2013年12月25日(水)

おまた、ぱかーん

寝相フリーダム

朝の出勤ラッシュの駅前で、前を歩いていた人のふところからヒラヒラと舞い落ちた一枚の紙片。拾い上げると社員証。あわてて追いかけ「これ、落とされましたよ」と肩を叩くとはっとした顔で振り返り、「ありがとう」と微笑む彼。

40年前の少女マンガなら恋が始まるシーンだが、社員証の主は頭髪がミニマリズムな串だんごみたいなちっちゃいおっちゃん。ドクンッ!ともキュンっ☆ともしなかった……。
NTTファイナンスのK見さん、社員証はしっかりポケットにしまいましょう。

そういえば少し前、街を歩いていて久々にドクンッ!とくる人を目にしたよ。
インディアンジュエリーの店で商品を整理していた彼は、褐色の肌、彫りの深い野性的な横顔、ひとつにまとめた漆黒の長い髪の持ち主という、180キロの剛速球でずば──っ!とどストライクを決められた感じの好みのタイプ。

近所にこんな逸材が潜んでたなんて知らなんだ!!今度時間を作ってお店をのぞいてみようかしらん (*´ω`*)
そう思っていた矢先、インディアンジュエリーに詳しい友人が「ああ、あの人ね。奥さんいるよ」という情報であっさり夢を打ち砕いてくれた。

やれやれ、手つかずの自然はなかなか残っていないものだな……。
まあ、アメリカインディアンとはやや方向性は違うものの、バングラデシュも東西南北・視界の果てまで褐色男だらけの地。イケメンウオッチャーとしては期待モリモリである。

2013年12月22日(日)

バングラデシュ行きの用意に追われている。どこから手を付ければいいのか混乱してきて、やおら図書館でタゴール(バングラデシュが生んだノーベル賞作家)の詩集をどかっと借りてきたりしている。

汝 嬰児の如く 力なきとき 内重の奥 深く留まれ 時至るまで……って、カルチャーから入ってる場合じゃねえ!ベンガル語会話集をコピーするとか、レストランをチェックするとか、もっと実用的な準備をせんかい!(怒)

そもそもかの国を旅先に決めたのは10月頭。どうしてもっと早く準備しなかったの?と言われるだろうがまったくそう。しかし、やらなきゃならないと思えば思うほど先延ばしにするのは、のび太もまる子もカツオも私も同じである。

ましてや2週間ほど前から、バングラデシュの国内情勢が想定外の勢いで悪化しているとあっては……。

……というのは、先日執行されたイスラーム系政党党首の死刑が、年初に行われる総選挙を前にして、ただでも激しさを増していた政治的混乱の火に油を注いだのだ。
その結果、状況はさらに悪化。あわてた旅行会社から「最悪ホテルに缶詰になる可能性も出てきたので、他の行き先に振り替えるなら早く言ってね☆」との連絡が入ったとあっては、我々のテンションだだ下がりなのも致し方ないだろう。

いやじっさい、他の国──ブータン、インド、スリランカあたりに変更しようか?とヘボピーと相談はした。
だが、今年は有給なしでも9日間休みが続くという、2002年以来久々のウルトラパラダイス冬休み。いつもは上司や同僚の冷たい視線が気になって長期休暇を取れないリーマンどもがいっせいに日本脱出を企てた結果、ホテルもエアラインも予約でパンパン!正月も数週間前になってからまともなチケットなんか取れるはずなかった……。

そういう事情から「ブータンで現地滞在4日間ぽっち」だなんて中途半端な日程とか、「去年の正月に行ったのと同じ場所(インド・ダージリン)」なんてプランしか残ってなかったもので、もーホテル缶詰のリスク承知で、いちかばちかバングラにユニクロ見に行っちゃうか!という姉妹間最終合意を見たのであった。


まあ、今回は「買い物」という目的がないから気楽ではある。
イランの絨毯、パキスタンの織物、インドの刺繍。この数年の旅先では、なにがなんでも手に入れたいものがあったから、観光もそこそこにショッピングに猛牛ダッシュ!赤い布をヒラヒラさせる店のオヤジを角で突き殺さんとする勢いでバトルした。

