2009年2月28日(土)

コールドプレイのコンサートに向かう途中、ペットボトルに水を入れてくるのを忘れたことに気がついた。
これがゴビ砂漠だと己のうかつさを呪いながら干物になるしか手はないが、ここはモノで溢れる大都会。3分も歩いて自販機にワンコイン入れれば水なんか簡単に手に入る。

とはいえ、タダみたいなものに100円払うのはステオク(すてきな奥さん)ソウルが許さない。
けど電車賃をケチってコンサート会場まで自転車をヒーコラこいで来たせいで、喉はからから。このままでは「美しき人生」のサビ部分の大合唱に加われない。

その時目に飛び込んできたのは公園のトイレ。3秒ほど悩んだ末、「水道から出てくる水はどれも同じ」と蛇口をひねった。うひゃーっ!歯にしみるほどキンキンに冷えててうまいっ!(戸外ですから)

後日その話をヲタ友M野ーリスキーな資産運用は一切なしでン千万円を貯金、バッグにはペットボトルに入れた水道水を常備しているステオク先輩に話したところ、「飲めない水道水もあるから気をつけてね」とぽつっと一言注意された。
なるほど、そう言われれば「この水は飲めません」って札のついた蛇口、時々見かけるよね。あれはこういう行為への注意を喚起するためだったのか!今まで「こんなとこの水飲むわきゃないじゃん、バッカじゃねーの?」と高慢なうすら笑いを浮かべていた自分に罰を与えたい気分よ。

9月竣工のマンションの頭金がイメージ通りに貯まらなくて、尻でボーボー燃えさかる火力がきつくなってからというもの、こんな調子で励んでいるステオク生活。

電気代もしかり。以前なら「待機電流節約のため、外出の際にはコンセントを引っこ抜く」くらいで偉くなった気分でいたが、今ではブレーカーから落とすというめざましい進歩を見せている。
ただ、節約雑誌で目にする「電気会社に頼んで利用ワット数を落としてもらいましょう」という裏技は、電気会社に電話してみるとワット数が選べるのは関東だけで、関電は「家庭用」と「業務用」の区別しかないそうなので念のため。

そいでもってもちろん食事は三食とも内食。会社のトースターで食パン焼いたりしている。
また、たまに妹たちや友人と外食する際も、「とにかく安いとこにしよーぜ!」と満場一致でサイゼリヤ直行。客単価千円(株主優待券使用)で6時間粘ってもへっちゃらなまでに成長した。

でも、そういう生活の方が結構楽しかったりすると知った今、バブル世代らしくぜいたくに慣れきった今までの自分が、とんでもない愚か者に思えてくる。小洒落たバルで二人3万円なんて消費行動、今じゃぜったい考えられないよ・・・たとえカレシがおごると言ってくれても、やめとこーよと答えるだろう。

・・・とまあこのように小銭を惜しむ一方、大荒れの株式市場では一晩で100万単位の大銭を失いかねないので、トータル的には何やってんだかという感じだが、ちょっと前からおそるおそるはじめた「売り方」(値段が高いときに株を借りて売って安くなると返す方法ね)のお陰でなんとか順調。株って楽しい!と久々に思える展開になっている。

投資をはじめて15年、これまでは証券マンにどれだけ「リスク分散のためには売りもやらないと」と勧められようとも、絶対に首をタテに振らなかったのに、こんなことなら「信用取引は怖い」なんて先入観を持たずにもっと早くトライすべきだったなあ・・・・・・。

今までのところは予想がかなりの高確率で的中しているので、アタシ売りのセンスがあるんじゃないの?とうぬぼれそうな己を必死でいましめているところ。
そんな中、昨日のNYダウは100ドル超えの下げ、11年10ヶ月ぶりの安値。今まではNYダウに引きずられるように下げていた東京市場は、ここしばらくというものNYが不調な翌日でも、円安効果で思いのほか上げちゃたりするのでヒヤヒヤものなんだけど、どうだろう、月曜日の日経平均は多少なりとも下げてくれるかな?

景気回復局面になったら買いで入るからさ、今はとにかくマンション頭金の支払い期日まで、株よ下げろ!円よ高くなれ!(FXではドルー円の売りです)と祈願する毎日だけど、一日も早い世界景気の回復を願う善良な一市民としては、なにやら背徳的な気分がしないでもない。

2009年2月26日(木)

のっけから辛気くさくて恐縮だが、ここしばらく未だかつてないほど体調が悪くて、この日記すら書く気力がない。

めまい、動悸、頭痛、息切れに加えて、朝起きられない、這うようにして会社に行っても集中できない。退社後はジムどころかウォートランする気力すらなくてソッコー家に帰って平日なのに12時間寝てしまう。
そいでもって常にイライラしていて、人と話してる途中で急にめんどくさくて言葉が出てこなくなって、不安でたまらなくて夜中に何度も目が覚める・・・・・・って、これは立派にうつ病の初期症状じゃないの?(自分がうつ病だと思う人はうつ病じゃないってよく聞くけどさ)

とは言いつつも、医者に処方された薬に頼るのは怖いので、できれば自分で何とかしたい。
となると、何かに夢中になって鬱を忘れ去るしかない。それが何であっても構わない、男でも女でも、二次元キャラでもアルパカでも。

そんなわけでここしばらく何か燃えまくれる対象を発掘せんと、ジムで見かけるスキンヘッド男に惚れようとしたり、デパ地下でおそうざい売ってる眼鏡っ娘を好きになろうと自己暗示をかけてみたり(私はなぜか食品関係の女性に弱い)、手当たり次第に映画を見てお気に入りキャラを見つけようとしたり、アルパカの値段を調べてみたり・・・とあがいている。

「下手な鉄砲も数撃ちゃあたる」とばかりにちょっとでもグッときたものには何にでも食いついてみる中で、今一番気になっているものは、先日書いた“スティッチ!”。ううう・・・この年になって「スティッチ大好き!」なんて書くのはたまらなく恥ずかしいのだが・・・・・・。

今日も会社が終わってから、眼鏡&食品っ娘萌えを求めて某ガールズバーに行こっかなと思っていたものの、スティッチの放送日だったことを思い出してあっさり帰宅。
ワンピース姿のプリークリー(声・三ツ矢雄二
は、いつものごとく一人称「ボク」のくせして「だってバースデーガールなんだものぉ〜」なんてクネクネしてたもんだからミキ大喜び。やれー!その調子だプリークリー!「男?女?どっちなの?」と視聴者のよい子たちをもっと混乱させてやるのだ!

うんと小さい頃からディズニー映画はかなり押さえている方なんだけど、不覚にもスティッチだけは「ヤンキーが好きなキャラ」と決めつけて食わず嫌いしていた。ウォートランに続くリアルタイム乗り遅れで悔しい。ネットで調べると、東京ディズニーランドでもスティッチのショーなんてものがあったみたいですごく悔しい。
そこらへんどうなのだろう。今でもおとぎの国in千葉に行けば着ぐるみのプリークリーに会えるのだろうか?彼に飛びついてツーショットを撮るためなら、オイラなんでもするよ!

あ、こう書いてたらなんだからやおら気分が盛り上がってきた。この調子だ自分!鬱なんか吹き飛ばせ自分!・・・って、燃え&萌えの対象が一つ目&三本足で女装が趣味の異星人だなんて、あまりにものイロモノぶりに頭をかきむしりたくなるが、萌えの心は大切に。うーん、タイプ的にはちょっとアニメ版のシャダ(遊戯王)を彷彿とさせるかな。

・・・というわけでしばらくは“スティッチ!”映画版&テレビ版のDVDを片っ端から見るという楽しみができた。
それがまたプリークリー、テレ東の日本版だけに登場するキャラかと思ってたら、ガチムチなジャンバ博士(同棲してるよ・笑)と共にアメリカ版でもレギュラーなんだと分かってすっごいうれしー!

