2015年10月28日(水)

珍しくこっち(自宅)にいられる日だけど予定がない。観たい映画「マジックマイクXXL」は9時半スタートと中途半端だし、かといって家に帰って一人でご飯を食べて、HDにたまったままの写真を整理する気分にもなれない。

去年の8月までならこんな時には「ごはん食べに行こうよ」とか「映画見に行かない?」とカナを誘ってた。するとカナは大抵寝ているから、決まってダルそうに「えーっ」と言って一瞬考えた後、「準備に時間かかるけどいいかなあ」と答えて、私は内心「ヒマなんだからもっとシャキッとせーよ!」とムカッとくるのが常だった。

そんなカナを時には家まで迎えに行って「適当なカッコでええやん!」とハッパをかけて着替えさせ、今日はちょっとお高い中華料理とか、ちょっとお高いイタリアンをおごってやろうかなあと考えながら、「どうしてこんなに重いのだ?」と不審に思うほどでっかいいつものバックをさげて、よたよたしているカナと並んで歩くのだ。

だが歩いているうちに、「なんかめんどくさいなあ」「そうやなあ」「気楽な店の方がいいかなあ」「うん……。」となって、サイゼリアか王将でメニューを広げ「なんでも好きなもん注文しーよ!」とセコい大盤振る舞いするのがお決まりのコース。

でも今、カナはもういない。私には急に誘って一緒にご飯に行ける、近場に住んでいる人がない。隣町になら突然声をかけても出てきてくれる友人がいないでもないけれど、メールしたものの返信がないから今日は仕事なんだろう。

カナの不在が改めてひどく悲しくなって、8時前まで会社でネットをしながら時間をつぶしてから、サイゼリアでごはんを食べながら考えた。
そういえば昨日入港したクルーズ船、今夜9時に出航だっけ。風が強くて寒そうだけど、気晴らしに行ってみるか!

折しも空には満月。ライトに照らされた波頭が七色にきらめいている。
ウエディングケーキみたいな素敵で大きな船に乗り、楽しい旅の思い出を胸に手を振る人と、この人たちは次に行く街でどんなものを見るんだろう?と思い描きながら岸壁から見送る人。
もう二度と会うことのない人々の人生が一瞬交差する光景は胸がわくわくするような、そして同時にちょっぴりもの悲しくて、なんだか気持ちがおだやかになったのだった。

マルタ船籍の外航クルーズ船 セレブリティー・ミレニアム号。
総トン数90,963トン、全長294メーターの大型船なだけあってさすがの存在感。フェリーニの映画「そして船はゆく」を思い出す。

埠頭の手前の急な坂を上り切って、突然視界が開けた先にこんな巨大な建造物があると胸が高鳴る。

9時出航にギリギリ間に合った!入港の時には和太鼓が鳴り響いていたけど、趣向の今はブラスバンドが陽気な音楽を演奏していたよ。

デッキに鈴なりになった乗客は、歓声を上げたり手を振ったり。話したこともない、ほんの短い間微笑み交わすだけの人たちなのに、なんだか懐かしい感じに胸がぎゅっとなった。

しずしずと離岸する船はちょっとしたビルみたいに大きくて豪華。
巨大船の出航に立ち会ったことがない人は、ぐるっとターンして出航するのかな?と思うかも知れないけど、スペースの問題でまず波頭と平行に離岸するんですよ。

少しずつ遠ざかってゆく口笛やら歓声やらに向かって、バンドは最後の仕上げ とばかりにアップテンポの楽しい曲を一発。そして声をそろえて"SEE YOU AGAIN!!"

昔は出航の際には汽笛を三度鳴らすものだったけれど、これまで何度かクルーズ船の出航を見送った際には汽笛なし。夜の出航での汽笛は近所迷惑ということで自粛するようになったのかな、寂しいことだと思ってた。
でも、この日は遠慮がちながらボーッ、ボーッ、ボーッと三度鳴らしてくれたよ。

月明かりの中、静かに遠ざかってゆくセレブリティー・ミレニアム号。次の寄港地は長崎だ……って近いやん!(外航船なので外国の港にも行きますよ)

2015年10月27日(火)

メランコリーを呼び覚ます秋のせいか管理人、このところ再びうつモード。カナが生きてればなあ、とばかり考えてしまう自分の弱い心と闘ってます。
だから涼しい秋になって元気倍増なマヤちゃん、ねえちゃんの代わりにあいさつ願います。

やあみんな!食欲の秋だね!ぼくは春も夏も冬もおなかがすいてすいてたまらないけど、秋のすきかたはまたかくべつだね!

