中部エジプトの街ミニヤはアマルナ遺跡訪問の拠点。オレンジ色の街頭に照らされた商店街は子供の頃に見た風景にどこか似ていて、なんだかとても懐かしい。頭上のスピーカーから演歌が流れてきたら、そこはもう「三丁目の夕日」の世界。
レコード店の店頭でキメキメポーズのイケメンズを発見!エジプトのアイドルグループなのだろうか。
ムッチリ、ヤンキー、胃弱そしてリーマン。メンバーのキャラがバラバラすぎて、音楽的傾向がさっぱり想像つかんわ!(怒)
ショーウィンドウの飾り付けに赤んぼ人形を大量投下する方式は、エジプト各地で視認された。
ベビーちゃんいっぱい。エンジェルたちの微笑みは見る者の心も優しくさせるよね……。
この子たちは三人きょうだいかな?キャッキャッ、バブバブと楽しいおしゃべりが聞こえてきそうです。
アジアの写真館では、写真家としての力量とグラフィックツールの限界に挑むがごとき記念写真がショーウィンドウに誇らしげに飾られているのをよく見かけたが、ここエジプトでも記念写真はハデであればハデであるほどグー!やりすぎなくらいがカッチョいい!という嗜好が確かに存在しているようだ。
以下の写真はミニアで採取した記念写真の数々である。
空中を遊泳するハートマークがやや痛いものの、このレベルだとごくありきたりである。
車に乗ったハッピー満点なカップルが立体感ゼロ、フロントガラスに張り付けられた嫌がらせ写真になってるのに注目。このレベルでいいなら、私でもミニアで写真館を開けそうだ。
こちらはややオヤジの想像力が冴えを見せている。
結婚式は女のためにするものである。ここでももちろん主役は花嫁さん。一つの画面の中に四回も写し込まれて幸せ四重奏!
この写真館の経営者はリピートマニアと見える。花嫁さんのみならず赤ちゃんまでが画像複製→ペースト→レイヤー統合されている。
だからこの程度の写真なら私でも……。(以下略)
前言撤回! ごめんなさい許してください!!私は思い上がってました!と完全敗北宣言。
依頼主の大事な赤ちゃんを題材に、こんなシュールすぎる作品を作ってしまうとは、この写真館のオヤジ、ただ者じゃないなぁ?可愛いヒヨコもヒエロニムス・ボス描く地獄の住人に見えてくる。
太陽と惑星と、卵から生まれいずる赤ん坊。そして鏡の中で反復される新人類のイメージ……。BGMはもちろん「 ツァラトゥストラはかく語りき」。オヤジの頭の中身を疑ってしまう、まことに薫り高い作品である。