神官マハードの「わたくしめに裁きを!」がきっかけとなって急遽決定したこの度の初エジプト訪問。もちろんバッグの中には精選された三話分のジャンプ切り抜きを忍ばせている。

日の高い内には神殿や石切場でミーハー的大興奮を味わい、ナイルに臨むホテルに戻っては「今日のしめくくり」としてジャンプ切り抜きを眺めて妄想にふける・・・という夢のような毎日。

そして「神殿・王家の谷・カイロ博物館」という三大目的に加えて、お買い物大好きな私がもうひとつ楽しみにしていたのが「エジプト風アクセサリー類の購入」。

思えば今を遡ること○○年前、勤め先に出入りしていた広告会社のスカしたオヤジ。彼の胸に光っていた、ウジャトの眼をかたどったネクタイピン。
元々エジプト美術が好きな私は、それがもう羨ましくて辛抱たまらず、何とか譲ってもらえないかなという下心を胸に、オヤジにおべっか使ってみたり色々と無駄な努力をしてみたのであるが、わざわざオーダーしたというそれを彼は絶対に手放そうとしなかった。

その後も金のウジャトなどは全く目にすることなく月日が流れていき、古代エジプトからも遠ざかっていたところへ降って湧いたような遊戯王との出会いそしてエジプト旅行・・・
本場ならきっとアンクやロータスやウジャトをモチーフにした貴金属がバリバリあるに違いない!

そして実際に現地ではそういう筋のグッズがボリボリの価格設定にてバリバリと店頭に並べられていた・・・


エジプトではデパートやスーパー以外は基本的に値札がついていない。観光客相手の土産物屋はいわずもがな。「これいくら?」といちいちオヤジに聞き、そこから価格交渉・・・もううざいことこの上なし。

トルコで10万もしない価値の絨毯を40万円にてつかまされ、今度こそ失敗しないぞ!と再チャレンジした二度目の訪問では40万程度のモノを70万で売りつけられ見事に返り討ち・・・そういう痛い経験を繰り返した私は、「エジプトは全てが価格交渉」と聞いていささかうんざりであった。

どれだけ頑張っても、相場を知らない一週間滞在のツアー客が適正価格を知るってには無理だろ・・・そういう諦めの心で購入したこれらの品々。多分それなりにぼったくり入っていると思うのだが、今でも真の適正価格はよく分からない。

いや、それなりに交渉もしたことはした。しかし最初は楽しく値切っていても、ツアー後半になってくると値切り交渉に慣れない日本人はだんだん疲れてくるもんだ。ツアー同行の人々からも「もう値段交渉はしたくない!高くてもいいから値札の付いているところに連れて行って!」という悲鳴が上がってたからなぁ・・・

まぁ日本の貴金属の相場についてはある程度分かっていたので、トルコ絨毯とは違って失神しそうになるほどにはボラれてないとは思う。だが、少なくとも「おトクな買い物」でないのは確かだ。
己の買い物を公開するなんて、おバカな金持ち日本人が言われるがままに札ビラを切る姿を想像されそうで、顔から火が出るほど恥ずかしいのだが、どなたかエジプトへ行かれる時の参考までにと、恥を忍んで公開することにした。

<2003年5月追記
この旅行記を記してからさらに三度エジプトへ行った私は、いやっちゅーほど思い知った。

下に挙げた物品の値段はボリ!ボリ!すんごくボられまくってたわアタシ!
確かに「失神しそうになるレベルではないものの、適正価格とは言い難い。ツアーでよく連れて行かれるPhilipはエジプト一高いからその覚悟で購入を。でも品質はいいとのこと。怪しい店では「18金」と言われたゴールドが14金だった、なんてこともあるそうだから、貴金属は信頼できる店で買おう。

アスワンのホテルオベロイの地下にあるガラス専門店にて購入した香水瓶。エジプト南部の土産物として最も有名なのがこうしたガラス瓶である。小さくて安い物はひとつ100円程度から。