先週はぶりかまを盗み食いしておなかがぴーぴーになって叱られたよ。でもそのほかはだいたい元気さ!みんなも食べすぎには気をつけようね!

2015年10月22日(木)

丸々としたおなかをさするとあったかくて気持ちいい。マヤは最近「マヤ」じゃなくて「おなかぬく太郎」→はしょって「太郎」と呼ばれてるんだよ。

おどけものの太郎はしょっちゅうへそを天に向けたままフリーズしてる。

「自分がやりたいから」もたまーにあるようだけど、大半のへそ天は人間向けに「いっちょ喜ばせてやるか」って感じでやってるみたいだ。
だってへそ天の時はいつも、こんな顔でニヤニヤしながらチラッチラッとこっちを見てるんですもの!

日中はいまだに「夏かよ!」と太陽に向かってジャンプしたくなる暑さですが、11月も目前となるとさすがに朝晩は冷えてきましたね。キャベツが例年の7割高でマヤの食費(ドライフードにゆでキャベツをのせる)が高くつき、管理人ヒィヒィ言っておりますが、みなさまの財布はお元気でしょうか。

さて、冬の足音を感じるとき。それは朝、トイレに座ったときにひやっとして「便座の電気を入れようかなあ」と迷うとき。
そしてなによりミキ家では、私とヘボピーの間でおなかぬく太郎、もといマヤの争奪戦が始まるとき。

山で迷った子供が愛犬を抱っこして生き延びた、等のほっこりニュースでもご存知の通り、人間よりも体温の高い犬は湯たんぽの代わりにするには最適。
おまけにパワーストーン並みの癒しエネルギーを発散しているものですから、マヤを抱っこして眠ると夜の間にストレス霧散。サンリオのキャラになって綿あめの国で鬼ごっこする夢を見られそう。
だからちょっと冷えてくると「マヤーっ!おいでーっ!」「マヤーっ!こっちこっち!」と私とヘボピーは必死こいて布団を持ち上げ、マヤをいざなうのです。

しかし、犬にとって今の気温はまだ暑いのでしょう。人間のお布団に入るどころか、お布団の上で寝ることすら拒んで、リビングにあるボロボロになった自分のベッド、通称「ピンクさん」でひとりぽつんと寝ていることが多いのです。

でもまあ、マヤがお布団にもぐり込んでくるのもそう先のことではないでしょう。ぼんやりしてるうちに今年もあと2ヶ月と10日。師走で走って転倒しないよう、ぼつぼつ一年の仕上げを始めましょうね。

2015年10月19日(月)

元気です。でも二日酔い。そして筋肉痛。
……というのはうちから歩いて20分くらいの家の独り暮らしのおじいさん。マヤの散歩中に知り合ったポメラニアン(名前はマコちゃん)の飼い主のその方が、2ヶ月ほど前に階段から落ちて骨折し、退院したはいいがどうにも体調が悪いとのことで、昨日様子を見に行っていたのだ。

そのついでに庭でたわわに実った柿の実を、はしごに登って高枝切りばさみチョッキンチョッキン。刈って刈って刈りまくって下で待ち受けている じいさんに渡したのはいいけれど、収穫作業が面白くてついつい調子に乗りすぎてさ……。
はっと気付くとカゴの中には40個強の巨大な渋柿。そしてじいさん曰く「こりゃあむくのが大変やわ。最近は一時間もすると疲れてまうからなあ……」「むっ……むきましょうか?!」

わざと長めに残した枝をT字型にカットして、へたをとってから包丁をぎらつかせ、むいてむいてむきまくった40個強の巨大な柿。「上手いなあ!こういうのされたことあるの?」と誉められて調子づいてリズムに乗ってむいていたら、案外早く作業は終了。私、干し柿つくりの才能があるかもしんない。