ただ、ディズニーとははまった者の魂を食らいつくす怖ろしいジャンルだと聞く。お子さま&浮かれた若者向けという印象があるがなにがなにが・・・本気のファンは目が怖い。以前見たTVチャンピオンでも鉄ちゃんとタメはるディズニーマニアの激しさに、「草食動物だと思ってたら・・・」と思わず失禁しそうになったものだ。

無慈悲にゼニと時間と体力の供出を要求する、広くて深いディズニーワールド。私もオカマの異星人にはまった勢いで、オリエンタルランドと本家(ウォルトディズニー)の株主になったりしないよう、そのあたりくれぐれも注意しておく。

2009年2月25日(水)

ミライちゃんの「ミラバケッソ」CMをきっかけに、巷では秘かなアルパカブームが来ているらしいね。クラレなんて会社、存在すら知らなかった学生さんたちも、CM効果で面接に来る人が増えたとか。

でもそんな学生たちを「くすっ、たんじゅーん!」などと笑えない。大阪のペットショップでヒマそうに口をもぐもぐさせていた芝ヤギ(小型のヤギ)をあやうくベランダで飼いそうになった前科のある私は、ふわふわ・むくむくのミライちゃんのあまりにもの愛らしさに「鳴かないんだったらうちでもいけるかなぁ・・・」なんてうっかり本気で購入を検討してたんだから。(※)

だが「地球のあるきかた・ペルー」とかで目にするアルパカは、毛がレゲエおやじばりにウエッティー&ヨレヨレで写真を見るだけでぷーんと臭ってきそう。おまけにアルパカとは繊細な生き物なので、気分を損ねたり怖がらせようものなら思いっきりツバを吐きかけられるらしい・・・・・・。

アルパカ牧場の400頭の中から性格・毛吹き、色、顔、まつげの長さetcの優れたものを選び抜き、そいつを撮影ギリギリ前に風呂に入れ、5、6人がかりでドライヤーで乾かした上、凄腕のトリマーがトリミングして完成したもの、それがミライをはじめとするエリート・アルパカに違いない。

一方、私はちっちゃなコッカースパニエル・・・いや、それどころか全身短毛で耳と尻尾の毛だけ長いという、お手入れ楽々なはずのサルーキの耳の部分にすら毛玉を作ってしまうお手入れ無精。
そんな自分がベランダで脚立によじのぼってアルパカにドライヤーをかける姿を想像すると、とてもじゃないけど飼育は無理だと諦めた。
イメージ的には可愛いんだけどねえ、ふわふわむくむくなアルパカの首に紅白の引き綱をつけて、近所のお洒落なベーカリーにフランスパンを買いに行くのだ。次の日から変人としてご近所で一目置かれるようになるのは確実だが。

そんなこんなでアルパカ牧場、なんでも那須高原にあるらしい。かなり遠いけど、今のうつ病前哨戦みたいなささくれ立った心を癒すために行ってみようかなあ・・・

※・・・アルパカっていくらくらいなんかなー、6,70万くらい?でも、ネットで調べても「アルパカのセーター」ばっかヒットするんだろうなー、と思いつつネットで「アルパカ、価格」と入力すると、あっさり生体の値段が判明。世の中には自分と同じように「庭で買いたい!」「ベランダで飼いたい!」と値段まで問い合わせる人が多数いるらしい。トホー。

このサイトによれば国内では100万円台前半、アメリカの平均価格が250万ってのは芝ヤギ(6万5千円)に比べるとはるかに高くてびっくりした。アルパカ、高っ!ヤギ、安っ!
ttp://www.nasubigfarm.com/business/buy.html

2009年2月21日(土)

太ももムチムチ・ムクムクドッグ。

夜中にトイレに起きると、マヤが真っ暗な部屋の中で歯を見せてニタニタ笑いながらでこういうポーズでじっと固まっていることがある。どうも人に見てもらうためではなく自分が楽しいからやっているようなのだが・・・犬の心を理解するのはむつかしい。

ごめんあそばせ」なんて台詞、日常生活ではじめて聞いたよ・・・・・・。

台詞の主はオバマ夫人が好みそうなスーツに金ぶちメガネといういでたちの、リッチなオーラが全身の毛穴から噴出している初老のマダム。絨毯屋で通路をふさいでいた私の背後を通り抜けるとき、私が「ウォートランを再起動してください」とゲーセンのアンちゃんに言うのと同じくらい自然な感じで「ごめんあそばせ」と声をかけられたのだ。

うーむ、「ごめんあそばせ」かぁ・・・・・・こんな言葉、私は一度も使わないまま一生を終えそうだな。
「今度の絨毯はどこに置くんですか?」と店主に聞かれて「離れのお部屋なの」って答えてたが、少なくともそれがプレハブハウスやイナバ物置でないことは確かだと思われる。

さて、このペルシャ絨毯屋、以前ここで「不況のせいで閉めちゃうのかな」なんて書いたが、オヤジさんに会って話を聞くと、理由はぜんぜん別の所にあった。

ひとつには織り子さんの人件費がこの一年で急騰したため。イランにもバブルの影響はあったらしい。
以前の織り子さんの月給は、日本円で一万円くらい。それが今ではその3,4倍にはねあがり、買い付け価格が高騰したせいで、オヤジが思うようなお手頃な販売価格での商売は続けられなくなったらしい。

たしかにサイズが大きくて目が細かい上級品は、数人の織り子さんが2年ほどかけて作ると聞く。
その織り子さんの月給が一人あたり3万だとして、2人で2年かかると計算すると人件費だけで140万円強、そこに他の経費をプラスすると・・・ペルシャ絨毯が高い理由がよーく分かる。そう考えると私がリビングに置いている、マヤの下痢便の洗礼を受けた2x3メーターのシルクの絨毯もイラン女性の汗と涙の結晶なのね・・・・・・。

そしてオヤジが廃業するふたつめの理由は、いつも一緒に店頭で接客していた奥さんが、横断歩道を渡っている時に車にはねられて下半身不随になってしまったせい。絨毯とは重くて大きなものだから、一人ではお客さんに広げて見せるのもむつかしいのだ。

奥さんは明るくてすごくいい人だったから、自力では家からも出られないと聞いて辛い。
交通事故って自分にはあまり関係ないと思っていたが、この奥さんといい私の従兄弟といい、車の犠牲になる人は多いんだな。死や怪我は自分が考えていたよりずっと近くで息を潜めているのを、最近ひしひしと感じる。

そんなことを考えながら、「ごめんあそばせ」のマダムは一体どんな絨毯を選んだのか気になって、一緒に見せてもらったよ。
すると目の前に現れたのは花柄でファンシーなシルク絨毯。推定価格220万円(セール価格)。目は細かくて最高級品だと分かるが色はピンク。まっピンクそして赤。
もう一枚はといえば、花々の間で憩う鳥たちの柄。だがそのテイストはといえば、ペルシャというよりむしろ18世紀ヨーロッパの博物図鑑か南紀白浜アドベンチャーワールドの熱帯館。目を閉じれば「ギョエッ!ギョエッ!」「ギギギィーッ!」という野生の雄叫びが聞こえてくる。

「どっちも素敵なのよねぇ〜、迷うわぁ〜」と、ペルシャ絨毯にはこれっぽちも興味なさげなご主人を振り返るマダムと絨毯を見比べながら、人の好みは百人百様という言葉を噛みしめるのだった。

2009年2月18日(水)

母のためにiPodに落とした時になんどか聞いたせいだろうか、頭の中で“千の風になって”がぐるぐる回って離れない。
「葬式用の曲としか言いようがない」とか「歌詞が年寄りくせえ」と馬鹿にしたように鼻を鳴らしてたというのに、今じゃドンキホーテのテーマソングよりもしつこく脳内リプレイされている。うーむ、どうやらは己の嗜好と脳細胞も老人化しつつあることを忘れ去っていたようだ。

