2017年10月31日(火)

銀行の前の路上で行員さん達がティッシュを配っている。個人型確定拠出年金のノルマがキツいんかなと思いながら通り過ぎようとしたら、若めの行員さんがほんの一瞬逡巡してから、私にティッシュを手渡した。見ればそこには「『還付金が返ってくる!!』と言われていませんか?それは振り込み詐欺です!!」の文字。赤と黄色をベースにびっくりマークをふんだんに散りばめて、老眼で認知力の衰えた人々に優しい仕様となっている。

たしかに老眼で認知力の衰えた私にもよく見えたが、これはさすがに早いんちゃうの?でもまあ20台からすれば50才以上なんて内心「年寄り」のくくりに入れてるのかもしれない。それに私の髪の毛、グレーだし、パッと見老女っちゃ老女と思われてもおかしくないわな。

近所のレンタルビデオ屋でも知らないうちにシニアデーが適用されるようになっていたことだし、もうこうなったら「お年は?」と訪ねられたら50ン才なんて中途半端なこと言わずに、きっぱりと端数は捨てて「60さい!」と答えようかしらと思ったりする今日このごろ。

あそこが痛いここが痛い、認知力の低下で仕事はミスばかり、へこむわ〜!もう全てがイヤやわ〜!とぼやきつつ、本当のところは老いることがそんなに嫌でもない私がいる。
どうせ老いるならば近所のビデオ屋のシニアデーなんてケチなこといわず、映画館のシニアデーとかJRの割引切符とかの、より大きな社会的メリットを享受できる60才オーバーに早くなりたい気持ちすらあるのだった。

2017年10月27日(金)

もしあなたが神さまだったらまっさきに何をしたいですか?私は世界からスマホを消す。だって昔はスマホがなくても問題なく生活できてたんだから、消してしまっても別にええやん!

あースマホなくなって欲しい……と願う一番の理由は歩きスマホ。仕事や私用で自転車を多用する側としては、狭い道で下を向いたまま突っ込んでくる人が怖くてたまらない。
こちらが止まっていてもぶつかってくる輩は、なにをそんなに急いで知らなくてはならないのか。いくら相手が歩きスマホをしていたからといって、歩行者と自転車では自転車が分が悪い。調べ物をするなら立ち止まってやってくれ。

もし私が神さまで、スマホを消そうとしたところをスティーブ・ジョブズに「それはちょっとやめて」と止められたら、神の力でちょいちょいと世論を操って政治家を動かし「歩きスマホ:罰金一万円」の法律を作らせるわ……という案は、高年齢層の人からは「ワシもそう思とった!」と拍手喝采をもって迎えられ、若年層からはブーイングの嵐なんだろうな。

さて、話は変わるが、先週末に関西に襲来した台風21号の影響で、我が家はぐちゃぐちゃで大変な目に会っている。
同じ市内でも西部にあるマヤハウスでは、ベランダに置きっぱなしの花すら飛んでいなかったから「意外と大したことなかったな」と自宅に戻ったところ、物置(内容物含めた推定重量70キロ)がベランダの隅から隅まで吹き飛ばされて倒れて分解して、中身がぶちまけられているではないか。

まあベランダの物置に入れっぱなしで10年ほど放置したままだったものだから、ぶちまけられて雨に濡れたダンボール箱の中身は捨ててもいいようなもののはず……と見てみたら、イギリスで買ったサルーキの額入り肖像画(ナンバー入り)とかジョジョの同人誌や、25年ほど前の「愛犬の友」(犬雑誌)など、今になってはそこそこ貴重といえば貴重なものばかり。

私にとってはもう必要ない物とはいえ、ヤフオクに出せば欲しい人が見つかるかもしれない。
水に濡れた本の復旧方法は、たしか「凍らせる」だったよね……とビニールで保護した「愛犬の友」を三日ほど冷凍庫に入れたものを、さっき取り出してページを開いてみたところ、やはり濡れた面積が大きすぎたのだろう、完膚無きまでに凍って固まり、人ひとり殺せそうな鈍器と化していた。

泣きたい思いでちょっとだけ解凍したそれを一ページづつめくり、取りあえず要るページ(ボルゾイとアフガンの広告ページ)をむしりとった後に、そっと冷凍庫に戻したのだった。愛犬の友は5センチの厚みのものすごいページ数がある雑誌。10冊ほどあるそれを復活させるという、余計な仕事がまた増えた。

