『STEP BY STEP』



「その、こういうのは・・・経験のないことだから、・・・それを
言い訳にするつもりはないんだが・・・・・」

 弓道場で、初めて身体を繋げて。
 MVP戦に優勝して、この学園に残れることも篠宮さんの弟の手術の
ことも決まって、本当に信じられないくらい全部丸く収まった日の夜、
どちらが言い出した訳でもなく。
 だけど、きっとそれは互いが望んでいたことで。
 篠宮さんの部屋、ベッドに並んで腰を下ろしながら語り合っている
うちに、ふと絡み合った視線。
 そのまま、引き合うようにキスをして。
 ベッドの上に横たえられ、のしかかる篠宮さんの重み、体温や吐息
や触れてくる手の心地良さにうっとりと目を閉じる。シャツの袖に、
しがみつきながら、早く素肌で触れ合いたいな…って思いながらも、
だけど気恥ずかしさに口には出来ない。
 俺にとっても、こういうのは篠宮さんが初めての経験で。
 そして、篠宮さんにとっても、そうだったらしく。
 閉じた瞼の上、そっと唇を落としながら、やや躊躇いがちに篠宮さん
が告げたのは、初心故の不器用さを告白するもので。
「・・・・・そんな、こと・・・っ」
 経験がある、と言われれば何だかヤキモチでも焼いてしまいそうだ
と思うけれど、自分が初めての相手だと言われると、くすぐったくも
嬉しかったりもする。
 それに。
「だって、すごく・・・気持ち、い・・・い・・・です・・・っ」
 篠宮さんに触れられれば、そこからジワリと沸き上がる快感。
 全部、キモチイイから。
 伝えるのは恥ずかしいけれど、そろりと口にすれば。
「・・・・・良かった・・・」
 ホッとしたように。
 嬉しそうに、微笑いながら額をコツリと押し当てて。
「どうしたら良いのか考える前に、身体が動いてしまっていたから。
・・・啓太が気持ち良いと感じてくれているのなら・・・・・」
「・・・・・篠宮、さん・・・」
 もちろん、気持ち良いことばかりじゃない。
 本来、受け入れるようには出来ていない身体だから、その行為には
少なからず痛みは伴うのだけれど。
 それでも、篠宮さんが与えてくれるものならば、その痛みすらも
歓びに感じられたりするのだから。
「・・・・・好き、だから・・・っ」
 そう、なんだ。
 きっと、それが理由にもなっている。
 好きな人、が。
 好きな人、だから。
 好きな人と、だから。
「・・・・・啓太」
 もしかしたら、まだ稚拙かもしれないキスも、こんなに気持ち良い。
 でも、それでも。
 初めてのキスは、まだ触れ合うだけのものだった。
 …もっと深く、舌を絡めあうようなものになったのは。
 そのきっかけは、どちらからだっただろう。
「っ、し・・・のみや、・・・んっ」
 胸の突起を柔らかく噛んで、舌先で転がすような、こんな愛撫も。
 そして。
「・・・っあ、・・・ん、ん・・・や、ァ・・・・・っ」
 下肢の昂りに触れる、指先と。
 触れる、吐息。
「だ、め・・・っそん、な・・・あ・・・ん、っ・・・・・」
 先走りを舐め取る舌と、濡れた口腔の感触。
 こんな。
 こと。
「や、もう・・・っど、して・・・こんな、こと・・・ぉ・・・っ」
「・・・・・俺が、したいから・・・だ」
 そんな。
 理由、って。
「イヤ、か・・・?」
 イヤな訳じゃない、けれど。
 まさか、そんなことをされるなんて、思わないから。
 そんなことをする、なんて。
 思わなかった、から。
「し、篠宮さん・・こそ、イヤ・・・じゃ・・・・・」
「したいんだ、と・・・言っただろう」
 笑う吐息が、濡れそぼった先端をくすぐるのに、また身体が震える。
「・・・・・可愛くて、愛おしくて・・・仕方ない、んだ」
 そう言って、また俺の昂ったものを口で愛撫し始める。
 そんなダイレクトな刺激を与えられたりしたら、もう。
「や、っ・・・だ、め・・・だめぇ、・・・・・っ・・・」
 我慢しなきゃ、って思うのに。
 チュ、とやや強く吸われて、促されるように、だから。
「あ、・・・・・っ」
 しっかりと腰を捕らえられていたから、逃げることも出来なくて。
 咥えられたまま、俺は篠宮さんの口の中に放ってしまっていた。
「・・・・・っ、ご・・・ごめん、なさ・・・っ・・・・・」
「・・・・・どうして謝ることがある?」
 コクリ、と嚥下する音がやけに大きく響いて聞こえる。
 唇に微かに残る白濁をペロリと舐め取る篠宮さんの舌の動きに、俺は
不覚にも跳ね上がった鼓動に泣きそうになった。