そうこうしている間も頭の中では♪そこには〜わたしはいません〜眠ってなんか〜いません〜♪と朗々たるテノールが響き渡っている。
なんかものすごい敗北感だが、この勢いでは秋川雅史マジックにかかってしまいそう・・・やっ、やっぱりわたしの葬式でも“千の風になって”をながして・・・くだ・・・さい・・・・・・。

さて、欧米は無論のこと、建設バブルがはじけたドバイからも資源バブルがはじけたロシアからもオーダーがぱたっと止まってさぶくなるほどヒマなので、会社の給料支払いまでがぱたっと止まる前に有給を消化しておこうと、母の見舞いに行くべく本日はお休み。

高速バスの時間まですこし時間があったもので、9時5分前から運動会の徒競走でスタートラインに立つ小学生のように、緊張しながらパソコン前にて待機。
9時に東京株式市場が開くや否や、「ウォオォーッ!」と咆哮しつつ狂ったように持ち株を整理。ーというのは昨日NY市場が思いっきり下げたお陰で、「売り方」(株価が下がった方が有り難いサイドね)で入っている私にとって、今日の下げは千載一遇のチャンス。あっという間に動く株価の尻尾をつかまえるため、レベル42の曲をクリアするポッパーばりの勢いでキーボードを叩いて注文を出さなきゃならなかったのだ。

だというのにMacちゃんてばよぉ・・・・・・。
iPodが想像よりもはるかに素敵な商品だと分かって「さすがMac!俺は一生Mac信者だぜ!」と浮かれたのも束の間、サクサク動く会社のWinとは違って、証券会社のサイトにアクセスするMacのブラウザ・Safariの遅いこと遅いこと!

オーストラリアの山火事で衰弱したコアラよりトロい上に、5回の更新おきにフリーズしてくれたお陰で、あわてふためいて再起動した時にはすでに株価が上がってたり下がってたり・・・・・・今日ほどスティーブ・ジョブズからビル・ゲイツへの乗り換えを本気で考えたことはない。(単にインストールしなおせって話か?)


話がそれまくったが母の見舞い。
去年末からホームへは何度か行ったのだが、母は熱を出して朦朧としてたり、徘徊を押さえる薬がききすぎて廃人みたいになってたり・・・・・・と、会話が成立しないどころか私のことすら認識してもらえなかった。

だけど今日は久々に体調がよかったみたい。部屋に入るなり私のことが分かって「あらあ!」とすごく嬉しそうに笑ったので涙がこぼれそうに・・・・・・。
その後もいろいろ話し続けて、そのほとんどは理解していないようだったが、「また一緒にゲーセンに行こうね」(母は私がウォートランするのを横で見るのが好きだった)とか、「車椅子に乗れるようになったらタカラヅカに連れて行ってあげるね」などと話しかけると時々反応を示すので、私まで一気に元気を取り戻した。

中でも母が確実に「へえーっ」という顔をするのは、「株が上がったよ」と「マンションだいぶできたよ」と言う言葉。そんな様子を目にするたびに、こんなになってまでも娘のことが心配なんだなーと有り難く、それと同時に寂しく悲しい。

また、たまに反応する以外はずっとブツブツと意味をなさない独り言を言っている母だが、「お母さん、最近私の夢によく出てくるね」と言った時には「うん、そうよ」と頷くのもなんだか不思議だった。
それも一度だけでない、何度も「また夢に出てきてね」とか「夢で会いましょうね」と話しかけると、その時だけは決まってはっきり反応するのだ。

外から見るとよだれを垂らしてうつろな目のまま車椅子に座っている母だが、人の心の秘密はまだ完全には解き明かされていないもの。すっかり呆けてしまったように見える老婆の奥底には、今でも元のままの母がいるのかな、と信じられそうな気持ちになった。

そんな感じで今日は本当に行ってよかったな。たとえ母がどういう風になろうとも絆は変わらないんだと思えて、今の心はとても晴れ晴れしている。
もし今度、車椅子にじっと座っていてくれるようになれば(今はすぐに徘徊しようとするのだ)、どんなに手間やお金がかかろうとも一泊だけでもこっちに連れて帰って、大好きだった繁華街に連れて行って好きなものを食べさせてやりたいものだ。

それにしても“千の風になって”。せっかくIPodに入れて行ったのに、聞かせたとたんにテーブルをバンバン叩いて怒り出したのはなぜなのだろう・・・・・・(苦笑)

2009年2月16日(月)

たとえそれが夜の11時であってもバタバタ走り回る上の階のガキんちょに耐え忍ぶこと6年。
これまで何度も文句を言いに行こうと玄関先でクツをはきかけたものの、子供がはしゃいで走っちゃうのは仕方ないことかもなー、と我慢した。一度苦情を言ってしまうと大人しそうな上の階の奥さんはきっと、子供が暴れるたびに「静かにしなさいっ!」とピリピリするだろうなと想像して、ストレスを与えるのも気の毒かなと思ったのだ。

まあ子供は女の子一人だけみたいだし、もうちょっと大きくなったら大人しくなるだろう。もうすこし様子を見よう・・・もうすこし・・・あとすこし・・・・・・。
そう思っていたのだが甘かった。小学校高学年になっても室内ランニングはちっともおさまらない。

以前高熱にうなされていた時にも、ビリーズブートキャンプでもしてるのか?と思うほどのバタバタに気が狂いそうだったので、とうとう「何号室とまでは書かなくてもいいので『足音は意外に下に響くものですから注意しましょう』みたいな文書を配布してもらえませんかねー」と、奥さんではなく管理人に苦情を述べてみた。

だが、住宅供給公社を退職後、当マンションで管理人として悠々自適の余生を送っているオバハンは、元小役人らしいあたりさわりのない返事を返してくれたよ。(うちのマンションは元役所勤めの人の受け皿になっているようで、管理人とフロント常駐の人が4人もいるのだ)
「子供は走り回るものですからねー(苦笑)もう少し様子を見てください」ってオイオイ・・・こっちは6年間我慢してきたのだが。少子化とはいえ子供とはそこまで遠慮しなきゃならない存在になっているのか・・・・・・?

今もまた上のガキはドタバタしている。最近は多少音がする間隔が長くなったことだし、今さら言っても遅いわなーと諦めているのだが、なんて落ち着きのないガキなんだろうとうんざりする。先日「このごろ女の子が男子よりもはるかに乱暴になっている」と読んだが、これがそうなのかとしみじみ納得した。

そのくせ、私がパンクミュージックをいつもより大きなボリュームでかけていると、「ドンドン!」って上から足踏みする音がしたぞ。何なんだ?私の被害妄想なの?それとも「うるさい」というストレートな意思表示なのだろうか。
思わずムカッときて音が割れるほどボリューム上げてやろうかと思ったものの、左右からも壁をドンドンされても面倒なので、ちょっぴりボリュームを落とした弱腰な己が情けない。

そんな調子で気持ちがすさんでます。母の件に加えていとこの死もじわじわボディブローがきいてきて、気分が浮いたと思ったらすぐまた沈む・・・の繰り返し。おまけに現実が厳しい時には夢までストレス満点で夜の眠りも浅い。

昨夜見た夢では、銀行の両替機に10万円入れたら出てきた紙幣がぜんぶペソだったり、ベランダで飼っていたラブラドルレトリバーが8階から落ちて死んだと思ったら助かって、それは嬉しいんだけど複雑骨折で半身不随になった犬の介護をしなきゃならなくなったり、妹が作ったでかい借金のために金策に走り回ったり・・・・・・。頼むから安眠させてくれ。

加えてここしばらく、なんだか分からないがすごく嫌なもの(生き霊?)がまとわりついてる感じがして気持ち悪いので、以前エジプト旅行に行く前に友人が「今回はよくない予感がするからこれを持って行って」と渡してくれた水晶(※)を肌身離さず身につけている。

正直なところ、そちら方面のことはできる限り気に病みたくないのだが、今は「気を付けた方がいいよ」と誰かが呼びかけてくれるのをビシバシ感じるので、その声に素直に耳を傾けてるって感じかな。