これらは高さ約20センチ。左は椰子の木をモチーフにしている。左30ドル、右20ドルだったかな。(←追記・今見ると高くて目眩がしてきた。当時はこれでもいい買い物したと喜んでいたのだが・・・知らない方が幸せだったかもしれないなぁ)

これは元々高級ホテルのショップなので、相場よりかなり高いことは覚悟していたのだが、スーク(市場)で見た商品には細工の良い物があまり無く、結局ホテルに戻って買った。

店主のアンちゃんはアスワンへの郷土愛に燃えていた。彼曰く、カイロはごちゃごちゃしていて慌ただしく、人間の気持ちも殺伐としているとのこと。こういうのってどの国でもちょっと都会から離れると良く耳にする話だよなぁ。

アンちゃんは「ぞうさん」など日本語の歌も色々披露してくれた。なんでも日本語のカセットで独学したらしい。だが、彼が片言の日本語を披露した瞬間「日本語を流暢に操るトルコ人」に騙された私の警戒ゲージは一気にレッドゾーンに達して慌てて店を出た。

アンちゃんはしきりに「店が終わってからお茶でも」と誘ってきたが、時間がないのでさようなら。それにしてもさすがイスラム圏。「店が終わって一杯」じゃなく「お茶でも一杯」なんだな。

なおバックのサルーキブロンズ像はエジプト土産でなくアメリカ製。

アスワンの露天にて一本約70円のビーズのネックレス。もっと安くなりそうだったが時間がないので交渉断念。色のコンビネーションなど、捜せば結構日本でも付けられる物がある。

ここのオヤジからは黒いガラベーヤ(シャーディーが着てる服ね)も買った。刺繍入りで1400円程度。店頭で見た時は良かったのだが、ホテルに帰って着てみるとダースベーダー状態だったので、今はタンスの肥やしになっている。

これは失敗した買い物。カイロ博物館にて約800円。ツタンカーメンの財宝を見た直後の目には地味すぎる位に写ったのだが・・・

こんなん日本のどこにして行けるっちゅーんよ?!コミケでコスするしかあらへんがな。

カイロ博物館のグッズは値段お高めだが、すべてに値札がついているので交渉のうっとうしさから解放されるのがいい点だよ。

ルクソール・ホテルソネスタの近所の土産物屋で購入。銀とエナメルの有翼スカラベ。純銀チェーン込みで約一万三千円。多分高いと思う。だが、後に立ち寄った土産物屋では、この店にあるようなデザインの良い品はなかったので、買っておいて良かった。

古代エジプトデザインのアクセサリー(ファラオニック・デザイン)は、どこの店でも似たようなものを売っている。だが、シンプルなデザインのブツは意外と少ないものだ。
「あ、ウジャトの眼だ!」と飛びついても、手に取ってみると思いっきりポップな字体で
EGYPTなんて入ってたりするから注意が必要だ。とにかくエジプシャンデザイナーはゴテゴテした装飾がお好きなようで、日本人から見ると「これさえなければなぁ!」と頭を抱えるようなパーツがくっついてるケースがけっこう多い。
だから、気に入ったものを見つけたら、高くても押さえておくことをお勧めしたい。

こちらも同じ店で購入した18金のアンク。長さ約5センチ、約四万五千円。金の重さとしては結構あるのでまぁこんなものか?

これが店で一番大きなアンクだったのだが、オヤジは私がガンガン買い物をするので気の毒になったのかどうなのか知らないが、「もうちょっと小さい方が可愛いよ、日本人はこういうのが好きだよ」などともっと安い物を勧めてきた。

しかし私は「小さくて可愛い物」に興味はないので、「BIGGER IS BETTER」とキッパリ言い切ると、オヤジは苦笑いしていた。

ラピスなどの装飾品の付いていないシンプルなアンクはこの店以外ではほとんど置いておらず、あったとしてももっと高かったので、まぁ良い買い物だったかな。(←追記。ウジャトは少ないが、シンプルなアンクならカイロにたくさん売ってました)