なんでも週末にはまたしても台風が襲来するとのことで、みなさんもお気をつけ下さい。我が家では崩壊寸前の物置をロープで縛り、気持ちだけでも次の台風に備えている。

2017年10月20日(金)

まずはこの一枚をご覧いただきたい。撮影に使用したのはピンホールカメラではない。もちろん坂本龍馬の撮影にも使われたダゲレオタイプでもない。正真正銘2017年秋 ☆☆最新モデル☆☆のスマホで撮った写真である!(怒)

これ、フォトショップで補正すればややマシな見栄えにはなるだろう。でもスマホ写真のキモは「その場で撮って即送信」だよね。銀版写真が貴重だった幕末の写真館じゃあるまいし、一枚一枚補正が必要だなんていつの時代の話だよ!そもそも家に持ち帰ってパソコン開いてフォトショを立ち上げて……なんて行程を踏むなら一番レフ使うっつーの。

みなさん、どう思われますか?この写真のクオリティー。やや暗い部屋で撮ったとはいえ、この色、このピント、ちょっとひどすぎますよね?私がスマホのことよく知らないだけで、「スマホカメラってそういうもんだよ(=´ω`=)」とは言われませんよね?私は怒っていいですよね?

実際私は怒っている。怒りを通り越して哀しみすら感じている。このようなガラクタを世に放ちならが、へっちゃらピーで鼻クソほじってる中華スマホ会社ZTEとそれを販売している楽天モバイルに対する怒りではない。(まあZTEにはそこそこ怒ってるけどな!)
怒りと哀しみの矛先が向けられるのは、iPhoneXが手に入るまでの中継ぎ機として、小銭を惜しんで最安の機種を選んだセコい己その人なのだ。


最底辺な写真クオリティーだけではない。このスマホがまた泣きたくなるほど入力しにくくくってよお……。
ただでさえタップ入力に慣れてないところへもってきて、日本語変換がとんちんかんなのは、オールドMacに搭載されていた「ことえり:レベル。「そんな日本語ねーよ!」という変換をすました顔して呈示してくるので、怒りのあまり奇声もあがろうというもの。

いや、ひょっとすると中国語的な熟語だとサクサク変換できるのだろうか?でも私は中国語を知らないから確かめようもない。
それに、真偽のほどは分からないが、ネットで「中国製スマホ」と検索してみると、中華系スマホには出荷時からスパイウエアが仕込まれているとか、データが大陸に流れているなんておだやかではない噂が目に入ってますます不安になる。

まあそこまで反中ってわけでもないからこそ軽い気持ちで選んだアジア系メーカーなわけだが、火のないところに煙は立たぬ。アメリカに仕掛けたサイバー攻撃のニュース云々もあることだし、デフォルトで仕込まれたスパイアプリってのもあながち作り話100%ってわけでもないだろう。使用していてあまり気持ちのいいものでもない。

それに、「安さ」で決めた端末とはいえ、1万8千円という価格はスマホとしては安くても、日常的な買い物としては高額なレベル。千円のユニクロセーターでさえ何年も着続けるセコい人間としては、簡単に「使いにくいから買い換えよう」と思うにはハードルが高い。


それにしてももうマジで、発狂するほど使いにくい。「遅い、すべる、分かりにくい」の三拍子そろった悪魔のスマホだ。
そもそもネットでダウンロードするタイプの取扱説明書も、申し訳程度の使用方法にしか触れておらず、その不親切さはそう……100均ショップの目覚まし時計(Made in China)についてる取説が優秀に見えてくるレベルである。

仕方がないからほぼ全て「推測」でこなそうとしているものの、タップした時の反応速度が絶望的に遅いので、押しても反応のないボタンを「あ、これは違うかな」と思った数秒後に動いたりするからマジでこのままでは発狂しそうだ!

購入した当時にはまだろくに出ていなかった実機使用レビューもぼちぼち出てきて、それらによれば「二台持ちの二台目としてはまあそこそこ、かな?」「スマホを使いこなす人には許せる、かも……」という推すでもなくさりとて強力に拒否るわけでもない、どっちつかずのレビューばかり。業界団体の子飼いレビュアー?
だがそれらに混じって、「スマホ初心者には勧められない」、そして「カメラのクオリティーは平均以下」という力強いお言葉も発見した。
へっ……へいきんてんいかぁ??もっと早く教えてくれよおおお!

