海外旅行のパンフレットを開くと、「全日空で行くアンダルシア」「日本航空指定!ロマンチック街道の旅」といった、日本のエアライン利用であることをウリにした商品が必ず目に入る。そしてそういったコースは、海外エアライン利用の場合より割高だ。

私はめったに国内エアーを使わない。理由はシンプル、ケチからだ。それに、飛行機なんか寝てりゃなんでも同じだと思う方なので、「たかが10時間くらいのフライトで全日空日航にこだわる人って、外人のキャビンアテンダントが苦手な年寄りなのかな、ぷぷっ……」と、小馬鹿にしていなかったと言えばウソになる。

だが今なら力強く答えるだろう。エアライン選択の際には「全日空で!!」と……。


去る5月のインド旅行の際に、はじめて全日空の成田ーデリー直行便を利用した。
というのは、その5ヶ月前の初インドの際に、使用したエアーインディアがそれはもう、5分おきに時計を見ては「到着まであと○○時間、到着まであと○○時間……」と念仏のように唱えるほどキツかったからである。

なにがキツいって、なぜか香港で2時間近く機内待機、座席から立ち上がっても叱られる、というデリーに至るまでの奴隷モードもさることながら、機内食(当然カレー系)とそれに伴うスパイス臭が、やわな旅人の副交感神経を刺激しまくり、空前絶後に疲れたからである。
よって私とヘボピーは意見を一致させ、GWの旅を計画する際には、旅行会社の担当さんにシャウトした。「エアーインディアだけはイヤー!」と。

いや、座席がガタガタしてもいい。キャビンアテンダントが怖かろうと、香水がキツかろうとそれもいい。テレビが部分的に見えなくたって、リモコンの使い方がさっぱり分からなくたって我慢できる。

だが、ホンマに駄目だ。あの機内食だけは……。

そのあたりを各エアラインと比較しながら、日本の航空会社がいかに繊細であるかを、とくとごらんください。

エアーインディア、往路初回のノンベジ機内食。カリフラワーとチキンみたいなものをスパイスで煮込んである。いや、この時はカレー系もまだ珍しくて「わーっ!おいしそう!」と喜んでたんだけどね……。

上段まんなかの白くてぐちゃっとしたものは、ハッカみたいな味のオートミールみたいなスイーツ。けっこうキツいものがある。

エアーインディア、往路の朝食。このあたりからだんだん怪しくなってきた。

クセの強い匂いの米と、グリルチキン、ハッシュドポテト。そして日本のパン屋で販売しようものなら三日で店が潰れそうなPASA PASA クロワッサン。
左上に見えるマンゴーが唯一の救い。これとヨーグルトしか食べられんかった。

どぼげぇぇぇええ!食べ物のことをこんな風に言ったら神さまに叱られるとは分かっているが、ふたを開けたらこいつが出てきた時の胸のむかつきは忘れられない。どぼげぇぇぇええ!

エアーインディア、復路の夕食。7日間の滞在中にインド料理で疲れ切った胃にこいつでは、マジでリバース10秒前。

拡大図。チキンと干しぶどうを入れて炊いた米と、カレー味のポテト。機内食の常で中途半端に温められた結果、なんとも表現しがたいクセの強い匂いを発している。

なによりこのチキンの煮込みみたいなやつ!食事は目でするものという要素が完璧に抜け落ちている。せめて色がカレー色ならあきらめもついたのだが、なんできちゃないグレーで仕上げるねん?!

♪チャリラリラーン(大正琴の音色)全日空をご利用頂きまことにありがとうございます。
お客様、和食か洋食、どちらになさいますか?と柔らかい物腰のCAに問われて和食を求めると、出てきた食事がこれ。味もよかでした。

いろいろ選べるドリンクには冷たいかぼすジュースもある。一口飲んで口をさっぱりさせたあとは、ドリンクホルダーへ。無論こんな気の利いたパーツ、エアーインディアにもイラン航空にもついてない。

別項で書くが「イランの空港でエンジントラブル・遅延しまくり事件」の際に、イラン航空が怒れる乗客をなだめるために配った弁当。

でも、中からこんなん出てきたらもっと怒らへんか?
なお、この数時間後に全く同じ弁当が再度配られ怒り倍増。

「パキスタン・国境超えられなくてリターン事件」の帰路、ぜんぜん予定になかったキャセイパシフィックに乗って帰国。
バンコク発なせいかタイ風味だがそこそこいけた。野菜もきれいでフレッシュ。なによりもビールをなんぼでも持ってきてくれるのが☆三つ!

中国南方航空・北京ーウルムチ便。緑はワカメ。黄色はタクワン、茶色のぐちゃっとしたものは牛肉の煮たやつ。食文化圏が近いだけあって、味的にはけっこういけたものの、いかんせん見た目が……。

♪チャリラリラーン(大正琴の音色)全日空 デリー成田便のの洋食タイプ。キッシュとラタトゥーユ。見れ!角切りフルーツのお行儀のよさを!

屋台飯かよ。中華航空 大阪ー北京便。でもまあさすが中華料理、味は可もなく不可もなく。

全日空 デリー成田便の朝ごはん。サンドイッチの中心部の緑のものはアスパラガス。

なんやもうカフェ感覚だ。外人のでかい胃にはぜんぜん足りないだろうが、インド料理で疲れた日本人ツーリストの胃には、こんくらいの量でちょうどいいわ。

こいつが出てきた瞬間に、ヘボと私は心に誓ったのである。これからインドに行く時には、もう全日空しか使わへん、と……。

一方こちら、中国南方航空・ウイグルーイスラマバード便の朝ごはん。
食べかけに見えるけど食べかけじゃない食パンと、ザーサイと着色料が怪しいソーセージ。ええかげんにせえ中国人。

まあ、ここまでぶちかましてくれるとかえって腹も立たない。キュウリをポリポリかじりながら飛行機を待つのもまた楽し。