<イラン・いろいろ>

テヘラン考古学博物館はイラン最古にして最大の博物館。

エメラルドグリーンと金のコンビネーションがたまらん!ぜひ我が家にもこういう表札を……。

……という妄想はおいといて、イランの遺跡といえばペルセポリス。ヨルダンのペトラ遺跡、シリアのパルミラ遺跡とともに「中東の3P」と呼ばれる有名物件である。

だがぶっちゃけイラン遺跡にはぜんぜん興味ない我々。博物館とかべつにいいわーと思いながらも、入国していきなりコース変更してもらう勇気もなく、ヒツジのように従順にガイドさんについて行った次第である。

水を打ったように静かな館内。盗ろうと思えば盗りほうだい。

こんなプチな遺物ですら、ありあまるスペースを活用して展示されている。

イラン北部、カスピ海に面するギーラーン州。そこで発見されたマールリーク遺跡から出土した紀元前一千年の動物。まろやかなお尻のカーブが魅力的。

説明書には「pottery(やきもの)」としか記されていなかったので詳細は分からないけど、みんな口がタコチュー型であることから推測すると、水差しとして使用されたのではなかろうか。

紀元前の作品とは思えないモダンなフォルム。リサ・ラーソンの新作なのよぉと言ってもナチュラルに通るかも。

遠くから見ると「ミイラなんか?」とドキッとしたけど、近づいたら土製フィギュアで胸をなでおろした。
ピシッ!としているのはいいけれど、足が長すぎて横からの突風に弱そうだ。

私が「犬車」と勝手に呼んでいる物体をイランでも発見!しかしこいつも口がタコチュー……ということは、上のアニマルたちも本当は水差しではないのだろうか?謎は深まる。

優しくさすりたくなるまろやかなお尻といい、つんっ☆とつつくとすす──っと滑りだしそうななめらかな車輪といい、これまで目にしたどの犬車よりも完成度が高い。犬に比べると背中に乗ってる人間?が若干雑なのもご愛敬。

こいつはカイロ博物館の片隅にいた犬車。「オモチャ」のコーナーに展示されていた。
古代の職人が子供を喜ばせようと片手間に作ったのだろう。親心は何千年たっても変わらない。これをもらった時の子供の喜びようなんかを思い描いてほのぼのする。

パキスタン・タキシラの博物館の犬車。(馬や鳥もいるが)

この博物館にはガンダーラ美術ファンは泣いて喜ぶ遺物がわんさか収蔵されている。だが、ブッダ像を熱心に鑑賞する人々を横目に、私が歓喜の声を上げて駆け寄ったのは犬車。

「ホントは写真ダメなんだけど、バクシーシくれたらこっそり撮ってもいいよーん」という職員の言葉に甘えました。

この博物館では「WHISTLE(笛)」の札がついていた。
えっ?コロコロだけじゃなくて笛にもなるの?ますます謎は深まる。真実を知るためにちょっくら吹かせて頂きたい。ポーッ、ポーッ。

ガンダーラのおもちゃはエジプトやイランに比べて良く言うとプリミティブ、悪く言えば雑。
右のネコ?なんかもう、「子供のおもちゃ」というより「子供の粘土細工」。

今日は参観日です。ほこらしげに飾られたこどもたちの粘土細工、かわいいですね!

……だがよく見ると一体だけ異彩を放っている。一体なにを作ろうとしたのだろう?オバQ?ガチャピン?バーバーパパ?

こちらは現代の犬車。バングラデシュ・タンガロイ村の現代のこどもたちが作りました。博物館のガラスケースに放りこんでも「ふーん」で済ませてしまいそう。

テヘラン考古学博物館の最大の目玉展示物、塩田から発見された1700年前の男「ソルトマン」を前にして、ヘラヘラ笑うヘボピーさん。

ソルトマンを真正面から写した写真もあるのだが、落ちくぼんだ目、潰れた鼻なんかをじーっと見てると怖くなってきたからアップは自粛。

ソルトマンがはいていたブーツは三越伊勢丹の靴売り場に並べても違和感なし。

なお、DNAを分析した結果、ソルトマンは年齢約37才、身長175センチ、血液型はBと聞いて、金髪のどえりゃーイケメンを妄想しようとしたけれど、塩漬けミイラ化したホラーなマスクを見ながらでは無理でした。

普通グリーンは目に優しい色なはずだが、イランのグリーンはどこでも手入れがよすぎて時に目にしみる。植え込みを個性的なフォルムに刈るのもイラン風。

手がかかっていることは分かるけど、この形を見ると反射的にウ○コを連想してしまうのは精神年齢が低いからだろうか。

中に小鳥が住んでたら面白いのに。

気の毒なかんじのニワトリ。

見上げるほどでかいこちらのサギはセメント製。こういうブツが突如として車窓の外に出現すると度肝を抜かれる。

画面の外にはイヌとサルもおりません。こちら岡山ではなくイラン北部のラムサーという街です。

あっ!またウ○コや〜!とはしゃいでいたら、不審な看板に気が付いた。どう見てもポップスターじゃないし、この看板、いったいなんだろう?

これらはイラン・イラク戦争で命を散らした兵士達を悼み、感謝を捧げるための看板だそうです。
行く先々あらゆるところで見かけたけど、テヘランよりもラムサーに特に多かったのは、イラクとの戦闘が激烈だったせいだろう。

似顔絵ヴァージョンに比べると写真バージョンは亡き青年のありし日の姿が生々しく伝わってきて、目に入るとブルーになる。

若くして命を落とした彼らが、せめてチューリップの花咲き乱れる楽園で楽しく過ごしていますように!という生者の祈りがあふれている。

ではイラン・いろいろ<2>でおあいしましょう!
……ってお前はパキスタン産や!!(怒)