一方バングラデシュ。べつだん買いたいものはないからラッコのように優しい気分。
いや、ジュート製品とかノクシ・カンタ(女性たちが昔から作り続けてきた刺し子細工)とかの、ナチュラルで可愛くてソフトな感じ──そう、カフェ併設の小物屋さんが好きな人には喜ばれる手芸品はいろいろあるようだが、私の好みはこれでもか!というほどゴージャスな手芸品。ざっくりしたものには興味ゼロ。

そんなわけでぶっちゃけバングラ行き、気構えとしてはユルユルなのだ。ましてや気温も日本の10月くらいだそうで、ヒマラヤのふもとに行く時に比べると、荷物も少ない。

ただ、唯一神経をつかうのはカメラ回りである。
これまでに「海外旅行先でカメラが壊れる」という地獄の事態に遭遇したことが2度ほどあり、カメラトラブルへの恐怖はものすごい。そのため自分のカメラは三機、ヘボピーのが一機で計四機もあるのだが、それでもまだ不安でたまらない……。

ちょっと心配性すぎるなあとは思いつつも、かつてドッグショーを見に行ったイギリスで、よりによって本番のショー会場、それも一番の目的だったサルーキの審査の途中でぶっ壊れたのが、もー催眠療法で治療して欲しいほどのトラウマになってるのだ。


他は会社でお菓子をもらうたびに集めておいた金属製の綺麗な箱とか(ホテルでチップを入れておくのだ)、子供にあげるカラフルな小物とか、取引先がごそっとくれたけど誰も使わないからもらってきた4色ボールペンだとか……。
もったいながりでマメでおせっかいな性格を花開かせて、あれやこれやとスーツケースに放り込んでると、あれれ?どんどん重くなってきたぞ?!

あと、酒が手に入らないイスラーム圏だからパック酒。カレーに飽きた時のためのきつねどん兵衛。おっと、割りばしも忘れずに。下着の替えを限界まで少なくすべく、洗剤と洗濯ばさみも必需品。

クレジットカード会社に電話して、勝手にロックをかけないように旅先と日程を伝えなきゃならないし(インドで20万の買い物したら「盗難カードの不正利用の多い国」として登録されているらしく自動的にロックをかけられて、それ以降カードが使えなくて困ったのだ)、ベンガル語ガイドブックをコピーしてよりぬき会話帳も作りたい。

このように細かい仕事をどんどん思い出して、今や管理人の脳みそ、混乱の極み。

大空に 咲き出でし 光明の蓮華 花びら 群なして 四方に飛び散り……と思わずタゴール詩集を手に取ったり、ようつべでバングラデシュの国歌(タゴール作詞。格調高い!)を聴いたりと、なにやら色々と迷走中です。

近所の幼稚園の壁に広がる動物園。ゾウさんが肌色だからお鼻がますますチンチンっぽいね!

よく見るとキリンの目がでんでん虫みたいでキモい。エクセルで作りかけの表みたいな体のタテ線もキモいっ!

隣の生き物を見習えと言いたい。いや、タヌキかキツネかラッコかマングースか謎ではあるが。

この幼稚園では頭部を出っぱらせるのが流行ってるのだろうか……。

映画『アイス・エイジ』の古代ナマケモノ・シドを思い出した。

上の奴らに比べると常識的な二匹。それにしても幼児と絵の下手な人って、四つ足をこういう風に描いちゃうものなのよねー。

こちらも同じ四つ足表現法だが、顔がオバマ似な分、左のヒョウよりは指導力がありそうだ。

流氷の天使クリオネみたいに内臓シースルーな生き物は無視するとして、左は幼児の作品のくせしてかなり正確である。

かく言う私も『ジャングル大帝』の影響で、幼い頃から四つ足はこういう風に描けてたぞ。まあちゃんと描けるのは動物だけだったけどな……。

幼稚園の壁に広がる鳥類図鑑。隣のチーターから視線をここにずらしてみると「ひょっとして図鑑を見ながら描かせた?」と思えてきた。

だって幼児は鳥をこんな風にはビシッと描けないでしょ、フツー。(除くアヒル。ポケモンかよ)

でもやっぱり幼児。色々と惜しい。

右はかろうじて一本あるが、左は足すらない。地上に降りることままならず、ずっと飛び続ける……。フウチョウ(極楽鳥)なのか?!