「だって、・・・・・だって・・・」
「・・・・・啓太・・・」
 本当に、どうしようもないくらい。
 気持ち良くて。
 篠宮さんの…口、汚してしまったのに。
 なのに、もっと…って…思ってしまった。
「悪いのは、俺だ・・・だから、謝らなくていい」
「・・・・・ち、が・・・っ」
 そして、彷徨わせた視線の先。
 寛げた篠宮さんのズボンの、その中。
 覗く下着の中にあるものを想像して、また鼓動が跳ね上がるのに。
「お、俺・・・も・・・・・」
 まるで、熱にうかされたみたいに。
 緩慢な動作で身体を起こして、篠宮さんの腰に縋り付くように。
「な、・・・・・」
 吃驚したような篠宮さんの声を頭上に聞きながら、俺の手はズボンの
中へと滑り込み、下着を引き下ろして。
「・・・・・っ」
 弾かれたように飛び出してきたものに、間近に見たそれの大きさに、
一瞬躊躇したけれど。
「篠宮さん、の・・・」
 そう、これは篠宮さんの。
 もうこんなに大きくなって、俺がそろりと手を添えれば、それだけで
またピクリと震えて、その体積を増す。
 すごい、と。
 感嘆の溜息を洩らしながら、俺はついさっき篠宮さんが俺にしてくれた
ように、先端に滲み出たものに舌先を這わせた。
「け、いた・・・っ」
 頭の上に、戸惑うように置かれた、手。
 引き離そうか、どうしようか迷っているのが伝わってくる。
「ん、んっ・・・・・」
 舌先に触れた滑りは、不思議な味がした。
 美味しい、だなんてちっとも思えないくせに、それでももっと欲しく
なって、促すように剥き出しの部分を舌で辿りながら、そのまま口の中に
招き入れれば。
「っ、・・・・・」
 篠宮さんの、息を飲む気配がして。
 咄嗟に髪を掴んだ手が、だけど慌てて放されて。
 …どうしよう。
 どうしようもなく、愛しさが込み上げてくる。
 口の中いっぱいに膨らんで、トクトクいってる篠宮さん、の。
 大きくて、さすがに全部は頬張り切れないから、半ばぐらいまで含んだ
それを、ゆっくりと口の中を行き来するようにすれば、頭の上に軽く添え
るように置かれた手が、ピクリと震える。
 キモチイイ、のかな。
 じわりと、また先端から滲み出る体液と、俺の唾液とが混じり合って
口元を伝うけれど、拭う余裕もないくらい俺は、この行為に没頭していた。
 篠宮さんが、感じてくれているなら嬉しい。
 それに、俺の口の中を行き来する篠宮さんの堅くなったものが、上顎の
敏感な粘膜を擦るから、その快感が下肢にまで伝わってくる。
 きっとまた、熱くなって勃ち上がっている。
 それを思うと、自分はいやらしい奴だって、堪らなく恥ずかしくなるん
だけれど、それでも。
 篠宮さんのを俺はまるで赤ちゃんみたいに、熱心にしゃぶり続けていた。
「だ、めだ・・・啓太、っ・・・・・」
 頭上から聞こえる篠宮さんの声は、熱い吐息混じりに欲に掠れている。
 それすらも、俺の快感をくすぐるのに。
「も、・・・けい、た・・・っ」
 切羽詰まったような声に、ドキドキしてしまう。
 キモチイイんだ、って。
 そう思うと、嬉しくて、嬉しくなって、益々夢中になって。
 もっと気持ち良くなって下さい…って祈るように、咽せる限界まで深く
飲み込みながら、含み切れない部分を添えた手で撫でるように擦る。
 すごく堅くて、熱い。
 目眩すら感じながら、ひたすら下肢に顔を埋めていれば。
「く、っ・・・・・」
「ん、・・・っ・・・・・」
 四肢を緊張させて、篠宮さんが低く呻く。
 途端、舌の上に熱いものが吐き出されるのを感じた。
「・・・・・っ、ふ・・・」
 口の中、ヒクヒクと震えながら、幾度かに渡って射精が続く。
 やがて全て出し尽くしたのか、やや勢いを削いだものを口から放して、
生暖かい体液を口に含んだまま視線だけ上にあげれば。
「っ・・・・・」
 まだ荒い息遣いのまま、困惑の表情で俺を見つめる篠宮さんと、目が
合って。
「・・・・・吐き出していい、から」
 戸惑う瞳を向けたまま、篠宮さんが俺の口元に手を当ててくる。
 その意図に気付き、だけど俺は。
「ん、・・・・・っ」
「っ、啓太・・・!?」
 口に含んでいたものを、コクリと。
 飲み下していた。
「・・・・・に、が・・・」
 苦い、ような。
 何だか、やっぱり不思議な味が舌の上に残っている。
「な、・・・っどうして、飲んだり・・・」
「篠宮さんだって、・・・・・」
 俺の、飲んだじゃないですか…と、言外に伝えれば。
