『魂が、惹き寄せる』




 じめついた梅雨の合間。珍しく顔を覗かせた太陽と青空の下で鍛錬をしていた壬生
は、木の下で眠る「それ」に足を止めた。
「………」
 壬生が見つめる中、「それ」は意識を取り戻すことなく。目を閉じたまま、健やか
に眠っている。
「…龍」
 起こすべきか否かわずかに迷い、それでも声をかけるが「それ」──龍斗が目を開
けることはない。壬生は困惑したように龍斗を見つめ、そしてひざまずいた。
「龍。龍斗」
 やや強く声をかけ、肩を揺すっても起きる気配は、無い。壬生はどうしたものかと
考え込み、けれど良い案は浮かばず。結局、隣に座り込んだ。
「ん…」
「龍?」
 何事かつぶやいた龍斗に、目を覚ましたかと壬生が視線を向けるが、相も変わらず
起きる気配はない。壬生は微苦笑を漏らすと、龍斗の前髪を軽くかき上げた。そうす
れば、あらわになる美しい寝顔。
いつもコロコロとよく変わる表情に、ひときわ輝く緑の宝石。今は閉じられたその瞼
の下にある、強い光の宿った宝石は、壬生を魅せて止まないもの。
しばらくその寝顔を見つめていたが、不意に壬生は身体を屈めた。そしてそっと唇を
押しつける。その柔らかく甘い果実の感触を楽しんだ後、ゆっくりと離れた。途端、
龍斗の身体がぐらりと傾ぎ、そのまま壬生の足の上まで頭を滑らせる。結果、龍斗に
膝枕するような形になり、壬生は思わず苦笑した。
「…無防備だな」
 すやすやとなんの疑いもなく眠る龍斗。その髪を、幾度も優しく梳きあげる。
「お前の魂の輝きは、俺には眩しすぎる」
 けれど。
 燃えるとわかっていながらも炎に惹き寄せられる虫のように。惹かれずには、いら
れない。
「龍斗…」
 何故、こんなに愛おしいのか。
 何故、こんなに惹かれるのか。
 無魂症の自分が、何故。
「いや…無魂症だからこそ、惹かれるのか…」
 己の魂に、光が灯っていないから。
 彼の魂が、あまりに輝いているから。
「龍…。愛おしくて…大切で…」
 護りたいけれど、壊してしまいたい。
 手元に繋いで、放さないで。
 でも、自由に翔ばせたい。
 彼に関しては、すべてが矛盾している。だが、どれも真実であることには変わりな
い。
 この矛盾は、きっと永遠に消えることはないだろう。それでもいいと思える自分
が、可笑しい。
「…愛している」
 一番の真実は。
 彼に惹かれていて、
 心から、愛していること。
 ふわりと笑んで、そっと口付けて。幾度も唇をついばめば、龍斗が目を開けるのが
気配でわかった。
「う…ん……?」
 龍斗はぼんやりしたまま壬生の顔を見つめていたが、やがて意識がはっきりしたの
か、飛び起きる。
「うわっ!?霜葉!!??」
 なんでここにいるんだと、大きめの瞳さらに見開いて壬生を凝視すれば。壬生は微
かに笑みを浮かべ、そっと龍斗を引き寄せる。
「…愛している」
「───ッ!!」
 起き抜けの、頭の働かないときにその言葉は止めて欲しい。
 言葉の意味を理解した途端、龍斗の脳味噌は考えることを放棄した。
「そ〜は〜…。お願いだから、いきなりそういうこと言うのは止めて…」
 心臓に、悪い…
 困ったような嬉しいような声で名前を呼び、羞恥に壬生の胸に顔を埋めた。
「それは悪かった。だが…これは本当のことだ」
「…………」
 だから、それが心臓に悪いんだって。
 そう心の中でつぶやくと、龍斗は壬生の胸に額を押しつける。そしてうなじまで
真っ赤に染めると、小さな声でささやいた。
「俺も、霜葉のこと好きだから」
「龍…」
 心底驚いたような壬生の声。それにわずかに気をよくし、龍斗は目元を赤く染めた
ままにこりと笑んだ。
「霜葉、愛してるよ?」
 照れたように、それでも真っ直ぐ壬生を見つめれば。生き生きと輝く深緑の瞳に、
魅せられる。
「…お前は、いつも道を照らしてくれる」
 その、輝きで。
 月のように優しく。
 太陽のように暖かく。
 未来(あす)への道を、示してくれる。
「だから、俺は迷うことがない」
 生きることに。
 刀を振るうことに。
「愛している、龍斗」
 生きながらも死んでいる己(おれ)を、救ってくれたお前を。
「心から、愛している──」




1周年、おめでとう御座います☆ささやかながらの御祝いをさせていただきたく思い、捧げさせていただきますvv(日本語変)
いやー…久しぶりに壬生主を書いたら…何だかよく分からない話に(爆)
短い上、内容不明なもので本当にすみませんです(滝汗)
お納め下されば、幸いで御座います…。
えと、これからもどうぞがんばってください!次は2周年で(笑)



拙宅・一周年の言祝ぎと、ステキSSを有難う
ございます・・・ッ!!あああ幸せなのですッv
霜葉ったら・・・メロメロでございますね(悦)v
龍斗のお陰で前向きな彼ですが、きっと幸せに
してくれると・・・ふたりで幸せになるのを
確信しつつvvvはー・・・vvv
本当に、有難うございましたッ(愛)vvv