そうこうするうちにiPhoneXの発売まで一ヶ月を切った。発売直後に手に入れるのは到底無理だと考えた末のチープ端末購入(でも1万8千円)だったけれど、このままではますますストレスが溜まる。
よーいドンで予約できるよう、アップルショップにユーザー登録も済ませた。もう、購入できるのは年明けになってもいいから買い換える準備を整えるわ。そしてiPhoneX256GBシムフリーが手に入り次第、ZTE BLADE E02、お前を大阪湾に沈めに行く。

2017年10月17日(火)

このところ気分がくさくさする。小さな失敗が原因でくさくさして、くさくさするからもっと失敗してはますますくさくさ……と闇のトルネードに巻き込まれてぐるぐる回されてるみたいな気分。

加齢と共にびっくりするくらいポンコツになりつつある身体。こんな状態になるのは60才過ぎてからだと思っていたから「話がちがうじゃない!」って怒りが湧いてますますくさくさする。

道を歩けばよろけて転び、自転車に乗れば灰色のアスファルトの手前にある灰色の電柱が見えなくてぶつかり、駅の改札では切符を取り忘れる。
会社ではすぐ手元にある文具が認識できなくて、ない!ない!とデスク中を探し、老眼で小さな文字が見えないから処理スピードが格段に衰えたのみならず、勘違いによる単純ミスが激増して、同僚に迷惑をかけた恥ずかしさのあまり、砂に頭を突っ込んで出社拒否したくなる。

そんなことを三つ年下の友人にぼやいたら、「私もちょっと前、年金事務所に持って行った書類の給与欄がぜんぶ空欄だったよ。給与額を入れなきゃ話にならないのに!」との言葉。事務処理能力では私の1.4倍くらい有能な彼女ですらそんな基本的なミスをするようになったなら、私のポンコツぶりもそれほど心配しない方がいいのかも……とちょっとだけホッとした。

それに親友と叔父を続けさまに失ったことを知っているかかりつけの整骨院の先生だって、別れたダンナが先月他界したことを話すと絶句して、「それは身体がおかしくなって当たり前だ」と言ってくれたことだし、アルツハイマー検査を受けるのはもうちょっと先にすることにします。

2017年10月13日(金)

我が家は住宅街のど真ん中にある割には、周辺に鳥がたくさん住んでいる。
 スズメやカラス、ヒヨドリ、季節によってはウグイスの、そして種類は分からないが、
おとぎ語の中の鳥みたいな綺麗な声が窓の外から聞こえてくる。
明け方なんかそれらが渾然一体となって「ここは森か!」と突っ込むくらいうるさい。

その上、向かいの家に巣がたくさんあるせいで、巣立ちの時期になるとちょくちょく小雀が飛んでくる。

網戸に取りついて「チュン!チュン!」と全身で親を呼んでいた小雀。
網戸を閉めていなければ部屋に飛び込んできて、マヤの恰好の「レジャー」になったところだ。

2017年10月5日(木)

愛犬マヤの「食」に対する執着は見上げたものだ。ソフトに表現すれば「健啖家」、はっきり言えば「意地きたない」。

意地きたなさレベルは犬種由来のキャラクターによるところもあるそうで、食の細いサルーキやボルゾイに対して、ラブラドールレトリーバー、ビーグル、コッカースパニエルあたりは「意地汚いワンちゃんグランプリ」で上位を独占する犬種らしい。

イングリッシュコッカースパニエルであるマヤの異常な食欲も「盗み食いがひどい」と相談した獣医さんから、「まあ……コッカーだから仕方ないですね」とあっさりした答えが返ってきてからというもの、半分諦めモードである。

だが「お腹がすくのは元気のしるし」と笑ってばかりはいられない。15年近い犬生において、我々はどれほどマヤの意地汚さに振り回されてきたことだろう!


あれはうんとチビ助の頃。いつ見ても真面目な顔をして冷蔵庫の前にちょこんと座っているものだから、母と「ここがお気に入りの場所なんだね、かわいいねえ」と微笑み合ったものだが、あれは単に「この箱の中に入っている食べ物はぜんぶぼくのもの!」という意思表示だったとは。

また、我が家にやって来て初めての正月には、家族そろって食べようと父が買っておいた牛肉一キロを盗み食い。父は怒るどころか「マヤはおもろい犬やなあ」と愉快がっていたけれど、笑ってる場合じゃないよお父さん!すき焼きを食べそびれたのみならず、腹をこわした仔犬を連れて、正月早々獣医に駆け込むのは私なんだからね!