そんなこんなでそこそこ楽しくやってます。なお左は下の日記で触れた「キングスマンLadies&Gentlmen上映会」のコスプレの模様。マッドマックスのコスプレとは違って舞台は現代英国だから安くつくわーと思ってたらなんのなんの。黒縁メガネ、ネクタイ、ポケットチーフ、黒い傘、そしてダブルのスーツまで一式そろえる羽目になった。

会場では数人の人から「その髪、どうやって染めてるんですか?」と聞かれたけど、残念ながら自毛だよっ!!

2015年10月9日(金)

明日は尼崎で映画「キングスマン」のLadies & Gentelmen 上映。
先日同じ映画館で開催された「マッドマックス絶叫上映」と同じく、コスプレ・絶叫・クラッカー・紙吹雪OK。ロビーではギネスビールを販売しており(主人公がこれを飲むシーンがあるのだ)、それをあおりながら思うがままに画面にツッコミを入れられるという放し飼い状態なイベント上映である。

さらにその翌日は池袋でマッドマックス絶叫上映で、本当はこちらの方に行きたかったんだけど、色々と事情があって断念。近場の方に参加することにした。
映画館で27回観てテンポが完璧に肉体に刻まれているマッマに対し、キングスマンはまだ一回しか観ていない。どこで合いの手を入れればいいのか?どこで紙吹雪を散らすのか?イマイチ分かってない点が不安だが、回りのガチ勢を見習えばなんとかなるか!

で、どうせ参加するなら少しでも盛り上がろうと、ヨークシャーテリアのぬいぐるみを主人公のハリーの愛犬・ミスターピックルに魔改造したよ。

コリン・ファース演じるスパイ、ハリー・ハートの愛犬ピックル。ハリーがキングスマンの採用試験に合格するための、最終関門を担っていたのはこのちっちゃなわん公なのだ。

映画中、ほんの一瞬だけ写るこの絵を愛犬家クラスタの人とああでもないこうでもないと分析した結果、ケアンテリアじゃね?という結果に落ち着いた。
だが、マイナー犬種ケアンのぬいぐるみなんか売ってないから、他犬種を魔改造するしかない!

そこでネットショップを回った末に、白羽の矢が立ったのがヤフオクに出ていたこれ。ヨークシャーテリアのぬいぐるみ。
パーティーに持っていくために改造するので!」(間違ってはいない)とむちゃくちゃ急いで発想してもらった。出品者さまありがとう。

ヨーキーもケアンも同じテリア類だから顔のかんじは似ている。こいつの毛を切ればなんとかなりそうだ。

だが、とりとめもない感じで生えている尻の毛を眺めると、上手くカットできるのか不安がつのる。

耳に針金を入れて立たせた後、毛の長さを調整する。何もしなくても可愛いぬいぐるみの毛をばっさばっさ切るのは気がひけるのだが……。

「毛を刈られるなんていやだよう」というぬいぐるみ心の声は心を鬼にして無視!許せ!とつぶやきながら刃物を手に取った。

じょきじょきじょっきん。ぶわっさぁ〜〜〜!

動かないぬいぐるみの毛でもカットってむちゃくちゃ難儀!
たえず動こうとする生の犬を相手にしているトリマーさんのすごさを痛感するひとときである。

なんとか形になったか?あとはリキテックスで着色するのみ。
ケアンテリアの写真を見ながらそれっぽい雰囲気を出そうとするあたくし。

苦労の末、ミスターピックル爆誕!
目を出したらなんか原型より若返った。けっこう可愛いくない?(=´ω`=)

2015年10月6日(火)

先週日本列島に襲来した爆弾低気圧がうつを呼び覚ましたのか旅行疲れか、それとも秋という季節がメランコリーを引き起こしているだけなのだろうか……。このところちょっとしたきっかけで気分が落ち込みがち。
美味しいものを食べたとき、綺麗な夕焼けを眺めたとき、面白い映画を観たとき、ああ、カナが生きていればこれを見てこんなこと言っただろうなあ、と思い描いて胸が張り裂けそうに悲しくなる。