水晶・・・4回目だったかのエジプト旅行の直前のこと。霊感派の友人Tさんが「今回はよくない予感がするから持っていって」とわざわざ買ってくれた水晶の勾玉。
バハレイヤ・オアシスに泊まった夜、理由もないのにやたらと怖くてたまらなかったのだが、朝起きると枕元に置いていたこの水晶の中心にピーッと線が入っていた・・・これまで何度落としても傷一つついたことなかったのに。

でもってこの水晶、長らく行方不明になっていて、てっきり落としたんだと諦めてたのだが、先日2年ぶりにベッドの隙間からひょっこり姿を現したので、これは「持っとけ」ということかなと思って持っている。
私はバリバリの霊感系ではないものの、「なんとなくそう感じる」時には素直に心の声に従うことは生活の知恵だと信じてまふ。

2009年2月15日(日)

わたくしたちの県の観光大使・はばタン。足部分の布のたるみが愛らしい。一体なんの生き物だろと思ってたらフェニックスだそうだ。「震災から不死鳥のように蘇れ兵庫県!」ってコンセプトなのだろうが・・・・・・。フェニックスにしてはえらく庶民的。

私なんか“フェニックス”と聞くやすぐさま手塚版のマダム感あふれるオホホな火の鳥を連想するのだが、宇宙空間や人類が滅亡した後の荒廃しきった世界に出現する手塚版火の鳥とは違って、はばタンは左右履きまちがえたクツのまま、近所のスーパーにまで出張する庶民派だ。tp://www.miyacita.co.jp/habatan_syutugen.html ←“はばタン_出現”って・・・(笑)

そういや以前、自衛隊の駐屯地祭でガキどもにもみくちゃにされるはばタンを見かけたが、その際にはちゃんと陸自迷彩を着用するという気の遣いようだったよ。可愛いね、はばタン。


今日は父が母の見舞いに行くというので、マヤっこと一緒に留守番するために実家に帰っていた。
ついに体重15キロという禁断のラインを越えてしまったマヤっこを抱っこして(デブボディのくせしてポメラニアンみたいにおひざに乗りたがるのだ)徐々にひざがしびれてくるのを感じながら“スーパーマン・リターンズ”を鑑賞。
いや〜!よかったぁ〜っ!ブラボー!ブラボー!ブライアン・シンガー!(スタンディングオベーション)

「ブライアン・シンガーがXーメン3を蹴ってまで撮りたかったらしいぞ!」をはじめとして、「今度のスーパーマンはすっごいゲイくさいらしいわよ?!」「主役のブライトン・ラウスのモッコリがでかすぎて、そのままじゃエロいからわざわざCG処理で小さく見せてるらしいぜ!」などとさまざまな噂が風に乗ってー主にBadiやG-menといった方面から伝わってきていたもので、本来ならば公開初日に飛びついていてもおかしくなかったのだが・・・・・・。

一般雑誌の映画欄では“内容のわりに上映時間がダラダラ長すぎる”というあまり芳しくない評価をちょこちょこ目にしていたせいで、当時介護に疲れ果てていた私は「二時間半も耐えられそうにないなー」と思ったのだろう、2006年公開の映画を今になって鑑賞。

“タイタニック”がパニックものというよりむしろ恋愛モノであるように、“スーパーマン・リターンズ”もSFというよりもスーパーマンとヒロインであるロイス・レインのロマンス映画。
だが、男女がイチャつく映画は好きじゃないはずなのに、この作品には夢中になってしまったのは、主役のブライトン・ラウスがあまりにも、あまりにも美しいせい。(好みによります、念のため)

最初の10分くらいは「たしかに美形だけど眉が太すぎるな」だなんてケチつけてたんだが、だんだんそんな些細なこと気にならなくなってきて、やがてストーリーそっちのけで憑依されたようにスーパーマンのみガン見という状態に・・・・・・。なんだか映画というよりも、ピエール・エ・ジル(有名なゲイテイストのフォトグラファー)のホログラム写真集を鑑賞している気分になってきた。

いやはや、新人だった彼を主役に抜擢したブライアン・シンガー監督、さすがお目が高い。
クリストファー・リープのスーパーマンは人間くさかったけど、ブライトンのスーパーマンはむしろ神、アポロン神。前から見ても下から見てもヨコから見ても美しいが、特に目を閉じた横顔の美しさはパーフェクト。
もちろんボディバランスも素晴らしくて(特に肉付きのいい太股はサイコーだ!)、まさにスーパーマン役のために生まれてきた男。きっとシンガー監督もブライトンを見た瞬間に椅子をけとばして
「君しかいないーっ!」とブクブク泡ふいて叫んだに違いない。

ひょっとしてシンガーさん、「スーパーマンが撮りたかった」んじゃなくて、「ブライトンのスーパーマンが撮りたかった」だけじゃないの?なんて思うほどに趣味丸出しのシーンもてんこ盛り!

例えば唯一の弱点であるクリプトライトを近づけられてスーパーパワーが消え失せるシーン。
「泥水の中に這いつくばるスーパーマンのシーンは不要!」だなんて映画評もあったけど、趣味人はそうは思わない。あの場面から、スーパーマンが宇宙から落下して病院に運び込まれる場面(セミヌードサービスあり)にかけての20分間こそが、この映画の真骨頂だと感動したぞ、私は。

泥水に濡れたスーパーマン、チンピラにボコられてあえぐスーパーマン、海中から救い上げられて髪の毛がぐっしょり濡れてるスーパーマン、寂しげな微笑みを浮かべるスーパーマン、力を使い果たして落下してゆくスーパーマン(両手を広げた姿は十字架にかけられたイエス・キリストを連想させる!)・・・・・・。
シンガーさん、貴方の気持ちは痛いほど分かります。“X−メン”の頃から思ってましたが、貴方と私の萌えのツボはきっとぜったい同じです。

このようにハラショーなシーンは多々あれど、私の一番のお気に入りはクライマックスのこのシーン。
スーパーマンはロイス・レインのことが好きで好きでしよーがないんだけど、彼が自分の元から去ったと勘違いしたロイスにはすでにダンナも息子もいて、そのダンナもまたいい人で。
そんな惚れた女の幸福を望み、"GOOD BYE, LOISE"と別れを告げたスーパーマンが天空へと飛翔して、雲の上で強烈な太陽光を浴びながら、地上的愛情と決別するかのように目を閉じ大きく両手を広げるシーンは、心臓がバクバクするほど美しくて涙ぐみながら20回ほどリプレイしてしまった。
いやぁシンガーさん、ホンマええもん見せてもらいましたわ・・・(エンドレス賞賛)

ブライトン・ラウスはアゴは割れてるしボディもムチムチ系だから、見る人によっては濃ゆすぎると思われるかもしれないが、ギリシア彫刻系の品格あふれる正統派美青年にグッとくる方、アンド濡れたピチピチスーツが好きな方は、なにをおいても借りろ!今すぐ!私は買うぞ、明日にでも!

