カッパドキアでホテルの回りをウロウロしていた牡犬。

揚げ物をやるとどこまでもついてきて腹を見せ転がり回っていた。

 ビル(1)KANCHOしちゃうから

唐突だが、皆さんは浣腸のお世話になったことはあるだろうか?

私はある。しょっちゅうある。ゆえに浣腸と聞くと思わず微笑みが漏れる程の親近感を抱いている。ーまた便秘症でなくともあの形を知らない者はまずいないであろう。

その商品名「イチジク」「ビワ」等の名が示すとおりの丸く優しげな曲線、淡いピンクまたは乳白色の色彩(たまに透明)...手のひらでそっと包み込める小さな物体は、その愛らしい体に秘めた大きなパワーで便秘に苦しむ者を苦痛から解放してくれる最終兵器である。


それまでも私たち姉妹の間では、海外の浣腸はどのような形態か?という話題が酒の席でちょくちょく取り上げられていた。

「外国で便秘したらどうなるんやろ?」「そんなもん薬局で浣腸の絵ぇ描いたら一発やで」「全世界で浣腸って同じなんかな」「....あの形以外に不可能やろ?製品として」

ーしかしこんな形でその疑問がひとつ解き明かされるとは夢にも思わなかったのである。


その日私はトルコ・カッパドキア地方・ギョレメ村の洞窟ホテルの一室で、土気色の顔で毛布を頭からかぶっていた。

早朝から吐いても吐いても胃痛が治まらない。胃弱だというのに、ギョレメ村の青年団を引き連れての昨夜の飲み会で羽目を外しすぎた・・・いくら後悔しても胃痛が治まるわけではない。日本から持ってきた強力胃薬はもう一包も残っていない。飲んでも胃に吸収される前に吐いてしまうので効果がないのである。

今日はカイマクルの地下都市を見に行く予定なのに・・・ベッドから起きられないまま時計はもう12時。このままではカッパドキアくんだりまで吐きに来たようなものだ。・・・うっ・・・そう考えている間にも波状攻撃で吐き気が襲ってくる。水を飲んでもすぐに吐くので脱水症状を起こしかけ。体の中にどんどん老廃物が溜まって来ている気がする。「ヤバい!このままでは自家中毒を起こすんじゃ」そう思った私は部屋でウロウロしているマミを弱々しい声で呼んだ。

「マミ・・・薬局で浣腸買ってきて・・・」

上から出すならついでに下からも出して体の中を掃除すれば良くなるんじゃなかろうか。単純にそう考えた私であるが、小一時間後にマミが手にしてきた小さな箱の中には、

なにやら得体の知れないチューブが。

「マミ、これ何よ!?ちゃんと浣腸って言ってくれたん?」力を振り絞って怒る姉。マミもギョレメ村まで来て浣腸買いにやらされた挙げ句、叱られたらたまったもんじゃありません。

「トルコ語辞書に”浣腸”って無かったから、薬局の若い兄ちゃんに”インキバズ!インキバズ!(便秘)”て叫びながら浣腸するポーズしたよお!」

そう言いつつも、マミも余りにもの日本の浣腸とはかけ離れた形態に自信なさげ。「この箱に何て書いてあるんやろ」「ポケット辞書だから単語がほとんど載ってないよ・・・でもちょっと!ここのトルコ語、日本語で溶岩って意味や!」

溶岩。きっと酷い便秘すら溶岩の如く流れ出すと言いたいのであろう。国が違えど人間の抱くイメージには共通点が多いものである。この単語でそれは絶対にトルコの浣腸であると確信した私達であるが、チューブに入った軟膏状のそれは余りにも強烈に効きそうで危険すぎる・・・旅先で溶岩みたいに止まらなくなったら、ねえ。

結局マミが恥を忍んで男前の兄ちゃんから購入した浣腸は日本へのお土産にと。

で、浣腸を使わなかった私がどうしたかって? その日の午後には何とかカイマクルに向かうことが出来たのであった。ーというのは、マミが帰ってくるまでに喉の乾きに耐えかねて一口飲んだ「常温で放っておいたアイラン(しょっぱいヨーグルトドリンク)」。それであっという間に便秘から下痢に・・・体の中もすっかりクリーンになったのである。

【教訓】腐りかけのヨーグルトは何よりも危険である。

トルコの浣腸と日本の浣腸(アイデアル浣腸)

一見すると用途が同じとはとても思えない。騎馬民族と定住性農耕民族くらい違う。キュートな日本浣腸に対し、トルコ浣腸はなんか攻撃的で尻に刺さると痛そうである。

世界の浣腸はどんななのか?猛烈に好奇心が湧いてきました。アフリカの浣腸は?ルイ14世の愛好した浣腸は?人種によって浣腸に頼る頻度はかなり違うのか?

海外の浣腸情報をお持ちの方はお知らせ下さい。(うちのサイトこんな「情報提供求む」ばっかや・・・)