カイロ博物館のミュージアムショップでは土産物のほとんどを購入。多少高いが値札が付いており値引き交渉には応じないという安心感と、「カイロ博物館」のシールを貼ってくれるという点で土産物には最適である。

これは自分用に購入したロータスの指輪。18金にエナメル。約三万円。

実はこれと全く同じ商品をルクソールのホテル内宝石店で見つけ、とても気に入ったので値段を聞くと六百ドル(約七万円)と言う。「日本ではこんなもん三百ドルもせん!」と粘ったが、五百ドル以上は負けられないと言われて購入を諦めた。だが同じ物がカイロで三百ドル以下で売っているとは・・・

交渉が必要なショッピングの「言い値」の怖さをちょっと感じた一幕。

さて、これがかの有名なカルトゥーシュでございま〜す。杏子が息を切らせて買ってきたアレですな。

モノの本によれば、カルトゥーシュとはフランス語で「銃の薬包」の意味で、ナポレオンの編成したエジプト調査隊の人々が王名を囲んだこれを「カルトゥーシュ」と呼んだのが始まりとのこと。

アルファベット化した名前をかなり力づくでヒエログリフにあてはめ、カルトゥーシュに彫ってもらう・・・これはエジプト土産としては最もポピュラーな物なのだが・・・問題なのはここに彫ってある名前。

・・・ハイ・・・そうですね(笑)

実はこのアルファベットのスペルをどうするかが私にとっての最大の問題点。古代エジプト人の名前を発音から一旦アルファベットに置き換え、さらにヒエログリフに戻す・・・そんなこと無理ありすぎである。

でも私はここまで来たからには言ってみたかった。「マハードって彫って下さい」と・・・きゃっ!!杏子並みに乙女だわ!

ただ、インドのマハード市の綴りは"Mahad",サウジのマハド・エル・ザハブの綴りは"Mahd"、可能性としては"Mahard"も捨てきれない・・・

そこで私は現地ガイドのオムル氏に尋ねてみた。
「変なこと伺いますけど・・・マハードって名前、エジプトでは一般的なんですか?」

・・・初めてサシで放った言葉がこれかよ!

でも帰ってきた返事は残念ながら「いや〜、エジプトではそんな名前聞いたことありませんねぇ」というもの。
多少がっかりしつつも、なおも食らいつく私。
「それじゃあアラビア語で“マハード”って単語あります?」
「いや、それもないですぇ」

チッ!残念!和希先生、神官ズの名前をどこから拾ってきたんだろう・・・是非とも知りたい点であるが、突撃インタビューの叶うお方ではないので、真実は永遠の闇の中・・・

話戻って、結局カルトゥーシュに彫ってもらった綴りは"Mahd"にした。なんだか一番アラブ風だったしな。いや、マハードはアラブ人じゃないんのだが・・・

店のアンちゃんに綴りを見せ「これって何て読む?」と尋ねると「マハッド」という答えが返ってきたのでまぁいいか。・・・というわけでできあがったものが上のカルトゥーシュ。18金、長さ4センチにて340ドル高いやないかい!!(怒)

でもこれ、ツアーで連れて行かれた旅行会社御用達の店だったのだ。価格交渉不要ってやつ。同行のツアーメンバーも皆これを買っていたが、実際かなり高くついたと思うなぁ。
こうして見ると、ツアーで連れて行かれる店で買うよりは、自分で交渉した方が安く上がるのかもしれない。まぁ時間さえ許せばの話ではあるが。

これはカルトゥーシュよりさらにボラれ気味なウジャトの眼。カルトゥーシュと同じ店で購入、四百ドル也(約四万八千円)。

18金にラピスの瞳孔なのだが、透かし彫りで金の量が少ない割に高いんじゃかろうか。だが、これも他の店では日本の御神輿のように飾り立てられたデザインばかりで、こういうシンプルな物は無かったため、まぁ仕方ないかと無理矢理自分を納得させたブツである。