2009年2月14日(土)

今日はバレンタインデー。だけど土曜日で会社はお休みなので、女性全員一致で取り決めて義理チョコは配らなかった。ラッキー!
男性陣からすればちょっと残念かもしれないけど、正直なところ残念さよりも、少ない小遣いから義理のお返し代を捻出せずに済む気楽さの方が勝ってるんじゃないかな。

毎年女性社員を憂鬱にさせるバレンタインなんかいっそ無くなればいいのに!と思ってるトウの立ったお姉さんは多いと思うが、そうなると若い子は楽しくないよね。若い娘にとってはバレンタインはワクワクするイベントだもんなー。

思い起こせば私も中学生の頃に30cmx30cmのアフガンハウンド型チョコを手作りして、当時文通していた3才ほど年上のアフガン狂(富山在住)に送りつけたものだ。
彼は「若いのに凄い知識だ!」とアフガン界では有名なマニアで、私は理論派の彼を尊敬していたんだけど、受験をきっかけにいつの間にか付き合いはなくなってしまった。
そんな彼、あれから希望通り獣医になったと風の便りに聞いて、バレンタインの度に懐かしさに胸がキュンとしたりする。

話は変わるがついにiPodを買った。頑固なMacユーザーのくせしてiPodすら持っていなかったのは、家の外で音楽を聴きたくなることがまず無いからなのだが、先日ヘボピーがホームの母にイヤホンを付けてストーンズを聴かせると「おおっ!」という顔をしたと言ってたので、私も母が好きだった曲を聞かせてやりたくなったのだ。

何色を選んだかといえば、迷いに迷ったあげく芸のないブラックを・・・・・・。私はたいてい黒づくめファッションなので、ポケットからピンクやブルーのiPodが出てきてもお洒落かもなーとは考えたものの、たまに着る迷彩からショッキングピンクのiPodではナニなので、ここは無難にブラックで。

ハードが手に入ったら次はソフトだ。早速母に聞かせるためのCDを借りに行ったはいいが、「せっ・・・『千の風になって』はありますか?」と聞くのはものすごく恥ずかしかった!
恥ずかしさのあまりグリーンデイとメタリカとSUM41の間に“千の風になって”を隠してカウンターに持っていった。そう、ニューズウイークとプレジデントの間に“おもらし倶楽部”と“スク水マニアックス”をサンドイッチしてレジに向かう紳士のように・・・・・・。

ま、“千の風になって”が好きな人からすればSUM41の方が恥ずかしいんだろうから人の好みはそれぞれだが、ともかくそういう経緯で今かかっているBGMはSUM41。ファンタスティック・フォーの挿入歌に使われたのをきっかけに聴くようになって、去年はコンサートまで行った。4月にはまた来日するとのことで楽しみだ。“アンダークラス・ヒーロー”なんかワクワクしてもうたまらん!

でもって今日は夕方からコールドプレイのコンサートなので、ぼちぼち準備しなきゃ。あ、iPodに“千の風になって”も落とさなねば・・・・・・(義務感のみ)
あの曲を葬式でかけて欲しいと望む人がけっこう多いそうだが、私の葬式は「わたしのお墓の前で泣かないでください〜」なんて悲しんで欲しいのか悲しまないで欲しいのかイマイチ分からん曲じゃなくて、いっそ悲痛の極みのマタイ受難曲(通夜)と、勇ましき黄泉への出立でワルキューレ(出棺)を頼む。

2009年2月12日(木)

ファンタスティック・フォーのトーチにスリーハンドレッドのクセルクセス王、エイリアン2のヒックスそしてサンシャイン2057のメイス・・・・・・ハーネマン以降萌えの泥沼に足を突っ込みかけたキャラは多々あれど、みんなひとまずはホモ・サピエンス♂だった。
だが、今萌えウェーブが来ているものは地球の住民ですらないから、マジで好きにならないように必死で己にブレーキをかけている・・・・・・。

そのジャンルとは“スティッチ!”(主人公に敬意を表して青字にしてみました)、とこう書くだけでプッ!と吹き出す音が聞こえてきたが、それもディズニー本家ではなくテレビ東京で放映中の、大人から見ればかなりハイレベルでアイタタな日本向け沖縄バージョンと言うと、あまりにも異端がすぎてヲタ友達に捕獲されるやグアンタナモの独房に放りこまれそうだ。

マイナーアニメに惹かれるのはたしか、カートゥーンチャンネルの“デクスターズ・ラボ”とテレ東の“フォルツァ!ひでまる”(※)以来だが、この手のものには普通の腐女子は鼻もひっかけないに違いない。
私はなぜこうも人が見向きもしないものに惹かれるのだろう?とけして王道を行けない己の嗜好が呪わしいけど、ウケ狙いで言ってるわけじゃないからしよーがないかな。

さて、“スティッチ!”での私のひいきは、ギャルに人気の青い生き物じゃなくて、銀河連邦の諜報員、プリークリー。(公式のキャラページの真ん中あたりまでずずいとスクロール。ね、変でしょ?tp://www.tv-tokyo.co.jp/anime/stitch/)
こいつが宇宙人というだけではなく、一人称「ボク」だというのにワンピースを着たりクネクネしたりと、どこからどう見ても完璧にオネエキャラなのだ!

“スティッチ!”とは大きなおともだちじゃなくて、100%ガキ対象のアニメのはずなのに、オネエの宇宙人をサブに据えるとは、制作者の意図するところがよく分からない。だけど分からないままに見ているうちに、こいつがものすごく可愛く思えてきて困っている。

思い起こせば昔、“宇宙船サジタリウス”のカバもどき宇宙人にもほのかに萌えたものだが、この嗜好が手塚の影響なのは確実だ。幼い頃から“W3”“宇宙の7人”“火の鳥”を読んで育つと人はきっとこうなってしまうのだろう・・・・・・。

いかん、こうして萌えを告白しているうちに、どんどん自己暗示にかかってきた。これからプリークリーの携帯ストラップ等々ないか、ネットショップを捜してくる。ネットレンタルのレンタル候補も“スティッチ!”を最優先に更新だ!


※フォルツァ!ひでまる・・・W杯日本開催前のサッカーブームに便乗して製作されたはいいが、超ド級にハズしたテレ東系アニメ。
主人公であるひでまる(犬)をはじめとしてキャラはイノシシとかキツネとか頭に花をはやしたミステリアスなイタチもどきとか、すべてが動物、アニマルワールド。毎回ラストでひでまるがヒデに宛てて「拝啓ヒデ」と手紙をしたためる姿が想い出深くかつ痛々しい。

絵柄はといえば、どこをどういじるとあれほど日本人受けしないものができるのだろう?といぶかしく思うほど可愛くない。ノリとしては日本アニメというよりも、いま人民に大ウケだと聞く中国製パンダアニメ(主人公のパンダは株が趣味。サイアクだ!)に近い気がする。

私はそんな“フォルツァ!ひでまる”にはまりかけて、このサイトにコンテンツさえも作ろうとしていた。マイナー趣味もいいかげんにせえと言いたいが、私の日記を読んだ某S嬢(武器マニア。火縄銃好き)が“ひでまる”を見たくてたまらんようになりわざわざDVDを捜したそうなので、少なくとも一人の洗脳には成功したといえよう。(だけどDVDは出ていなかったらしい。やっぱりな・・・)

2009年2月12日(木)

不思議なことに母がどんな声だったか思い出そうとしてもどうしても頭に浮かばない。他の人たちの声はすぐに思い出せるのに、母の声だけはもやもやした霞のようなものに遮られてよく聞こえてこないのだ。

だが、母が夢の中に出てくる時だけはとても鮮明に声が聞こえて、私はいつも驚いて目が覚める。今もそう。
さっきまですごく嫌な夢ーー以前喧嘩別れした人が「精神的に深く傷つけられたせいで心の病を患うようになった」といいがかりをつけてきて、夢の中で体が震えるほど腹が立ってうなされていた。

するとその時、私の名前を呼んで「おはよう」と言う母の優しい声に目が覚めた。
母はもう言葉を発さなくなってしまったが、それはあくまで見かけの上だけで、心の奥では今も変わらず私たちの事が心配で仕方ないんだろうなと思うと、母親というものの有り難みを感じて嬉しいような寂しいような複雑な気分だ。

昨日は久しぶりに昼過ぎまでのんびりした気分で家を掃除していた。そうしながら、自分はこれから何を一番大事にしたいのか?自分にとって一番必要なものは何なのかな?とじっくり考えてみた。・・・というのはここしばらく母のことを後悔するあまり精神的に病みがちだったところへ、去る7日、親戚中で一番気が合った、ハンサムで芸術家肌でアホないとこが37才という若さで事故って死んでしまったので(ホントにいい子で通夜だけで300人を越える人が来てくれた)、辛くてたまらなくて、どうにかして気持ちに整理を付けなくてはやりきれなかったのだ。

日当たりのいいリビングで絨毯に掃除機をかけながらあれこれ思いを馳せた結果、自分が一番大切にしたいものは、もうそろそろお別れが近くなってきた両親と二人の妹。そして最低限これさえいればまっいっかと思えるものは、愛犬とペルシャ絨毯だという結論に達したので、掃除を終えてそそくさと着替えると、バスに飛び乗って絨毯屋に遊びに行った・・・ってそうきたか!

