた階段。踊り場で前夫が満面に笑みを浮かべて立っている。
ああ、ここから出ればいいんだ。Yが私を助けに来てくれたんだ!嬉しくて前夫に駈け寄ろうとした時、体の左側にコールタールのようなベタベタした不愉快なものが這い上がってきて絡み付こうとした。

Sだ!直ちにそう思った。「S」とは私と前夫が別れる原因を作った「魔」のような男なのだが、気持ちの悪いコールタールのことを直感でSだと思うなんて、えらい酷い話だなあ!と可笑しくなる一方、黒いものはどんどん増えてゆき私を覆い尽くそうとする。
これはSだけではない。Sの怨念が空気中を漂っていた邪悪なものを引き寄せて、どんどん大きくなっているのだ、となんとなく思った。

その時とっさに口をついて出た。「悪霊よ、去れ!」
ありったけの気力を体にみなぎらせて、腹の底から何度も叫んだ。「悪霊よ、去れ!悪霊よ、去れ!」きっとベッドの上の私は大きな寝言を言っていたことだろう。
全てのエネルギーを注入するようなシャウトを繰り返すと、黒いものはすっと消え、あとには私と前夫が残された。

「そっちの世界はどう?」何事もなかったかのように前夫に歩み寄ると、まるで先月分かれたばかりのように死後の世界の様子を尋ねる私。「うーん、色々ややこしくてなあ」と苦笑いを浮かべるY。丸顔に浮かぶ笑顔はたまらなく懐かしくて、心の底から愛がわき上がり溢れる思いだった。

江戸川乱歩に「うつし世は夢 夜の夢こそまこと」というの有名な台詞があるが、そうあってくれればどんなにいいか!と天を仰ぐこともしばしばである。

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