お気に入りの有名人をしょったトラックもある。

ガイド氏に聞いたところによれば、オーナーとドライバーの間で事前に「どんなテーマでデコるか」という相談がなされるらしい。労働者のモチベーションが上がる素晴らしい方法だ。

いや、オーナーと運ちゃんの嗜好が正反対の場合、どちらの案が優先されがちかは別として!

かつて日本のデコトラが八代亜紀や工藤静香をしょっていたように、この国でも一時期、女優さんを描いてもらうのが流行ったそうだ。

一方、ねーちゃんの代わりに聖職者?をペイントした車も散見される。
はっちゃけた色彩のまっただ中に生真面目な老人を投下するのもどうかと思うが、信心深い運ちゃんだと、背後から見張られて居眠り運転が減るかもしれない。

ワシ、ライオン、トラといった強そうな動物もよくモチーフとされる。

ちっこいタンク車には長距離トラックほどのゼニはかけられないのだろう。塗りも描き込みも、デコの粋を集めた大型車とは段違いにおおざっぱ。

それでも「予算は少ないけどデコリたいっ!」という情熱だけはビシビシくる。オバちゃん、こういうのもいいと思うわあ。

なんと美しい・・・・・・。雪を頂いた高峰、蕩々と流れる清らな水、風に揺れるポプラ並木。ここに描かれた地上の楽園は、運ちゃんの故郷のイメージかもしれない。

だが言わせてもらうならば、「キレイ」を求めるあまり、一枚の絵に四季の変化をぶち込んで、樹の色をありえん色に塗るのはやめた方が・・・・・・。
ぼんやり眺めているうちに、キレイな風景で通りがかりの宇宙飛行士をおびきよせてエサにする、人食い惑星の風景に見えてきた。

謎のトリ。
女優、聖職者、猛獣に森といったあたりはテーマ選択の動機が見えるけれど、これ(ライチョウの一種?)は意味が分からない。

分からないけどこのカラフルなトリをやたらと見かけたということは、パキスタン的に「忍耐」とか「高潔」とかを示す何かのシンボルなのかもしれない。なんにせよ異国人から見ると、脂が乗ってウマソーなモチーフである。

このトリも良く分からないけど、一番謎だったのは大空をゆく飛行機をでかでか描いたトラックだった。
爆笑している間に写真を撮りそびれたのが惜しまれるが、高飛びへのあこがれを表現したのだろうか?(真面目に言うなら「ワシ、飛行機でメッカにお参りしてきたよーん」というしるしかな)

かつて大流行したという割に、全く発見できなかった女優さん柄を、出国のギリギリ直前になってようやく捕捉。それと同時に、女優柄のむつかしさとすたれた理由がなんとなく推測できた。

皆さんご存じの通り、ヲタ世界においても洋ドラやナマモノジャンルの絵描きさんの平均画力は総じて高い。そう、三次元の美人を二次元に置き換えるのには、高度なテクニックを要求されるものだ。

一方。お花やライオンやライチョウも描くトラック工房の絵描きさん、みんながみんな似顔絵が巧いはずがなく、出来上がったトラックを見て、「えーっ!?俺の○○ちゃんはこんなんじゃねー!」と心の中で涙を流すケースが頻発したと思われるのだ。

この絵が本人に似ているかどうかは知らないけれど、流行が去った絵柄のうら寂しさが心なしかただよっており、「頑張ってかせいで塗り替えてね!」と運ちゃんの肩を叩きたくなった。

後方部分をこんな風に細かいパターンで埋めている車も多い

センスいいですね!

ひとつひとつの絵はこんなに細かく描き込まれている

デコレーションが完成するまでには、平均1ヶ月〜一ヶ月半を要するのがうなずける

旅行中に見たデコトラの中でトータル的に一番まとまっていた車両

真ん中に映画『300』のクセルクセス大王が座ってても違和感のないゴージャスさだ!

バンパーのシャラシャラもおしゃれ

タイヤ部分もぬかりなく

一方こちらは北部の田舎町でひとやすみしていたトラック。心のおもむくままに盛りすぎです!

一体誰にさしかけたパラソルだというのか?

パキスタンのトラック<3>につづく