そんなマヤの「食への執着」は成長しても一ミリたりとも衰えることはなく、むしろガソリンにニトロを加えた勢いでパワーアップ。

帰宅すると表面に無数のひっかき傷のついた空き缶が部屋の真ん中に転がっており、生きたまま埋葬された人が断末魔でつけた爪痕のような傷を目にして「かすかに匂いが残ってるだけでこんなに必死になるなんて……」とちょっと怖くなった頃は、それでもまだまだ可愛いものだった。

玄関のドアを開けるとスズメにやるために置いていた米粒がまき散らされて、そこら一面が結婚式のライスシャワー状態の日もあった。いくらマヤでも生米は食べないだろうと油断してたらその「まさか」。さすがに全部は食べていなかったものの、一応はテイスティングしたと見える。

ヘルパーさんからメールが入ったと思ったら「マヤちゃんがマヨネーズにかぶりついて離しません!」
……これは戸棚を勝手に開けて、引っ張り出した未開封のマヨネーズを守ってウーウー唸った事件である。未開封のプラスチック容器でも犬には匂いが判別できることを初めて知った。

またある時は犬の口が届かないようテーブルの真ん中に置いていたハッピーターンを、テーブルによじ登って一気食い。魔法の粉でハッピーになって、獣医に駆け込んだ私はアンハッピー。

ヘボピーの弁当は盗み食い、カラスが落として道に転がっていた「何か」も拾い食い。(ホントに危ないからこれだけはやめて欲しい!) テーブルによじ登り、戸棚を開け、ゴミ袋を漁り、道ばたを嗅ぎ回り、今やあらゆる場所がマヤのハンティングエリアなのだ!


そして先日とうとう「食品」以外のものに手ならぬ口を出したものだから、さしものマヤマニアの私もマヤのことが嫌いになりそうだった。

それはマヤの重要な「レジャー」のひとつである「肉嗅ぎ遊び」──夜の散歩中に肉屋に寄って、店の前に積み重ねられている空き箱をくんくんすること──に行った時のことである。

いつものように「肉かぎ遊び」をしていたマヤが、やおら何か口に含んでくっちゃくっちゃとしがみ始めた。くんくん〜くちゃくちゃまでの所要時間は約2秒。速い!制止するなんて無理無理むりぃっ!

一体何を拾ったの?!暗い中、必死で老眼をこらしてみれば、口元からのぞいたのは何やら不審な紙片……おぉーっと!血がたっぷり染みこんでどす黒く変色したダンボールの端きれだあ!

さすがにこれはいけない。そんなもん食べちゃ駄目だよお!!と血相を変えて取りあげようとしたものの、せっかく拾ったお宝を素直に引き渡すはずがない。頑として口を開けようとしないどころか、ウウウウウ……と低くうなって威嚇、私が一瞬ひるんだ隙に取られてなるものか!とゴックンしてしまった。

そういえば何年か前に中国の「ダンボール肉まん」ってのが話題になったよね……麒麟の田村も昔ダンボールを食べたと「ホームレス中学生」に書いてたらしいから、ダンボールって食べても大丈夫なのかな……。

名残惜しげに舌なめずりしている犬をおろしながら、私はぐるぐる考えた。……でもリサイクルした紙が身体にいいはずないよね……。 明日はまたぱんだ動物病院かな……。有給、取りにくいな……。

そんな心配をよそに、翌朝にはいつも通りのいいフンをモリモリ垂れて一安心。そして「マヤの意地きたなさはダンボールすら食べるレベル」という事実を、飼育14年半目にして主人の目の前に突きつけたのだった。

犬と暮らすと日々新たな発見がある。そしてマヤはちんまい肉切れを手に入れるため、今日も進化を続けている。
盗み食いのための新たな方法を次々に発見するマヤとの闘いは、まだもうしばらくは続くことだろう。

くんかくんか。シンクの上をチェック中。我が家ではこの状態を「タチイヌ」と称する。

以前は人目を盗んでこそこそタチイヌしていたものだが……。今ではカメラを向けようと動じない。

流し台の隙間に爪を引っかけて、安定感のあるタチイヌ方法を編み出した。ボルダリングかよ。

最新のドロボーテクニックは、洗いカゴの取っ手に鼻先をひっかけて引きずり落とす方法。
……というのは以前、カゴの横に置いていた食べ物の皿が引っかかって一緒に落ちてきたもので、
カゴを落とせば食べ物もゲットできると認識したらしい。

そりゃあカゴの中の食器が割れることもありますけどね、あとはおねえちゃんが片づけてくれるから心配するな、問題ない!

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