めばえ コレクション#3 ヘボピー 女 不動産業

拝啓 土門様(※1)

5歳位の時から、性的興奮を感じ始めたのを、ハッキリと自覚しておりますが、色々なものにカンジていたので「これが初めて感じたエロだ!」と、パッと言えるものは無いです。

河原を父と歩いていた時に見た、コンクリートの橋の壁にスプレーで描かれたへったクソな女の裸、幼稚園のころ、同じクラスの男の子にトイレを覗かれた時。 幼稚園の友達と公園で、「私○○くんに××された」と、お互い自分がされたつもりのエッチな話が、天より高くエスカレートしていった時。 「お湯をお尻にかけられ、お股に砂を盛られておはしてグリグリされた」とか、ハードSMの様なことを言った覚えがあります。

姉(※2)とも同じ画集をよく見ておりましたが、私が強く心惹かれたのは、姉の様に物語性のある絵ではなくて、ズバリそのもの、画家が穴から覗き見たハーレムの女風呂を描いたものでした。 しかも「トルコ風呂」という題がついていた気がします。 思いこみか?

でも、一番たくさんエロを感じさせてくれたのは、やっぱりマンガです。

幼稚園で一番仲の良かったコの家が貸本屋で、マンガはよく読んでいました。 その中でも、一番強烈に印象に残っているのが、永井豪の「まろ」でした。 そう、私のめばえはやっぱり「まろ」かな?

「まろ」は平安時代を舞台にした、バカ殿が主人公のギャグマンガです。 私がコーフンしたシーンは、思い違いはあると思いますが、城の女達がスッ裸でくつろいでいる時に、乱暴で醜い、全ての女に嫌われている男(ここがポイント)が進入してきて、「あ〜れ〜」と逃げまどう女達を無理矢理つかまえようとする所です。 

苦悶の表情の女の、バストから上がアップのコマがあったんですが、誰かが乳首をサインペンで赤く塗ってあるんですよ。 他の読んだコもたまらんかったんでしょうね。 それを見てますますコーフンしました。

女達には逃げられたのかどうか、城にはヒゲの生えた女だけが、騒ぎに気付かず残されるのです。 で、結局、男に捕まって御簾の中に連れ込まれるのですが、コマは外から見た御簾のアップになってですね、そこから7通りの書体で、七色のあえぎ声が聞こえてくるんですよ。 「そんなに気持ちいいのか?」と思いましたね。

2年ほど前、文庫本になったものを「あの頃のコーフンよ、もう一度蘇れ!」とばかりに読みましたが、残念ながらあの頃感じた性的快感は得られませんでした。

今、エロ本を見てもAVを見ても、子供の頃エロ本を盗み見た時の、あれ程の興奮と快感を得ることはありません。

土門様、僕は一度医者で診てもらった方がいいのでしょうか・・・?

                                敬具

左・アングルの「トルコ風呂」(ルーブル美術館蔵) アングル83歳の作品。 

元々は長方形のカンヴァスに描かれていたが、これを買い取ったナポレオン王子の妻がショックを受けたのでアングルの元に返品され、その後円形に仕立てられて他に転売されたという。

※1・知る人ぞ知る。 水島慎司「ドカベン」中、山田太郎はいつもこの出だしで手紙を書いていた。

※2・私(三木)のこと。