「そ、それは・・・だが、そんな・・・美味しいもの、でも・・・・・」
 確かに、変な味…としか思えないし、篠宮さんのでなかったら、絶対に
絶っ対にイヤだと断言出来る。
 でも、そんなに困りきったような目で見つめなくてもいいのに。
 そんなに、俺が飲んでしまったことが、イヤなんだろうか。
 自分だって、何でもないことのように飲んだくせに。
 俺だって、篠宮さんのだからこそ、だから、なのに。
「ちょっと苦かったような気がします、けど」
「・・・っ、だったら」
「でも、良薬口に苦し…って言いますし!!」
 何だか、悔しくて、悔しいって思ったら、つい。
「っ、薬じゃないだろう、それは」
「だって、出されたものは残さずに…って!!篠宮さん、いつも俺に言ってる
じゃないですかっ!!」
「それとこれとは違うだろう!!」
 …何言ってるんだ、俺。
 …どんな言い争いしてるんだろ、俺たち。
「・・・・・・・いや、だから・・・その・・・・・」
「俺は、・・・篠宮さんに気持ち良くなって貰いたかったし、それに・・・
その、俺も・・・・・」
 篠宮さんだけ、気持ち良かった訳じゃない。
 俺、だって。
「・・・・・啓太、も」
「っ、あ・・・・・」
 俺の言おうとしたことが、伝わったんだろうか。
 篠宮さんの瞳が、ふと優しく細められて。
 そっと伸ばされた手が、ゆるりと勃ち上がりかけていた俺の下肢の昂りに
触れる。
「・・・・・溶けそうだ、な」
「あ、・・・篠宮さ、ん・・・っ」
 先端から溢れ出した滑りを、篠宮さんは指の腹で窪みを撫でるようにして
くるから、思わず退いてしまいそうになる身体。だけど、ゆっくりと押し倒す
ように体重を掛けてくる篠宮さんに、捕らえられて。
「ああ・・・ここ、も」
「ひ、ゃ・・・・・」
 糸を引く体液を絡めた指が、するりと双丘の奥に滑り込む。
 滑るように少しだけ中に潜り込んだ指を、咄嗟に締め付けてしまって。
「っ、こら・・・」
「だ、だって・・・・・」
 ちょっと痛かったのかもしれない。
 だけど、篠宮さんはくすぐったそうに笑って、おずおずと弛緩させた部分
を確かめるように、内壁を辿る。
「・・・・・ここ、で」
 ぽつり、と。
 篠宮さんが小さく呟いた言葉に俺はハッとしたように、すっかり皺が寄って
しまったシャツの袖を掴んで。
「・・・・・ここで、っ・・・」
 何を言いたかったのか、俺自身よく分かっていなかったのかもしれない。
 だけど。
「ここ、に・・・・・下さい・・・・・っ」
 もっと深く、深いところに。
 篠宮さんを受け入れて、篠宮さんを感じて。
「中、で・・・・・っ」
 溢れるくらい。
 ここに欲しい、って。
「・・・・・啓、太」
 少しだけびっくりしたように見開かれた瞳は、だけどすぐに優しく、そして
熱っぽい光を宿して。
「もう、・・・平気か」
「っ、・・・・・」
 指は、いつの間にか増えていて。
 多分、3本…俺の中を、穿っている。
 篠宮さんのは、それよりもずっともっと大きいけれど、でも。
「早、く・・・・・ぅ」
 大丈夫。
 熱く痺れたそこは、まるで咀嚼するように蠢いていて。
 こんなの、やっぱり恥ずかしいけれど、それでも。
「・・・・・ああ」
 ここ、に。
 篠宮さんが、欲しいから。
「ふ、ァ・・・・・、っ」
 抜かれた指の代わりに押し宛てられた、先端。
 少しずつ侵食して、拡げられていく感覚。
「あつ、い・・・・・」
 粘膜が触れた瞬間、洩らした言葉は一緒で。
 苦笑混じりに唇を寄せ合いながら、身体を繋げていく。
「ん、・・・・・」
 篠宮さんの腰骨が軽く当たって、全部入ったのが分かった。
 俺の中、いっぱいに。
 篠宮さんが、いる。
「何だろう、な・・・」
 ふ、と。
 篠宮さんが、微笑う吐息で囁く。
「こうしていると、・・・興奮しているはずなのに、とても・・・安心する」
 告げられた言葉に、俺も。
 ああ、そうだなって。
「・・・・・はい」
 頷けば、嬉しそうに微笑む篠宮さんの瞳に映る俺も、とても嬉しそうで。
 幸せだなあ、って思いながら。
 篠宮さんも、そう思ってくれているといいなあ…って思いながら。
 その背に、ぎゅっと腕を回した。





おしゃぶり啓太!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!←愉しかったらしい
テクは回数を重ねてくうちに身についてくると思われますので
取り敢えず、気持ちからです!!メロメロと!!
・・・・・バカップルばんざーい!!