オオフウチョウ。かつてこの鳥の剥製が初めてヨーロッパにもたらされた時、輸出業者の都合で足が切り取られていた。そのため、ヨーロッパでは長いこと「この鳥には足がなく、死ぬまで飛び続ける」とどえらい勘違いされていたそうだ。

スズメちゃんは色といい雰囲気といいナイスだけど、虫どもはいい加減にして頂きたい。
こんな柿ピーみたいなチョウチョが寄ってきたら、ギャーッと叫んで卒倒するやろが!(怒)

それでは旅行の準備に戻ります。

またお会いできる日まで、みなさん、さーよーおーなーらー。
(タゴール詩集を開きながら)

2013年12月20日(金)

完全にやめられてはいないが酒量が減った。激減した。ビールのショート缶一本だけで飲む気が失せて、あとは紅茶に切り替えたりする。浴びるように飲んでいた人間としては己の変容が信じがたい。

減らす努力はしていない。もちろん禁酒のお薬ジスルフィラムを処方されたわけでもない。「あの日」を境に飲みたくなくなったのだ。
そう、あの日……ペルシャ絨毯にマヤがおしっこたれてから……。

悪しき習慣を断ち切るのに、ショック療法ってけっこう効くのかもな。
酒の失敗続きで人生やめたくなってる皆様も、オークションで競りまくって落札したスターウォーズのレアものフィギュアを2歳児に与えてみるとか、おじいちゃんの功一級金鵄勲章を隅田川にスローイングするとかの方法で、己にショックを与えてみてはいかがだろうか。

……と書いているのは朝の8時過ぎ。このところ常にこのパターンなんだ。
ちかごろミキさん、日記の誤字脱字が増えたなあ、やっぱ精神的に疲れてるのかな?と心配してくださっている方もおられるかもしれないが、ご心配にはおよばない。出勤前の30分であせりまくって書いてるせいで、読み直して訂正するまでに至らないだけです。

おっと、そうこうするうちに出社まであと5分?!ヤベェ!まだ着替えしてねえわ。
もともと会社が年末進行でアホ忙しいところへ、ゲイツ機のXPサポート終了により社内のパソコン総入れ替えという、よりによってこの忙しい時に……と憎しみがわくイベントが加わって、さらに家庭では引きこもりの妹の保険関係の話とか、マヤがびっこをひくようになったとか、総花的にバタバタしすぎ。

そいでもって来週からバングラデシュに行くせいで、管理人パニック状態。そういうわけで、文章の乱れ・誤字脱字のご指摘は、心の中にそっとつぶやくにとどめてくdさい。

2013年12月18日(水)

父の夢を見た。正確に言えば夢の中で霊媒を通して父の言葉を聞いた。

いつまでも親の死を引きずる私を見て、ある人(全く知らない人だった)から「そんなに悲しいなら、一度降霊術でお父さんを呼んでもらったら?思い切りがつくかもしれないよ」とアドバイスをもらうのだ。

そこで半信半疑のまま紹介された霊能力者のもとへ参じ、父を呼んでもらった。
すると霊能力者の口を通じて父、開口一番、「お前のそのベルト、なかなかええな。似合ってるからそのまましとけよ」。これだけ言うと霊界に戻っていったのだった……。

夢の中で私がしていたのは、ビョウ打ちのごっついベルト。パンクファッションで荒ぶっていた頃の遺物であるが、わざわざ呼んだのに言いたいことはそれだけかい!!(怒)

夢判断的にはいったいどう解釈すればいいのやら。詳しい方、分析よろしく頼んます(=´ω`=)

近所にある公園の落書き。夜はヤンキー候補生のたまり場になっていると見える。

強くなりたい、カッコよくなりたい、大きな声では言えないけれど、女にもモテててエッチしたい!そんな男子中学生のもやもやをベンチに刻むとこうなりました。

しかしその隣にはこんな落書きも。 谷岡ヤスジの「アサ──!」かよ。

こういうのを見ると、ツッパっててもまだまだガキね〜とオバちゃん思うの。

2013年12月17日(火)

年のせいか寒い日に散歩に行くとぷるぷる震えるようになったマヤに、カッチョいい洋服を買ってやったよ。

アニマル、ドクロ、赤レザー。トドメは黄文字の「パーフェクトブリティッシュ」。ヤンキーテイストの異次元緩和だ!

