「神官たちの勤務先を辿る旅」の仕上げは、このナイル西岸、太陽の沈む死者の町であるネクロポリス・テーベ。
古代エジプト人はここをイメンテト・エン・ウアセト(テーベの西)、タ・ジュセル(神聖な土地)と呼び、王家や貴族の墓、各種葬祭殿などを建設した。
シャンポリオンによって「王家の谷」と名付けられたテーベ山の麓の二本のワディ(枯れ谷)に位置するこの墓所は、24基の王墓を含む62基の墓が含まれており、ここを監視するのが警察部隊・メジャゥイの仕事だったそうだ。ゆえにマハードはいわば「古代エジプトのFBI」。
メジャゥイは王墓に通じる道を監視するかたわら、定期的にパトロールし墓の封印が破られていないかを確かめるのが仕事だったらしい。しかしそういった尽力にも関わらず、盗賊のみならず葬儀を取り持つ神官や埋葬者の親戚など内部事情に通じた者によっても墓は暴かれ、20王朝に至った時にはすでにかなりの墓が盗掘の憂き目にあっていた・・・
若くして亡くなったツタンカーメンの王墓でさえ未盗掘ならばあれだけの見事な品々が埋葬されていたのだから、治世の長かった偉大なファラオの王墓から一体どれだけの宝物が盗掘されたのか!
金銭的な価値だけを求める人間によって無惨にも分解され、金を溶かされてその美しい姿が永遠に失われる、といった事が何千年の間続けられたのか・・・それを想像するだけで悔しくて胸が痛くなってくる・・・まぁ明日のパンにすら困窮する生活にあっては、美もなんもない気持ちも分からんでもないけどね・・・
|