今こにいる私は夢の中の私ではなかろうか?という錯覚にふと陥ることも増えた。
去年の8月7日から続くずっと醒めない夢を見ている最中で、目覚めた時にはみんながいる元通りの世界──カナや父と「お母さんのホームの見舞い、いつ行こう」「車が手配できないから高速バスにしようよ」なんて相談しているのでは?なんて感じることもしばしばである。
(不思議なことにたとえそれが夜の夢の世界であっても、元気だった頃の母が登場することは滅多にない。あんなに仲良しだったのに。やはり母と私たちはアルツハイマーという病にへだたれてから、10年という長い時間をかけてゆるやかにお別れしたからだろうか)

そんな心理状態のせいか、さっきまでカナの夢を見ていた。いや、カナは死んでしまったと知りながら、全身でカナの名を呼ぶ夢を見ていた。

夢の中でも妹はすでにこの世にいないことを知っている。けれどもひょっとすると大声で呼べば戻ってくるんじゃないか?
そう考えた私は、「現実の世界をだます」ためにごく平静を装って、カナが生きていた頃と同じように隣の部屋に向かって何度も叫んでいた。「カナ!ちょっと来てよ!聞こえてる?カナー!カナーっ!」 

でもカナが生き返るはずはなく、私の隣にぼんやりした目で座っていた友人──彼女も家族を喪ったのだ──がつぶやいた。「もう一度会いたいけどむつかしいよね」と。そして二人で抱き合ってしくしく泣いた。胸が張り裂けそうに悲しい夢だった。


こんな風にカナのことばかり考えて悲しんでいると死者が成仏できないと心配してくださる方もいらっしゃるかもしれない。
でも繰り返す悲しみに揺られて右往左往している私とは違って、あの世に行ったカナはきっと大丈夫。先日、ヘボピーがこんな夢を見たそうだから。

以下は9月4日にヘボピーから朝一番に来たメールである。

不思議な夢見た。
詳しくはまた話すけど、かなが夢にでてきて、ちやんと成仏?っていうのかしてたわ。
神様?天使?にポニーって呼ばれてるねんて。
まみねぇも私もお互いに、そろそろ離れるじきだから、まみねぇが私の事を思ってくれて、私が会いにくるのは最後だから、何か聞きたいことはない?って言われて聞こうとしたら目が覚めた。
かな、凄く柔らかい桜の花びらみたいに、綺麗だったわ。

魂や天国があるのかどうか私には分からない。でも、カナは今、一切の苦痛から解放されて安らかなのだと信じている。

2015年10月2日(金)

ちんまいジャーキーがほしくてたまらず、したくもないお座りしてみせるかわいそうなマヤちゃん。

下にある己の写真を見ながら「年をとると筋肉がたるんで垂れ目になってくるというのは本当だったんだなあ」としみじみ思っている。

先日塚口の映画館で開催されたコスプレOKの「マッドマックス絶叫上映」の際にも、「鉄馬の女」というワイルドなバイク乗りのおばあちゃんのコスプレをした私のことを「穏やかそうな鉄馬の女もいらっしゃいました」とツイートしてくださった方がいてね……。

「怖い」「キツそう」と言われていた自分が「穏やかそう」になるとは、ここまでに色々あったなあ……と遠くを見つめる目になったものだ。

で、年を取ると垂れ目になるのは犬も同じなんだね。若い頃はキュッとした顔だったマヤもこんなに穏やかそうなおじいちゃん顔になった。盗んだ食べ物を守る時は相変わらず目をギギギとつり上げて地獄の番犬みたいに唸るけどね!


昨日から日本列島を襲っている「爆弾低気圧」の影響で、足が腫れてズキズキしてる。気分もひどく落ち込んでる。夜中に目覚めて「カナはもういない」ことが頭の中でぐるぐるして眠れなくなるのって久しぶりよ。恐るべし爆弾低気圧。

幸いに今は爽やかな青空が広がっているので、なんとか乗り切れることだろう。日曜日は関西初の4DXシアターである「アースシネマズ姫路」にマッドマックスを観に行くんだから、落ち込んでるとか言ってらんねえ。