「ブリティッシュ」とあるところを見ると、デザイナーが目指したのはきっとパンク。
だが残炎ながらヒョウ柄のフェイクファーが災いして、花開く『闇金ウシジマ君』感。カウカウファイナンスに就職させたい。

ワンサイズ小さいのしか売っていなかったせいで、ハト胸のマヤにはかなりきつきつ。
前から見ると不良というより還暦に赤いちゃんちゃんこを着せられたおじいちゃん。

絵本に出てくるこわいわるいタヌキがネズミしゃんをいぢめています。

何かのスイッチが入ったのだろうか。買ったばかりの服を着せられたとたん、おもちゃで狂ったように遊びはじめた。
ほんとはイヤだったのだろうか……。

←ネズミしゃんを前足で持ち上げたままフリーズして、ニヤニヤとずるそうな笑いを浮かべている。

この笑顔、映画『グレムリン』に登場する不思議な生き物モグワイを思い出す。

2013年12月17日(火)

先日、妹ヘボピーが言っていた。「お母さんはアルツハイマーになってから楽しめなかった。その分まで私が人生を楽しく生きようと思ってる」。
遺された者の発言としては特に珍しいものではないだろうが、それを聞いた時、なんだか頭の中の霧が晴れたようだった。

私と妹は血のつながった姉妹だけれど、両親の死に対する態度は少し異なる。
嘆き悲しみ後悔にくれるあまり日常生活に支障をきたすことも多い自分から見れば、「寿命だったから仕方ない」と割り切っているように見える妹のことは、ちょっと冷たいと映っていた。親の思い出話をしたいのにはぐらかされて、独りぼっちになったみたいで寂しくて情けなくて、泣けてきたこともよくあった。

けれど冒頭の言葉を耳にして、すこし考えを改めたのだ。悲しいのは三姉妹みな同じだけれど、「親の死」という誰にでも訪れる出来事をどのようにして自分の中で噛み砕くか、そして胸の内にある悲しみをどう表に出すかは、姉妹とはいえ方法はそれぞれ異なっているのだと。

そして、親の分まで楽しむんだという妹は、悲しみに曇っていた私の目の前に揺るぎない現実を投げてくれたように思う。
たとえ愛する人を失っても、生きている者は天命を全うするしかないという当たり前のこと。おなじ死ぬなら生ある間は良く生きなくては、せっかくもらった命がもったいないということを。

こんな風に、日々少しづつ前向きになれている。
これは投資をやめた影響もあるだろうか。勝った負けたに一喜一憂する必要がなくなって、できるだけ心を平静に保つように努力していると、妹や友人のささいな発言の中にも立ち直るためのヒントを見出せるようになった。
また、人付き合いが疎ましくて遠ざかっていた人たちにも、少しづつ連絡を取って交友を復活させつつある。

……とは言いつつも、この2週間くらいはせっかく気分がよかったのに、昨夜はまた鬱が頭をもたげてきた……辛い。夜中に目覚めて不安と悲しみで息が出来なくなって、おまけに頭痛と吐き気にまで襲われて「これって脳内出血?」と不安になるあまり、妹に預金のある銀行一覧をメールしかけたほどだった。

でももう大丈夫。今は頭痛もおさまって元気に会社に行けるだろう。
というのは、ガンガンする頭をさすりながらパソコンを立ち上げて、昨夜我が家に遊びに来た子のブログを開いたら、私も含めて友人がいてくれることがすごく楽しくて、自分は幸せ者だなぁ!としみじみと書かれているのを目にしたからだ。

父母亡きあと、自分が何かの役に立っているとは全く思えなくて生きるのが辛かった。それでも今はこの友人のように、自分の存在がほんの少しであれ誰かを楽しませる、ささやかながらも意味のあるものだと思ってもらえるのだと知ることは、大きな心の支えになっている。

2013年12月13日(金)

先月、泥酔の罰として神の使い(マヤ)によってもたらされた「ペルシャ絨毯おしっこたれ事件」(11月24日の日記を参照下さい)→ その被害者がクリーニング店から帰ってきた。

ペルシャ絨毯のクリーニング代は高い。もちろんそこらのクリーニング屋でも絨毯は受け付けてくれて、それだと数千円で済む。
だが以前、わりかしどうでもいいペルシャ絨毯を出した時には、クリーニング前とクリーニング後に全く変化がなくてがっかりしたのだ。

