『罪人』
『罪』なら。
既に、犯しているのだろう。
祭壇の前。
御元に、跪き垂れていた頭を。
ゆっくりと上げ、巡らせて。
「・・・やはり、貴方でしたか」
入り口に。
ひっそりと佇む姿に、声をかければ。
「ごめん、邪魔・・・したかな」
「いいえ、そんなことはありませんよ」
微笑みながらも、申し訳なさそうに言うのに。
ゆるりと首を振って答え。
「来て下さって・・・・嬉しいです」
それは。
本当の気持ちであって。
彼の柔らかい氣は、心を穏やかにさせる。
「・・・・・随分、熱心に祈ってたんだね・・・」
私の言葉に、少し照れたように。
小首を傾げて。
「・・・そう、ですね」
曖昧な、応え。
先刻まで。
祈りを捧げていた、と。
そう、彼は見て取っていたようであったけれども。
あれ、は。
「それはそうと・・・何か、御用でしたか?」
既に。夜四つになろうかという時刻。
何か急ぎの用件があったのではと、問えば。
「うん、内藤新宿へ行ったついでに、奈涸の店に行ったんだ
けど。以前、お前が頼んでた品が入荷したからって・・・
預かって来たんだ」
そうして、包みを差し出すのに。
「あの方も・・・村へ戻っておいでなのでしょう?」
それならば。
わざわざ、こうして彼に言付けなくとも。
「うん、一緒に戻って来たけど・・・・俺が持って行った
方が・・・その、喜ぶからって・・・・・」
包みを受け取れば。
目元を微かに朱に染めて。
困ったように、視線を逸らすのを。
ああ、どうして貴方は。
いつも。そんなにも。
「・・・挑戦状・・・といったところですかね」
品物を彼に託した、涼し気な貌の男を思い描き。
苦い笑いと共に、呟けば。
「・・・え?」
「・・・・何でもありません・・・・有り難うございます」
怪訝そうに聞き返すのに、にっこりと笑って礼を述べれば。
「うん・・・・・それに、ね」
彼も。
嬉しそうに笑い返して。
「御神槌に、おやすみって・・・言いたかった、から」
そんな、ことを。
こうも容易く。
言ってのける、貴方が。
「・・・・・龍斗、さん・・・」
「じゃ、おやすみ・・・・御神槌」
「・・・はい。おやすみなさい・・・龍斗さん」
真直ぐに、私を見つめて。
綺麗に微笑む、貴方が。
静かに閉じられた扉を、見つめ。
残り香のような、彼の清浄な氣に。
癒されていくのを、感じながら。
一方で。
彼の、笑顔に。
その、姿に。
どうしようもなく、乱されていく心を。
否応無しに、自覚して。
「・・・・・貴方、は」
私にとって。
天使なのか。
悪魔、なのか。
貴方の存在は。
天使でも、悪魔でも。
「・・・・・どちらでも、私には・・・・・」
もう。
出逢ってしまったから。
彼に。
私は。
「・・・・さて、寝る前に・・・」
懺悔の。
続きを。
あの、悪夢の代わりに。
毎夜、見るようになった。
彼を、この手に抱く。
甘美な、夜毎の。
この想いが、消えぬように。
罪も、消えることはないのだろう。
だから。
こうして。
手を組み合わせて。
我が心におわします、神に。
貴方、に。
この罪深き男を。
どうか。
初の、御神槌×龍斗ですッ(悦)!!
2周目にして、ようやく仲間に出来た記念に(笑)。
や、ネタは考えてはいたんですが、やはり仲間に
してから・・・と(笑)。
プラトニックな、ふたりなのです・・・まだ(含笑)。
御神槌・・・・いったい、どんな夢を(ドキドキ)!?