『夢でも』
呼ばれたような気がして。
目が、覚めた。
目の前に飛び込んで来たのは、柔らかなブルー。
その色を纏った胸の中に抱き込まれている啓太もまた、同じ色の
パジャマに身を包まれている。
ドキドキしながら2人で買った、お揃いの。
その時の、お互いの照れくささと、そしてくすぐったいような
嬉しい気持ちが、ふと蘇ってきて。ほんの少し身じろぎしながら、
啓太は微かに頬を染めた。
もっとずっと恥ずかしいコトだって、いっぱいしているのに。
というか、ついさっきまで。
そう思いながら、増々赤くなりつつあるだろう自分の顔を考えて
また何だか恥ずかしくなってしまうのに。
そういえば。
どうして急に、目が覚めたりしたんだろう。
思い巡らしているうちに、それは。
答えは、すぐに。
「・・・・・啓太」
「っ、・・・・・」
呼ばれた、気がしたのだ。
この、声に。
篠宮に。
慌てて視線を上げれば、だがしかし。
篠宮の瞳は、閉じられたまま。
額にかかる穏やかな吐息に、眠っているのだということが伺い
知れて。
呼ばれた、と思った。
呼んだのだと思った、それは。
篠宮の、寝言。
「・・・・・」
それでも。
夢を見ているのだろうか、その中で。
篠宮は、啓太を確かに。
呼んだ、のだ。
呼ばれていた、のだ。
「・・・啓太・・・」
そして、また。
柔らかい、声で。
呼ぶ、声に。
思わず、キョロキョロと辺りを見回してしまって。
ここ、には。
篠宮の部屋には自分たち以外誰もいないのを確かめる、という
より。
多分、きっと。
それは、照れ隠しのような所作で。
「・・・・・篠宮さん」
夢の中での呼び掛けであっても。
それに、応えるように。
暖かな胸元、擦り寄せるように顔を埋めれば。
ふ、と。
微かに笑ったような気配がして。
包み込む腕に、僅かに力がこもる。
同じ夢が見たい。
篠宮が見ているであろう夢の中、入り込めれば良いのに。
そう思いながら、抱きしめる温もりに身を寄せる。
同じ夢を見られたら。
そこでも、こうして抱きしめて欲しい。
ここに、いるから。
ちゃんと、呼んで。
「俺を、呼んで下さい・・・ね」
目を閉じて。
トクトクと、耳で身体で感じる鼓動。
合わせて。
一緒に。
同じ。
夢を。
見よう。
お揃い!!お揃いーーーーッvvvvv←まずソコかよ
歯ブラシもお揃いでお願いします!!色違いでも◎!!
寝言で名前を呼ばれると、ドキリとします。
嬉しかったり恥ずかしかったりの反面、何だか
悔しかったり狡いと感じたり。
夢の中で一緒にいるのも、自分がイイです(我が侭)。