なんでも普通のクリーニング屋では、表面に泡をつけて機械でざざっと撫でるだけ。汚れはうまく落ちない上に、色にじみや変色のリスクがバリバリある。
一方ペルシャ絨毯クリーニングの専門業者はごしごし手洗い、水洗い、そして自然乾燥と、イランで今なお取られている方法そのままだから絨毯に負担が少ないそうだ。

それでもやっぱり数万円という料金にはびびってちゃうよね。できれば10年に一度はクリーニングした方がいいとは聞いているものの、金銭的理由から一度も出したことがない。

だから天罰シミについても自分でなんとかできないかと、日陰で風にあてながら裏にタオルをあてて、1時間以上にわたり固く絞ったタオルでパンパンするという、次の日に筋肉痛になるほどの努力を重ねてみた。

だが、そんな努力も灰燼に帰した……。

暗い廊下で見た時にはなんとかなりそうな感じだった黄色いシミは、明るい場所で見ると世界地図におけるユーラシア大陸並のスケールをもって広がっており、あまつさえ繊細なブルーが淡いグリーンに変色している箇所さえあるではないか!
よろしくない、これは非常によろしくない!この絨毯、イランで買ったやつなのに……と本気で泣けてきた。

エビとペンネのクリームグラタンを盗み食いしてのどがカラカラ、水をがぶ飲みしたコッカースパニエルの尿量がこんなに大量だとは。さすが中型犬。チワワやダックスの排尿量とはひと味違う。

まあ、マヤがラブラドールレトリバーじゃなくてまだよかった……と精一杯ポジティブに受け取りつつ、以前お世話になっていたペルシャ絨毯屋さんに電話した。

何年も前に商売をやめてしまってからは連絡をすることもなく、すっかりご無沙汰しているMさん夫婦。
お店はたたむけれどぜひ家に遊びに来てね、と言われながらも疎遠になっていたのが、いきなり、それも店で買ったやつじゃない絨毯の件で電話するのはちょっと勇気が必要だった。

それでも、奥様の誕生日だけにはハピバメールするという細い細い糸をつないでいたのは幸い。奥様にメールすると、外出中だった御主人におおあわてで連絡を取ってくださった。人の温かさが心に沁みた。


そんなこんなで黄色いシミのついたイスファハンは、本場イランの方がやっているクリーニング工房へとゆうパックで送りつけられ、そしてめでたく帰還した次第。

クリーニング代は送料込みで13650円。3,4万かかると覚悟していたから拍子抜けだ。サイズがそれほど大きくなかったせいもあるが、Mさんの紹介ならと安くして下さったのだ。

そしてシミ。包みを開くと「うわっ!キレイ!」と思わず歓声を上げた。
どこが汚れたのか分からないほど綺麗になっていたのは言うまでもなく、水洗いを経ることによってよりブルーの発色はより鮮やかに、柄のエッジもびしっと出ており、クリーニング前よりずっと良くなっているではないか!

良かったのは絨毯がきれいになった事だけじゃない。今度Mさんご夫妻のお宅に遊びに行く約束ができたのもとても嬉しいこと。
というのは自分から縁を切ってしまって長らく連絡することのなかったMさんとは、趣味人の先輩としておつきあいを続けていればよかったなぁ、私はいつでも人の縁をぽいと放り投げてしまう……とずっともやもやしたものを抱えていたからだ。

これぞ「災い転じて福となす」。おしっこ事件がきっかけで、いろんな事が楽しくなってきた!と感謝されている当人(マヤ)は昨日、ヘボピーの顔を噛むという事件を引き起こした……。
マヤの抱える「激怒症候群」という問題。そのあたりはまた改めて。

イスファハン産の三枚。イスファハン産とカシャン産はペルシャ絨毯の中でも飛び抜けて好きなのだ。色はブルーには限らないけど、ブルーが好きだからどうしても似たようなのを選んじゃうんだ。

一番手前のやつがマヤおしっこたれ事件の被害者である。廊下に敷ける長いサイズは生産数が少なくて貴重なのだが、犬にはそんなのカンケーねえ!

