<パキスタンのわんわんお> コーランのどの箇所に示されているかとか、なぜそうなのかといった詳細はちゃんと調べたことがないけれど、イスラームでは犬は不浄な動物とされるらしい。 しかし同じイスラーム世界であっても、国によって犬への対応には若干の違いがあるのでは?となんとなくだが思うのだ。 たとえば、実際にサウジアラビアには行ったことないけれど、ケンネルクラブの会報によればかの国では、犬を見ようものなら石つぶてを投げて追い払うほどの嫌われっぷりと聞く。 一方、西欧化の進んだトルコの都会では、綺麗なリードをつけて主人と歩いているペットドッグをちょくちょく見かけた。 イランでは旅行中にただの一度も犬を目にすることはなく、エジプトでは遺跡に住み着いている柴くらいの大きさの犬を見かけたものの、観光客からエサをもらって細々と生きてる感じ。 カイロのペットショップや、バザールの動物市場ではキリスト教徒向けなのだろうか、愛玩用の犬も売られていたが、日本人の感覚からすると管理があまり良くなくて(欧米人から見れば日本人の犬の扱いもせいぜいなんだけどさ)、イマイチ日陰者という印象だった。 さて、このたび訪れるパキスタンではワンちゃんに会えるのだろう?会えるとしたらどんなワンちゃん?アフガニスタン寄りの土地なら、アフガンハウンドみたいな長肢タイプはいないかな? ツアーの他の人々の頭の中が、カラコルムの山々への期待でパンパンであろう時、私はまだ見ぬ犬を思い描きつつ、ドッキリするほどマズい中華航空の機内食を、飛行機備え付けのリバース袋に押し込んで、「ワンワン弁当」(海外旅行では常備だ!)の作成にいそしむのであった。 しかし野良犬といっても、近寄ると飛んで隠れるようなおどおどドッグばかりじゃない。そこらでまったり寝転がったり、人のあとをついて回ったりしている。 それでも人間からは一定の距離を保っているのは、大多数の大人は貴重なエネルギーを使ってまで犬をいじめないけれど、たまに邪険にされたり、悪ガキに石を投げられたりするせいと見た。 野良であっても人間様が捨てる生ゴミ食べ放題なようで、気の毒になるようなやせっぽちは皆無。 犬を飼ったりなで回したりしないけど、さりとて不浄な動物だからといっていじめはしない。犬たちの様子を見ていると、パキスタン人と犬とのかかわりは、はそんな風なのかなと思えてきた。 もちろん短い旅行の間には本当の姿は捕らえきれないだろうけど、パキスタンのあちこちで抱いた「人間がおっとりしている」という印象は、犬との関係においても同様に感じられた。 |
![]() パキスタン入りした初日は全く犬を見かけなかった。 他の人たちに不審がられないか?パキスタンでは犬は迫害されているのだろうか?とつのる不安。 だからトイレ休憩で立ち寄った街でこいつらに出会った時、喜びいさんでダッシュする私。 |
![]() だが、愛玩されることに慣れていない野良犬どもはむちゃくちゃ不審げ。こちらをジロッとにらんでいる。 そりゃ目がゴマみたいにちっこい人間が、「ワンワンだー!」とアホみたいに突進してきたら、野良でなくとも頭の中のレッドアラートが鳴り響くってものよね。 |
![]() 「グォンォンオン!」恐ろしい声で威嚇すると同時に、逃げる気マンマンな体勢である。 |
![]() 上の写真の三頭はクモの子を散らすように逃げていった・・・・・・。が、少し離れたところでウロウロしている。 |
![]() あ、人なつこいやつが近寄ってきた。 |
![]() 頼んでもないのに「なにかください」とおすわりしてみせた。「おすわり」は犬の世界共通語なのだろうか? |
![]() 中華航空のパンであってもバターは入っているからウホウホ食べている。 |
![]() 記念写真をパチリ。微妙に距離があいているのは、狂犬病を恐れてのこと。 |
![]() 野良犬なんかとたわむれている日本人の方が珍しいらしく、パキスタンの人々に注がれる熱い視線で焼け死にそうだ! |
![]() 街をゆったりと歩く堂々たる体躯の野良犬。サイズはラブラドールくらいある。 |
![]() ちっこい食堂の前に寝転がっていた犬。 |
![]() シェパードっぽくてなかなかの男前である。 ホテルのバイキングでこっそり弁当袋に突っ込んできたパンは、「フンッ!」と鼻息を吹きかけただけで完全スルーなくせして、バター入りのクッキーはウホウホ食いやんの。憎!! |