dependence



 こんな、自分勝手な生き物だけれど。
 それでも、この想いは真実、本当のものだから。

 殆ど、毎日。1日の終わりと1日の始まりに、いつも傍らに
いるのは、在るのはお互いばかりで。
 今夜も、また。
 日付けが変わったであろう、その瞬間にも僕たちは。
 肌を重ね、繋がり合って。
 ひとしきり、その溶けそうな熱と欲とを絡め合った。
「っ、・・・・・」
 何度かの絶頂を迎えた彼は、そのまま。くたりと弛緩させた
身体をベッドに沈め、眠りの淵へと落ちていってしまう。そこは、
どうしたって僕の手の届かない場所だから、先に眠ってしまった
彼を、ほんの少しだけ恨めしく思ったりもするのだけれど。
 だけど、こうして繋がったまま。
 そうすれば同じ夢が見れるかもしれないと、そんなささやかな
期待を秘めながら、まだ熱い身体を胸の中に抱き込んで、そっと
目を閉じる。
 静かな、部屋。
 互いの吐息と、鼓動。そして、温もりだけが今の僕の全てで。
 ただ、それだけで。
 酷く、満ち足りた気持ちになる。
 ささやかで、とても贅沢な。

「愛していますよ、・・・伊藤くん」
 耳元、囁けば。
 微かに、睫毛が震えた気配がして。
 夢の中にいる彼にも、ちゃんと届いたのかと思うと、やはり
嬉しくなってしまうもので、閉じていた目を開けて、そっと顔を
覗き込めば。
 伏せられた睫毛は、しっとりと濡れているのに気付く。
 ああ、また沢山泣かせてしまったのだと思うと、微かに胸が
痛むけれども、だけどその涙は僕がもたらした快感によるもので。
キスの合間に舐め取れば、微かに苦く。そして、たまらない甘露
として、舌の上に転がった。
 拭っても拭っても、僕が彼の中を突き上げ、揺さぶる度にまた
溢れては零れ。きっと、その視界は熱にうかされた意識と相まって
見下ろす僕の表情すら、はっきりとは映ってはいないのだろう。
 でも、それで。
 その方が、良い。
 彼を組み敷く僕は、きっとおそらく自分が思っている以上に
あさましく、飢えた貌をしている。
 それを。
 彼の、真直ぐな目で見られることに。
 怯えて。
 なのに、僕は彼という全てを知りたくて、知り尽くしてしまい
たくて。その欲は、底も果てもなく。キレイなところも、そうでは
ないかもしれないところだって、全部。見付けて、見つめていたい
と、心から願っているのに。
 そして、彼にも僕というものの全てを、知っていて貰いたいと
理解して欲しいと、密やかに祈りながら。
 なのに。
 僕自身の、醜さは。
 知られたくないと、知って欲しくないと。
 そういう願いも、確かに存在するのだ。

 彼、なら。
 僕のどんな醜い部分も、もしかしたら戸惑いや怯えも見せながら
も、きっと柔らかなその眼差しで受けとめてくれると、そういう人
なんだと、確信にも似た思いを持ってはいるのだ。
 それでも、どうしても。
 彼の前では、僕はどうしようもなく臆病で。
 やっと捕まえた愛おしい人を、離したくなくて。
 離れていってしまうのが、怖くて。
 いつも腕に抱きながら、願う。祈る。
 どうか。
 どうか僕を。

「僕を、・・・・・」

 厭わないで。
 嫌わないで。
 離さないで。
 どうか。
 捨ててしまわないで、と。

 おそらく、君が思っているより、ずっと。
 想像も出来ないくらいに、僕は脆く弱い生き物で。
 君のために、幾らでも強くなれる男であるけれど、同時に。
 きっと、君のひとことで呆気無く壊れてしまう、そんな。

 そんな、もしかしたら君にとってはとても厄介な存在だったり
するのかもしれないけれど、それでも僕は。
 君が好きで。
 好きで、どうしても。
 君を離したくないのだから、もう。

 このまま。
 捕われて、いて。
 君は。
 僕を、捕まえていて。





もう、後がナイらしい・・・臣。
というコトで、責任持って嫁に行け、啓太v←え
・・・・・啓太視点の話も、近々♪