左の絨毯たちが生まれたイスファハンはかつて「イスファハンは世界の半分」と称えられたほど栄えた美しい都市だった。

これはイスファハンにあるイマーム・モスク内部。世界で最も有名なモスクの一つで世界遺産にも登録されている。生で見ると美しすぎて興奮のあまりひっくり返りそうだった。正に人類の美意識の結晶。

2013年12月10日(火)

奥さん、ちょっといいかしら。

千円の株価があっという間に7560円ってすごいよねーって昨日話したミクシィだけど、今日もストップ高でなんと9060円ですって!
たったの3週間で9倍って、バブル?日本はプチバブルなの?
ダンナのボーナスは増えないしモノの値段も上がるばかりだし、一体どこが景気いいんだって感じなのにねー。そうそう、お金持ってる人は持ってるのねえ。うらやましいわぁ。あはははははは。

……と書いている私もボーナスを頂いた。
東証1部上場で、従業員500人以上の大手企業240社の平均は約82万円。
一方、どこから持ってきた情報か知らないが、我々社員にボーナスを手渡しする際の社長の言い訳じみたスピーチによれば、関西の中小企業で冬のボーナスを出す会社は全体の4割。その平均たるや約20万とのこと。

いや、そんなこと教えてもらったってあんまし慰めにはなりませんがねえ……と、石森章太郎の『佐武と市捕物控』(近頃ちょっぴりマイブーム)の市のように斜に構えて開いたボーナス袋には、きっちり関西中小企業の平均額がおさまっていた……。
まあ去年は10万だったことだし、このご時世、頂けるだけ有り難いと思うことにしますかねえ。

まったくどこが景気がいいのやら。いいのは大企業と東京近郊の企業だけじゃないの?とぼやきたくもなるというもの。
自分の場合、今の会社に勤めて丸20年にもなるのに、構造的不況で景気が右肩下がりの業界(輸出専門商社)に属するためか、ボーナスも釣られて右肩下がり。今や年収300万台と、別業界で働いていた20代のレベルに戻ってしまった。

年収300万台。正社員も非正規雇用もひっくるめた京阪神の女性の年収としては平均値よりちょっと上ではあるが、自分はいい年をした正社員。けっこう哀しいものがある。
同年代はおろか20代の友人にすら年収の上では追い越されて、この20年間、会社に縛られて自分はいったい何をしてきたんだろう?こんなことなら10年前に退社して、母の介護に注力した方が良かったかも……と一時はひどく情けなかった。

専業の株トレーダーとして生きていこうかと真剣に考えたこともある。
会社員だと株価をチェックできるのは朝、昼休み、3時の引けの三回ほど。でも、一日中モニタの前にはりつければ勝率も上がるだろうし、なによりトレーダーなら休みの自由がきくから、長期の海外旅行にも行けそうだ。

そんな風に一時はかなり悩んだ。定年まであと10年か長くて15年。今でさえ気力も体力も怖いほど低下してるんだから、定年退職した頃にはヒマラヤや辺境砂漠に行くキツい旅行なんか無理かもしれない。
ええい!!会社、スパッとやめるか!!

しかし今日もまた20年来の馴染みのデスクに座っている。考え直してもうちょっと勤めることにしたのだ。辞めるのはいつでもできる、と。
きっかけはアメリカに出張していた社長がお土産に買ってきてくれたスタートレックの2014年版カレンダー。社長も私もスタートレックが大好きで、時折話をしたことを覚えていてくれたのだ。

その思いやりが嬉しくて、頭を冷やしてこれまでの人生を振り返ると、そこには「仕事のストレス」がほぼゼロなことに気が付いた。これは勤め人としてはレアケースだろう。

給料が右肩下がりで、ボーナスがなかったり10万ぽっちだったりすることには、もちろん情けない思いはある。
けれど自分の仕事だけしていれば誰にも何も言われない、自由度が高くて人間関係に全く問題のない職場で、顧客にペコペコすることもなく(お客さんと接するのは事務メールのみだ)9時から5時までデスクワークしていればいいなんて、これは相当恵まれた職場じゃなかろうか?