そしてツバつけちゃったのが下の写真のエマーミ。1940年代のアンティーク。

生まれて初めて宝石を買った店のスリランカ人オーナーに「人が持っていた宝石には念がこもっているから、由来の知れないものは絶対に持っちゃダメよ」とすり込まれたせいか、私はアンティークが好きじゃない。前の持ち主がものすごく幸せな人ならいいが、その反対だと嬉しくないおまけまで付いてくるように思えて気持ちがよくないからだ。

けれどこのエマーミには、一目見た時に惹かれていた。色や柄や目の細かさはぜんぜん私の好みじゃないはずなのに(私はピンクや花柄が入ったデザインは好きじゃないのだ)なぜか気になってたまらなかった。いわゆる「モノに呼ばれた」ってやつ。
けれど新入荷した時にはあまりに高すぎて諦めて、ひょっとして残ってないかな・・・と先日セール二日目に行った時にはすでに陳列されてなかったからがっかりしていた。

だけど今日フラッと行ったら元の場所にあったからゴクッとつばを飲み込んでオーナーに聞いた。「これ、売れちゃってたんじゃないんですか?」
するとオーナー答えて曰く、これを押さえてた人が迷いに迷った挙げ句、別の方を選んでこっちをキャンセルしてきたらしい。お値段は以前の4割引。こ、こ、これは私に連れて帰れということなのですね・・・・・・(動揺)

その他にも、絨毯屋で4時間以上ダラダラ話しているうちに、私と同様に絨毯フェチで株大好きな独身の大学の先生(哲学)ーハゲでいつでもニコニコしている60才前の人を紹介しようか?ってちょっと楽しそうな話になったので、そっちにも何か進展があればここで報告するかもしれません。

2009年2月11日(水)

ワールドビジネスサテライトが始まるまで、いいちこのお湯割りを片手にパソコン前の心安らぐひととき。アテはといえば酒飲みから絶大な支持を受けるグリコのチーザ。これ、ホント美味いんだよねー。毎日おんなじものばかり食べてもぜんぜん平気な私は、会社のロッカーにも台所にも、常に5,6袋ストックしてある。

いや〜、それにしても昨夜発表された米国の金融安定化策!
果たして市場がある程度は満足してくれる内容なのか?そうでなければ失望売りを浴びてNYダウは急落すること確実なので、どっちに転ぶか投資家は息を詰めて見つめていた。一方だけにベットするのはあまりにおそろしすぎて、昨日は持ち株を半分ほどに整理、安定化策発表後のNY市場がどちらに転ぶか見てたんだけど・・・・・・。

結果から言えば失望売りを浴びてダウ300ドル以上の急落。うひゃー!今日は日本は祝日で市場は休みだったから、明日の日経平均はさぞ勢いよく下げることだろう。

まぁ私がいま買っているのは、下げても愛せるMO様とコンマイ君だけで、あとは個人的にどうも好きになれない企業(たとえば「乾いた雑巾でも絞る」会社とか、現経団連会頭の会社とか製品にタイマーがついてる外人CEOの会社とか)をメインに、株価が下げた方が嬉しい“ウリ”という方で入ってるお陰で、安定化策を発表する財務長官をながめつつ「ガイトナーさん、耳が悪魔みたいでけっこうカッコいいよね。へへへ」などとノホホンとしてられるんだけどさ。

おっ、ぼちぼちWBSが始まるからテレビの前にゴーします。どさくさ紛れにアップしていく写真はイスファハンの名工房・エマーミからやって来たアンティーク。70才近いおじいちゃん、イメージ的にはホメイニ師、いや違ったショーン・コネリー。

まだうちには届いてないのだが(いっぺんにゼニ払えないからさ)、近日中にうちのリビングを飾るために絨毯屋のバックヤードで身請けされるその日を静かに待っています。

あああーっ!己の過度な思い切りのよさに失禁しそうだ!

2009年2月11日(水)

80才すぎの父の代わりにネットレンタルのHPにアクセスして、父が見たそうな映画のレンタル候補リストを作るのは私の役目。
ある日、なにか見たい映画はないかと尋ねると「アニメもあるのか?」と聞いてきた。

手塚漫画やディズニー映画、特に“ファンタジア”が大好きな父の口からアニメという単語が飛び出してもべつに不自然じゃないので、宮崎作品でも見たいのかなぁと題名を聞くと、「題名はよく分からんけど、“らきとすた”とかいうやつが見たい」と言われた時にはすき焼きのネギを吹きそうになった。
それは“らきとすた”じゃなくて“らき☆すた”ですよ、お父さん。

どうやら父はらき☆すたが鷺宮神社を舞台にした歴史ミステリーだと思い込んでいたらしい。だがさすがにそれは勘違いだと思われるので、「らきすたは歴史モノじゃなくていかにもアニメ!ってかんじの可愛い絵で女子高生の日常を描いた、私よりずっとオタクの男の子たちが好きな番組だから、お父さんには向かないと思うよ」と説明しておいたのだが、説明としては間違ってない・・・よね?

正直言うと私はまだ一度もらき☆すたを見たことがないのだが、アキバのショップ店頭でエンドレスで流れていたOPにはなんともいえず胸がキュンとしたのを思い出したので、これを機会にこんど父と一緒に鑑賞してみようかな。


さて、話は飛ぶけどペルシャ絨毯。
先日行きつけの絨毯屋から閉店セールの招待状を受け取ったことは書いたが、あれからどうなったかというと、やっぱり辛抱たまらんようになってセール二日目には店にいた。でもって「来た、見た、勝った」のカエサルのように決然として「行った、見た、買った」。

来年は会社の存在にすら疑問符がつくというのに、生きていくためにはまったく必要のないモノなんか買ってていのか?よく考えろミキ二等兵!と“レンジでごはん”をあっためるあいだ吐血するほど自問自答したのだが、レンジがチンと鳴った時にはすでに結論は出ていた・・・・・・。

ほんとは自分への言いわけ的にバレンタインデーあたりまで耐えるつもりだったのだが、好みのタイプが他の人の手に落ちると想像するだけで血圧が上40ほど上がるのが感じられたので、おもむろに着替えて絨毯屋に突進。

だが、どうせ突進するなら初日の開店と同時にバンザイ攻撃しておくべきだった・・・・・・。世間はこんなに不景気なんだから、ペルシャ絨毯がガンガン売れるはずないよね!と決めつけた私は好事家のハートを失っていたようだ。

みんな台所事情が苦しいのは同じだけど、この店がなくなるともうペルシャ絨毯は買えない!(よそは3倍〜5倍ほど高いから)とあせりまくったのだろう。今までこの店をひいきにしていた北は北海道から南は九州までの絨毯マニアが、開店と同時にすっ飛んできて、いいものから羽が生えたように売れてゆき、セール二日目昼に私がおっとり刀で参上した時にはすでに店内はガラガラ。あれほど山と積まれてたのに・・・マ、マニアなめとった・・・・・・(バタッ)

とはいえ世の中はうまくしたもので、人の好みは千差万別、たで食う虫も好きずきで、私ならあんなもん絶対買わんわ!くれると言うならもらうけどさ・・・という、例えば、黒地に深紅のバラを散らした、そう・・・“パタリロ!”でマライヒがバックにしょってそうな絨毯(80万)とか、1x1センチあたり百数十ノットという細かさでロバやニワトリが憩う納屋のほのぼの風景が描かれた“細密画絨毯”(60万)なんかに「これしかないーっ!」と飛びつく人もいるわけで、遅れを取った私にもセイラフィアン師(有名な絨毯デザイナー)の霊は素敵なものを取っておいてくれていた。

それがこれ、ペルシャの真珠と呼ばれるイランの古都・イスファハンから極東へと旅してきた。例えるならちょっと細身の吟遊詩人タイプってとこかな、ウヘヘ。

「これしかないーっ!」と叫ぶや否やセブン銀行からおろしたての諭吉と引き替えに連れ帰った自分はかなり救いがたいアホとは思うが、フェチ道を貫く我が選択に一片の悔いなしーーっ!!

