義恋ーGIREN-の晶山嵐子さんが当サイト開設一周年記念としてエジプト産猟犬を送って下さいました。
短文ですが
調教&ピアッシングという大人向けファクターが盛り込まれてますので18禁といたします。

・・・それにして何だのお・・・ミキは隣りに控えた太鼓腹の執事に話しかけた。
ヒッタイトの女王は一体なぜここまで血を好まれるのか・・・あたくしは時々恐ろしくなるのだよ。やはりあの厳しい土地柄ー心まで凍り付かせる荒れ果てた風景を毎日眺めて育つとああいった激烈な気性となるのだろうか。
犬というものは相手からの愛と信頼を勝ち得て初めてそれを従わせた、と言えるものだろうに・・・のお、マハード。
そう優しく呼びかけて足元にうずくまっていた犬の頭を撫でる。黒い大きな犬は身を起こし思わず口を開いた。「わたくしめは・・・」
キーッ!!!!いつ人間の言葉を発していいと許した?!!」
突然怒りで顔を真っ赤にし、ヒステリックな金切り声で叫び出すミタンニの女王の前で犬に出来ることはただただ、床に伏せて嵐が頭上を通り過ぎるのを待つことのみであった・・・

・・・ってかんじでいつもながらのSMテイストな贈り物、有り難く受け取りました。毎度どうもありがとうございます嵐子さん!穏和なあたくしは今度はどんな風にSMチックなのかといつもドキドキでございますよ。

ヒッタイト女王よりミタンニ女王へ

建国一周年記念に下記のものを贈答したく、お送り差し上げました。
現在進行中のプロジェクトとともに幾久しく、恙無く友好な関係が続くことを祈ります。

贈答品

エジプト産大型猟犬 一匹

以上

先日、武術魔術教習でそちらに逗留した神官に似た猟犬です。
そちらに伺いました折にカリム殿というそちらの神官をつがいと認めたらしく、
恋しがって泣きますので、よろしければ傍に配してやってください。

(紀元前)××03年4月4日
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がらがらがら……
謁見の間の玉座にいるミタンニ女王の目の前に、大きな車輪のついた板に赤い布のかかった大きな箱が運び込まれてきた。
この状態でヒッタイトから運ばれてきたらしい。
大きいといっても、それは五歳の子供の身長程も無い高さ、子供が横たわった程も無い長さ、子供が手を広げた程も無い幅しか無い。
赤い布の合間に見えるのは黒い……鉄。
「ミタンニ女王、ミキチサト様、御覧あれ!」
箱の傍に控えていたヒッタイトの使者が箱にかかっていた赤い幕を払い除けた。
それは鉄の檻だった。
小さな檻だ。
そう。
子供が足をのばして寝ることもできない程の小さな檻。
そこに大きな犬が入っていた。
ふさふさとした黒い尾を檻の外に振り上げ、カンカンと高い音をたてている。
その尾は……鉄でできていた。
鉄の檻にぶつかってかん高い音をたてていたのだ。
けれど、犬は生きていて。
頭髪以外を剃りあげられた体は焼けた鉄のように真っ赤になっていた。鉄の首輪はしずくに濡れ、鉄の鎖もどろどろにぬれていた。
その犬はたくましい体を震わせて必死に顔をあげていた。
だらりと舌をたらして、はぁはぁと荒い息をついて。
大きなとび色の瞳は泉のように雫をあふれさせ、うつろだった。
逞しい太い首には何もつけてはおらず。がくん、とたまに前足の力を失って上体を檻の床に倒していた。
「とんだ粗相を」
使者が檻の外から杖の先で犬をつつくと、慌てて犬は上体を立てる。
ぎしり……と、鉄の檻が開かれた。そのことで、女王から犬の姿がよりくっきりと見て取れた。
それでも、その犬は檻を出て行こうとはしない。
よく躾けられている。
躾も、されていたけれど。
犬の舌の先端には鉄のフックが突き刺さり、太い鎖が檻の縁に繋がっていた。
下半身の『首』につけられた巧妙な細かい細工の鉄の首輪も、犬自身、より太い鎖で後の檻の縁につながれていた。
先走りを吹きこぼすそれは鎖の重さで垂直、どころか後ろに引っ張られている。
犬の足に、吹き流れるような汗に混じって赤い……血が、滲み始めていた。
鉄の尾の根元は犬の手首程も太くなっており、ごつごつと丸い突起が見て取れた。
「強力な媚薬を飲んでおりますれば。いつでも女王様のお気に召すように取り計らえまする」
使者がにっこり笑って、辞儀をした。
「さぁ、お前からも誉れ高き女王様に御挨拶差し上げなさい」
使者に尾をもたれて、犬はぎょっとしたように使者を見た。
使者はにっこりと笑ったまま、かん高い音を立てて、鉄の尾を上下左右に動かしだしたのだ。
「ひっあっっっっがっ……あぁっぁっっっ!!」
犬がびくん!!と跳ね上がり、がたがたと体を震わせて鳴いた。
ガクン……と、前足を倒し、床を舐めるように腰を突き上げる。それはまるで、御褒美をほしがって甘えているかのようにも見えた。
「さぁ、御挨拶を。マハード」
使者が告げる。
マハードと呼ばれた『犬』は、必死に女王を見て、喘ぐように……言った。
「け……んこ……く……きね……ん………………おめで……とう……ござっ……いま…………す……っっっ」
使者に鎖を引かれて、マハードは白濁を吹き出した。
媚薬に狂ったように鳴き続ける。
使者がひざをついて女王を見上げた。
「我が女王よりの贈物は、気に入っていただけましたでしょうか?」
謁見の間に、犬の鳴き声だけが響き渡っていた。
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