こんな風に、日を追って少しづつ気持が穏やかになってきた。株から離れたことにもだんだん慣れてきた。株が上がろうと下がろうと、べつにどうだっていいや……と急激に「お金」に対する興味が失せつつある。
この調子で「妬み」や「強欲」というクスリが抜けてくれれば心を入れ替えて慎ましく生き、お金が貯まったらちっちゃな花屋を開きたい(ウソ)

悪人博覧会。どいつもこいつも悪そうだ。

2013年12月9日(月)

♪はっぱふみふみ はっぱふみふみ♪

嫌な事を忘れてしまえるおバカ犬画像集。マジで爆笑ものです。嫌なことある人は見てみてちょ。私はこれで気が晴れました。
http://hamusoku.com/archives/8101757.html


この一年ほど、寝ている間に夢を見ることがほとんどなくなっていたのだが(正確に言えば「夢を覚えていること」か?)、11月30日をもって株をやめてから、ちょくちょく見られるようになった。やっぱり投資のストレスってものすごかったのかしら……。

それにしてもちょっと聞いてよ奥さん!
ミクシィって知ってるわよね?ミクシィなんかとっくの昔にアレでしょ?オワコンって感じでしょ?そうよね、今はやっぱりLINEよね。(うなずき合い)

じっさいミクシィ、11月8日発表の2013年度第2四半期決算では、営業損失3億1300 万円の赤字な上に、社員をリストラするために「やめさせ部屋」に送り込んでるみたいなブラックな噂まで飛びだしたらしいの。そんなのもう「ミクシィ、終わったな……」って感じでしょ?

もちろん私もこれっぽちも興味ない会社だから(以前はやってたけど、足あと機能がめんどくなってやめちゃった)株を買ったことも買おうと思ったこともなかったのね。
それなのに奥さん、ありえないのよ。

決算発表後も千円あたりをウロウロしてた株価が11月中旬から突然上がりはじめて、昨日にはなんと!7560円なんだって!たった3週間で7倍以上だなんてすごいわよねぇ〜。

あーあ、私も100万円分くらい買っといたらお正月には家族でハワイに行けたのになぁ!でも株なんかどうやって買えばいいかよく分からないしね。やっぱり怖いわよね〜、どう言ったってギャンブルだもんねえ。あはははははは。

……とまあ、相変わらずそんなアップダウンの激しいギャンブル相場が、私の関与しないところで繰り広げられているようだ。
やっとの思いで這い上がり、天国の門の前で順番待ちしているというのに、地獄の底から「今の市場はボラが大きくて楽しいぞ〜。上手く立ち回ったら億り人(※)だぞぉ〜」と呼ばわる声がする。
ぎぎぎぎぃ〜っ!やめてぇぇえーっ!

(※)株式スラング。少ない元出で始めて億単位の利益を積み上げた個人投資家のこと。今年はけっこうたくさん出たと思われる。

まあミクシィは買おうとも思わなかったからそれほど腹は立たないものの、他の銘柄のせいで心は千々に乱れている。びびり屋の己に憤るあまり、ダークサイドに墜ちて小学生からPSPをカツアゲしそうな乱れっぷりである。

というのはやめときゃいいのに魔がさして、昨日ふっとログインした証券会社のサイト。そして知らぬがブッダなことを知ってしまったのだ。
そう、一ヶ月前に数百万の損失を出しながらも下落におびえて手じまった2銘柄が、知らない間に自分の買値の倍近くになっているということを!!

あたし思うの。長生きするために株やめたのに、これじゃやってもやらなくても胃に穴が開くのは同じじゃないか?って。あの時損切りせずにあと一ヶ月だけ耐えとけば、ハワイ旅行どころか家が買えた。この事実、さすがの株マゾにもけっこうキツいわ。

……とは言いつつも、やっぱり投資はやるよりやらない方が精神的にはるかに楽なのは確か。
それに昨夜は「もう証券口座は閉めちゃいましょう!」と20才近く年下の堅実な友人にやんわり諭されるというヘタレ中年ぶりを示したことだし、もう二度と悪さができないようにきっぱり口座を閉めるべきなのかもしれない。

それでも絶好の買い場売り場が提供された時には即応できるよう、出陣準備だけは整えておきたい……と相も変わらず惑いまくりながら、今日も暗い森の中で青い鳥を求めて彷徨っております。

2013年12月6日(金)

いつもの公園で

一時に比べると精神的に安定している。先週の金曜日までは目を三角にして株を売買したり、ペット可のマンションに買い換えるべく会社の昼休みに物件を見に行ったりと、心の安まる暇がなかったのとはえらい違いだ。

この心の安らぎは、先週の金曜日で株と為替のポジションを全て手じまって、残高ゼロにした影響があるだろう。というのは、ヘッジファンドに引っかき回されてボラティリティ(変動性)がどえらく大きくなった相場で、一喜一憂するのがもう本当に、本当にイヤになってしまったからだ。

