Together



「も、・・・だめだって、ば・・・っ」
「足りないよ、・・・啓太」
 欲を吐き出して一旦勢いを削いだそれが、また固く熱く、俺の
中を支配していく。
 もう、どれくらい時間が経って、どれくらい互いに達したかも
何だか朧げな記憶でしかなくて。
 数日振りではあったけれど。
 理事長としての仕事で忙しかったらしい和希が、消灯時間間際に
俺の部屋を訪れて。
 性急な、キスも嫌じゃなかった。
 むしろ、焦がれていたんだと思うくらい、俺ももっとと求めて。
 服を脱ぐのももどかしく、2人してベッドに倒れ込んで。
 そのまま、ずっと。
 抱かれ続けていた。
「啓太のここも、もっと…って言ってる」
 根元まで咥え込んで、まるで咀嚼するように蠢く入り口を、その
繋がった部分を和希の指が、そろりと撫でる。
「や、や・・・っ」
 もう、とろとろになってしまっているのが分かる。
 一度も、抜かれなかったけれど、中で幾度となくも放たれたもの
が、和希が抽挿を繰り返す度に、掻き出されて溢れ落ちてはシーツ
を濡らしていく。
「欲しいよ、啓太・・・まだ、全然足りない・・・・・」
 俺、だって。
 ほんの数日会わなかっただけなのに、西園寺さんたちにも元気が
ないな、と苦笑される始末で、その寂しさは隠し切れなかったから。
 だから、久し振りに顔を見て、触れて触れられて。
 嬉しかったんだ、けれど。
「だめ、だよ・・・っもう、・・・歩けなくなっちゃう・・・」
 冗談じゃなく、ほんとに。
「歩けないなら、何処だって俺が抱いてってやるよ」
「・・・っ、授業だってある、のに・・・っ」
「そんなもの、どうだって良いじゃないか」
 いっそ。
 休んじまえよ、と。
 耳元で囁かれた、瞬間。
 俺は。
「・・・っバカ、やろう・・・・・っ!!」
「っ、く・・・・・」
 のしかかる和希の身体を、半ば突き飛ばす勢いで押し退けてしま
っていた。
「け、いた・・・」
「何だよ、それ !! 何、勝手なこと言ってんだよ・・・っ」
 呆然と座り込む和希に、俺はまだ枕まで投げ付けそうな勢いで。
「この前も遅刻しそうになったし、その前は・・・1時間目の授業、
受けられなかった・・・昼休みの後、戻れなかったことだって」
 そんなことも、どうってことないんだろうか。
 和希にとっては。
「勉強なら、俺がいつでも見てや・・・」
「そういうことじゃなくて !! 」
 何で。
 分からないんだろう。
「こんなことするために、俺をこの学園に呼んだ・・・?」
「っ、まさか・・・俺は」
「嬉しかったのに、・・・和希・・・カズ兄と一緒の学校に・・・
約束、和希が・・・っ」
「・・・・・啓太」
 どうして。
 うまく伝えられないんだろう。
「一緒、に・・・っ」
「・・・・・・・」
 泣いてしまいそうなのを見られたくなくて、抱きしめた枕に顔を
ギュッと押し付ける。
 悔しいのか悲しいのか、もう何だかぐちゃぐちゃで。
 だけど。
「・・・・・ごめんな」
 ふわり、と。
 頭の上、手が置かれる。
「一緒に、・・・・・学生生活、楽しまないと・・・な」
「う、・・・・・」
 髪を撫でる手は、暖かで。
 さっきまで俺を翻弄していた熱は、感じられずに。
「一緒に、シャワー浴びようか」
「・・・・・ん」
「シーツも替えて、・・・一緒に寝よう」
「・・・・・ん」
「朝起きて、着替えて、御飯食べて、一緒に学校行こうな」
「・・・・・うん」
「色んなこと、一緒に・・・しよう、啓太」
「・・・・・和希」
 そろりと枕から顔を上げれば、ホッとしたような和希の顔。
 もしかしたら、ちょっと焦ったりしていたのかもしれない。
「よし、まずはシャワーだ。啓太、立てる?」
「う、ん・・・何とか・・・・・っあ」
「あ、・・・・・ああ」
 少しだるいけれど、これなら大丈夫だよなって思ったから、腰を
浮かせて立ち上がろうと、して。
 途端、脚の間から零れて伝い落ちたものの感触に、そのまま床へと
しゃがみこんでしまう。
「・・・・・ごめん、風呂場まで抱いていく」
「・・・・・うう」
 これ以上動くと、またどんどん溢れて来そうだから、和希の言葉に
俺は頷いて、肩に手を回した。抱き上げる時に、剥ぎ取ったシーツを
下肢に巻き付けるようにしてくれたのは、やはり気遣ってくれたんだ
と思う。
「あ、洗うのは自分で出来るからな」
「うん、分かってる分かってる」
「・・・・・2回も言わなくていい」
 何だかすっかり元の調子な気がしたけれど、それでも俺の伝えたい
と思っていたことを、ちゃんと酌み取ってれたのなら嬉しい。
「・・・あ、有難う」
「どういたしまして」
 浴槽にそっと俺を下ろして、和希がにっこりと笑う。
「っと、シーツ替えて来るから、先にシャワー使ってて」
「あ、うん」
 もしかしたら、もしかするとシャワー中に、そういうコトに及んで
しまったりするんじゃないかって、少しだけ…ほんの少しだけ疑って
いた俺を許してくれよな、和希。
 俺を残して浴室から出ていこうとする和希の背に、俺はそっと。
「・・・・・好きだよ、和希」
 告げれば。
「・・・・・自制心を試されてるような気がするなあ・・・」
 苦笑混じりに呟いて、ドアの向こうに消える背に。
「ほんとに好きだってば」
 くすくすと笑いながら。
 そのままの気持ちを投げかけた。





和希御誕生日おめでとーうvvv
誕生日とは関係ナイ話ではございますが!!
抜かず●発。さすが理事長(何)v