2009年2月7日(土)

輪島塗、加賀友禅、金蒔絵・・・金沢といえば匠の技がはえる工芸品で有名だが、北陸本線の車内ポスターにも逸品をオーダーできるお店が紹介されていた。

これはそんなお誂えショップのひとつ、「鯖江眼鏡」の作品。普通の眼鏡にまじってわざわざ載せてあるのは店主の茶目っけ?それとも素なのか?・・・どっちでもいいけど素材がべっこうで20万円とかしてたら怒りたい。

金沢、正確に言えば西金沢駅徒歩15分のラウンドワンに行ってきました。ヨロヨロ。
昨日の日記には「石川県にはただの一度も足を踏み入れたことがないというのに、兼六園じゃなくてラウンドワンを見に行くことになるとは・・・」と自虐モードで書きつつも内心では「1万円近い交通費と往復12時間近い時間をかけてゲーセンのみだなんて、さすがの自分でもそれはないっしょ!ゲハハ」と思っていた。

だがふたを開けてみれば、ラウンドワン以外に石川県内で立ち寄った場所はといえば、辛い帰路をアルコールの力を借りて乗り切ろう、とタカラ缶チューハイ(他商品に比べアルコール度数が高くて酔いやすいのだ)を買った駅前の酒屋のみ。西金沢駅周辺には土産物屋すらなかった。

それも酒屋の自動販売機ではお金を入れても商品が出てこない。あわてて店のオバちゃんを呼んだはいいが、お笑い番組に魅入られたオバちゃんの反応がフジツボの移動よりスローなせいで、6時間コースのファイナル列車に乗り遅れそうになって、「これを逃すとあとは11時間かかる乗り継ぎ経路しかないーっ!」と気が狂うほどあせったというおまけつき。
うーん、以前ならば「金沢」と聞くと「兼六園・輪島塗・高級旅館」を連想していたが、今じゃ「ラウンドワン・釣り銭しか出てこない自販機・○○酒販の白ぬりオバちゃん」を思い浮かべることだろう。

で、肝心のウォートランはといえば、ラウンドワン筐体の常で照準メタメタ。こんな古いゲームでも数のうち、とにかく置いときゃあとはどうでもいーや、という姿勢が感じられてファンとしては哀しい気分よ。ラウンドワンさん、設置してくれるのは嬉しいんだけど、どうせなら最低限の調整はして欲しいものだわねえ・・・・・・。

とにかく四丁ある銃の照準それぞれが実に個性豊かな飛び方を披露してくれるお陰で、こっちの銃でどうしても倒れない敵を隣の銃を使って撃って、今度はあっちの敵周辺の照準が飛ぶからからまたその隣の銃に移動して・・・ということを繰り返してやっとこさ全ラウンド終了。
はたから見たらあのオバハン、銃から銃にバタバタ動いて一体なにやってんだ?と思われただろうが、人目を気にするウブな娘時代は数十年前に卒業しているので、蝶のように舞い蜂のように刺す華麗な独りプレイに興じていた。ただ、壊れかけの筐体のせいで通常の5倍ほど肉体的、精神的に疲労して、背中や足がズキズキ痛んでるけどね。

しかしまあ、金沢までは特急列車に乗らなくても、十分行ける距離だと分かったのは収穫だ。
北陸本線の普通電車は車内がガラガラなお陰で、向かいの席に足を投げ出して貝ヒモをアテに焼酎をあおりながら「タリバンの復活」とか「我が友・恐慌」なんかを読んでてもせんぜん平気なので、青春18きっぷの季節がやってくれば往復3千円の交通費で、○○酒販の白ぬりオバちゃんを再び見に行きたいと思ってる。

このたび見た唯一の「金沢らしいもの」。なんていうのか知らないけど、雪で枝が折れないように吊る仕様。兼六園のイメージも雪をかぶった樹木がコレをほどこされている図である。

だけど金沢があんなにあったかいとは意外だった。雪どころかコートすら要らんってかんじ。“日本海側=超寒い”というイメージを持つ瀬戸内海人は、金沢の寒さをしのぐためにイギリスに行った時と同じ装備をしていたのだが・・・ラウンドワンに着いた時には汗だくで石川県民に八つ当たりしそうに・・・・・・。

2009年2月6日(金)

携帯の通話とEメールとCメールの着信音をそれぞれ、“Uボート”と“ワルキューレの騎行”と“双頭の鷲の旗の下に”にするのはやっぱやめとこう・・・・・・。夜中に突然、戦意高揚の着メロがごっついボリュームで響き渡ると心臓がバクバクする。

さてさて、絨毯屋のクローズをきっかけとして、一時はスカッドミサイル飛び交うガザにパンツ一丁で置き去りにされたみたいに追いつめられた気分になって、おもむろに妹あての遺言状を取り出しチェックなんぞはじめたのは昨日のこと。
けれども、一晩グースカ寝てちょっと仕事したらなんのことはない。やらなきゃならないことに追いまくられて、自分が憂鬱モードだったってことをきれいさっぱり忘れ去っていた。

よかった・・・友人に「わたし死ぬかも・・・」みたいなネガティブサプライズメールを送信するのを思いとどまってホントに良かった・・・・・・。昨夜はどうしてあそこまで悲壮な気分になってたんだろう、と順を追って思い出したところ、どうやらきっかけは絨毯屋クローズではなく、もうちょっと前のできごとーウォートランの筐体撤去にあるんだと判明した。

ウォートラン筐体は那覇に一台だけ残っていたので、ここはちょっくら気分転換に沖縄に飛んで足テビチでも食べるさあ!と、行く気全開で激安ツアーパンフを開いた私。
ふーん、一泊二日だと宿代や交通費ぜんぶ入れても4万円弱で行けるんだね。東京でも交通費だけで3万円かかるのに!とお得感に胸躍らせつつ、国際通りにあるホテルや飛行機の便名をチェックした。

そして予約する前に念のため、もう一回設置店情報を見とくか、ま、沖縄はなんとなく最後まで残りそうだよね!と根拠のない自信たっぷりにコンマイさんのサイトにアクセスしたところ・・・ギャヒー!沖縄最後の一台はあっさり撤去されちょったわ・・・・・・。

その後、沖縄ショックを胸に秘めつつせめて地元の筐体を大切に、とホームゲーセンに向かう途中、行きつけのMacラボの前を通りかかったところ、ずいぶん長らくご無沙汰してるオヤジさん(たぶん60代半ば)を発見。

それがまた、ティッシュの5箱入りパックをぶら下げたオヤジの後ろ姿がもう、びっくりするほど弱ってて(あくまでパッと見だけど)、「こんなご時世だとだれも改造Macなんか買わないだろうから、きっと資金繰りが苦しいんだろうなぁ・・・」などと想像をふくらませると同時に、「もしオヤジによからぬことがふりかったら、私のパソが壊れた時に修理してくれる人がいない、どうしよう!」と急激に不安にかられて、でもって自宅に戻ると絨毯屋からの「閉店します」ハガキが届いており、気分は一気に鬱モード突入、話は昨日の日記の冒頭に到るというわけ。

ま、こんな不況下では自分と同じように不安や心配を抱えている人がほとんどだと思うが、生きていくしかないからみんな懸命にやってるんだろう。辛いのは自分だけじゃないのにウジウジするのはみっともないと気がついて急にやる気が戻ってきたので、明日はウォートランの筐体チェックに金沢へ行ってくる。(発想が飛んだな)
もう沖縄の轍は踏まない、各地に点在する筐体が現存するうちに見ておくのだ!・・・って、そもそも滋賀までの予定だったんだけどさ、チケットショップで切符を買い間違えたもんだから(※)、ええい!こうなったらそのはるか先まで行ってやる!と半分ヤケで金沢遠征を決めただけの話。

それでは明日は朝の7時から往復12時間ほど電車に揺られなきゃならないので、死ぬかもしれないからもう寝ます。
石川県には生まれてこのかたただの一度も足を踏み入れたことがないというのに、兼六園じゃなくてラウンドワンを見に行くことになるとは・・・トホホ。

※・・・目的地の駅は「近江八幡」。それなのにヘボピーが自衛隊ネタで耳にタコができるほど「近江今津の駐屯地」と言っているせいでこの駅名が頭にこびりついていた私は、琵琶湖をはさんで近江八幡の反対側にある近江今津を買ってしまったのだ。けれどもチケットショップは返品不可能。窮余の策?で片道三千円足して金沢まで・・・・・・。

そもそも「近江」がつく駅が近江今津、近江舞子、近江八幡、近江中庄、近江高島、近江塩津、近江長岡、近江神宮前・・・って多すぎるねん!なんとかせえJR西日本!