たかが紙っきれが増えた減ったでストレスを抱えるのは馬鹿馬鹿しいと思う反面、その紙っきれは自由を買うための最も有効なツールであるのもまた事実。

投資に縁のない人に比べると、自分にはわずからならの知識と経験がある。そう考えると、今のボラの大きな相場は、利益を得ようとする者には願ったりかなったり。ストップ高を連発する銘柄が日替わりで出てきて、うまく波に乗れれば百万単位なら数日間で得られるクレイジーな相場なんだから。

しかしその逆もまたしかり。たった数日間で数百万の損失を出すリスクがあるのも今の市場。
私は先週このパターンに陥って、こんな切ったはったのバクチをしてちゃダメだと心の底から思い、そしてポジションを手じまった。

正月にひいたおみくじに「投資・よい」と出たことをきっかけに、しばらく遠のいていた市場に戻って、11ヶ月間売ったり買ったりした結果、一時は大きく得ていたプラス分は、結果的に数百万にまで減ってしまった。
けれど、プラスで終えられてまあよし、と思い切ることにした。

リスクを取らねば甘い果実も得られない。株価ボードは見なくても、市場の動きはツイッターやメールから入ってくる。この一週間というのも「機会損失」という言葉に悩まされたが、金曜日になってようやく気持が落ち着いてきた。

この世でお金は「自由を得る」ためにかせぐものだけど、お金では得れない「自由」のことを、これからちょっと考えてみようと思ってる。

2013年12月3日(火)

『犬から聞いた素敵な話:涙あふれる14の物語』という本があるらしい。あざとさが突き抜けすぎて、かえって爽やかにすら思えてくるどえらいタイトル。ひねくれものの私なんかタイトルだけで避けてしまうが、これがけっこう売れているらしいのだ。

作者の山口花さんにとっては処女出版。はっきり言って犬の感動話なんかはいて捨てるほどある中、普通なら人目に触れることもなく、第一刷でひっそりと終了の運命をたどりそうなもの。
だが、ひねりのない素直なタイトルが功を奏して大ヒット。
ええーっ?!

それでもまあ、売れているなら面白いのかも。ヒトがからんだお涙ちょうだいは趣味じゃないけど、犬の話ならいくらでも泣ける。ドライアイにもよさそうだし、いっちょ読んでみるか!と図書館の予約を入れようとしたら……。「予約件数・300件」。おいおい〜!みんな感動に飢えてるな。

なお、現時点で一番予約件数の多い本はといえば、『海賊とよばれた男』。予約件数2000件ええーっ?!
以下、ベスト10には東野圭吾作品がずらり。読んだことないけどさすがの東野人気だ。

『海賊とよばれた男』は市内の図書館に80冊ほど収蔵されているようだが、2000件となると回ってくるまでいったいどれだけ待たされるやら。
一部のベストセラーに借り手が集中するがゆえに、人気の本の購入に限られた予算を振り向けざるを得ず、あまり人が読まないような、しかしいい本の購入ができない、という司書の懊悩がビシビシ伝わってきた。

……と言いながらもこの不況下では、買うまでもなさそうな本にまでお金を払う気持の余裕がないのは誰だって同じ。
出版界のためには「借りる」や「ブックオフで買う」のはおすすめできない読書家のありようだとは思いつつも、私も金銭的、本棚のスペース的理由から、とりあえず予約だけ入れといて忘れた頃に回ってくればいいや、というスタンスである。

そういえば、半年前に予約した『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』、12月にもなるのにまだ回ってきてないわ。これも「予約数の多い本ベスト50」に入っていた。
みんなそこまで疑ってるのか?日本の明るい未来を?!!(自分もな)

ひがしぃ〜 福白山ぁ〜 にしぃ〜 摩耶ノ海ぃ〜

はっけよーい……のこった!

のこったぁ!のこったのこった!

のこった!のこった!のこった!

のこった!のこった!

福白山、こらえる!こらえるっ!

両者一歩もゆずらず!

のこったぁ!のこったのこった!

福白山、一気に行く!

のこった!のこった!のこった!

おすもうが終わったあと。フクちゃんはおじいちゃんに連れられておうちに帰りました。マヤちゃん、ちょっぴりさびしそうです。

フクちゃんは近所に住んでるからすぐまた会えるよ。またおすもうとれればいいね。