2009年2月5日(木)

なじみのペルシャ絨毯屋から一枚のハガキが届いた。毎年この時期になるとイランに買い付けに行ったオーナーがテヘランから、雪に覆われたモスクとかが印刷されたいかにもイスラム圏っぽい絵はがきをくれるのだが、今度のハガキの消印は日本になっている。
あれ、今年はいつもより早く帰ってきたのかなと思いながら表を見ると、そこにはモスクの代わりに「諸般の事情により閉店します」との文字。ギャヒー!!

昨年前半まではいざなぎ景気とやらのおかげで絵画や宝石や時計が売れに売れていたと聞くが、やっぱり秋からは駄目になってたんだなあ。特にペルシャ絨毯は私のように食べるものを我慢してでも絨毯にお金を回すフェチ者を別にすると、お金持ちが最後に買うものだと聞くので、今の不況の波に耐えられなかったとみえる。

以前、店に来て数百万の絨毯を数枚ぽんと買っていった人が、それらを芦屋の広大な自邸にしばらく敷いてみた後に、時計や靴やブランドものの洋服は外で身につけて人に見せることができるけど、ペルシャ絨毯は家に人を招かない限り見せられないし、値段が分かりにくいものだからやっぱあんまり持つ意味がないなーとオーナーに言ったらしくて、それは確かに言えるなとある意味納得したものだが・・・・・・。

どんな事情で閉めるのか、ホントに不況のせいなのかどうなのか怖くてオーナーにはまだ電話してないが、今週末にでも店で話を聞こうと思ってる。そしてその際には、2年前に一目惚れしたけど値段の都合で泣く泣く諦めた絨毯が、もしもまだ奇跡的にまだ残っていれば最後の一枚に!とお持ち帰りしてそうな気がする。

とにかくこの閉店の報は母のことで弱った私の心に致命的な一打を与えたようだ。自分の回りから大好きなものが次々に去ってしまうような何ともいえない空しさに襲われて、一気にハイパー鬱モード。駅のホームで何度も線路に降りそうだったおととしの夏並みに危ない状態なので、ここは自分を励ますためになにか入れ込める対象を捜すことにしよう・・・・・・ということで近々メイドカフェに萌えられそうなメガネ女子を探しにいってくる。

2009年2月3日(火)

「多分このままずっとつまらんのだろうな」だなんて内心思っていた私を許してください、ヴォルフガング・ペーターゼン監督。

あれから“Uボート・ディレクターズカット版”のチャプター「毛じらみ」から再生して、股間でケジラミを大繁殖させた男どもが、医務官にシラミ退治薬を噴射してもらおうと、狭い潜水艦内にて尻丸出しで行列作るシーンに「いや〜!ええケツや!」と腹を抱えて笑っていたのもつかの間、その2時間後にはあまりにも意外・鮮烈・悲惨なラストに戦争のむなしさを痛感して東京湾のハマグリよりも無言になっていた。

いや〜、まったくあの展開にはびっくりした。開始後一時間の「展開がダラダラしすぎっ!(怒)」「やっぱ古い映画は・・・」だなんて言ってた己が恥ずかしい。ここは「さすが名作と呼ばれるだけある!」と手のひらを返したように絶賛しときたい。

これを見た夜には潜水艦と一緒にサルガッソーの海底に引きずり込まれる夢にうなされること確実な薄暗いラストは、戦争映画における悲惨エンディング・ワースト1の“ノーマンズ・ランド”とタメ張るイヤっぷり、“戦場にかける橋”と同じタイプの救いのない終わり方だった。
ネタばれへっちゃらピーの当サイトだが、「ひどい、ひどすぎるわっっ!」とテレビをどつきたくなるラストだったこの映画についてだけは、あらすじに触れるのは避けておく。ただ、この映画をまだ見てないミリタリ派のおなごには、“プライベート・ライアン”“地獄の黙示録”と共にとりあえず押さえといても損はないわよ、とお勧めする。

ところで“Uボート”で最も印象的だったのは、ラストシーンで自艦を見つめる艦長の切ないまなざしだった。潜水艦、タンク、ヘリコプター、銃器etc・・・愛の対象は様々ながら、ややもするとヒトよりもそういったモノたちを愛し執着してしまう人々の気持ちは痛いほど分かる。

話はすこし飛ぶが、私がMO(商船三井)とヨリを戻したのも「目先の株価の動きよりも本当に応援したいと思える会社の株を持とう」と心に決めたからで、MOにこだわる一番の理由は巨大船、特にコンテナ船がたまらなく好きだからというシンプルな愛ゆえの選択。
ま、建築機械やヘリコプターも愛してるからコマツや三菱重工を買ったこともあるけど、MO様ほど信頼できなくて半年ほどで別れちゃったんだけどね・・・・・・。

そういう風に投資への心構えを初期設定に戻してから一週間が経過。
買ったはいいけどなんか相性悪いなぁと思う銘柄とはプラマイ関係なしに別れて、代わりにMOと復縁。そのとたんにMOがS男の名に恥じない気性の荒さを思いっきり披露してくれたのが幸いして、ホッ・・・一時は年収を軽く超えていた損失幅が一気に狭まって、プラス転換まであと一息というところまでこぎつけた。

ありがとう、ありがとうMO!40才男性社員の平均年収が軽く1千万越えてるってのがちょっと妬ましいけど、取りあえずありがとうMO。投資をはじめて15年ほどになるけど、振り返ってみれば彼に損させられたことは一度もないってことに気が付いた。大損こかされるのは決まって「ちょっとつまみ食い」した奴らばかり・・・・・・例えば今でも「シンプル」と聞くとウエッと胃液が上がってくるシンプレックス・テクノロジーとかみずほ&三井住友&三菱東京のバンカー御三家とかさ。

「1ドル30円時代がやって来る!」とか「株券は紙くずと化して金が1トロイオンス2千ドルになる!」とか「旧ドルが廃止されて北米共通の新通貨アメロが採用される!」だなんておどろおどろしい噂が風に乗って聞こえてくる昨今、不安のあまりろくすっぽ熟睡できないが、MO様にはあとひとがんばりして頂いて、春先には「ドキドキしたけどやっぱり最後に愛は勝つんだなぁ」と満開のサクラを見上げながら花見酒片手に胸をなでおろしたいものだ。

大正11年に建造されたMOビルは郷土の誇り。旧居留地にある古いビルは震災によるダメージが大きかったが、この建物は崩壊をまぬがれた。

現在のMOは数百メーター離れた新しいビルで営業しており、この旧社屋一階は高級インテリア店。レトロな店内にディスプレイされたペルシャ絨毯が私の心を千々に乱してくれる。

母が職業婦人だった頃にはよくここに出入りしていたと言っていたのを思い出して、外回りのついでに立ち寄ってみた。そういえば母も私も海運には縁が深い職種なので、そういう意味でもMOに思い入れがあるのかもしれない。