『体感温度』〜龍斗視点〜






 彼は、皆より少しだけ体温が低い。

「ッ、・・・・・」
 だから。
 素肌に触れる指先が、少しだけ。
 ほんの少しだけ冷たくて、小さく息を飲めば。
 見下ろす貌は、困惑したように。
 そして、離れていこうとする、指先。
 その、手を。
「や、・・・」
 逃げないように。
 掴んで、捕らえて。
 やはりまだ、困ったような表情の、その顔を。
 瞳を、真直ぐに見上げて。
「・・・・・触って」
 言えば。
 戸惑ったように、揺れる眼差し。
 逃げないように。
 見つめて、捕らえて。
「触って、・・・もっと、俺に触れて」
 胸元に、導いて。
 触れた手の平、それは。
 確かに、まだ少し冷たいけれども。
 知ってる。
 知っているよ。
 いつだって、この手も身体も。
 指先も唇も、全部。
 どうしようもないほど、熱くなる。
「・・・・・霜葉」
 呼べば。
 困ったように、だけど口元に微笑みをしいて。
 降りて来る、唇。
 ほんの少し、冷たいそれも。
 すぐに、ほら暖かくなって。
 熱く。
 熱く溶けて、混ざりあうから。
「龍、・・・お前は・・・・・」
 暖かいな、と。
 抱き締め、囁かれれば。
 それだけで、込み上げて来る熱に。
 触れて。
 感じて。
 伝えられたら。
「霜葉、も・・・・・」
 触れる、指に。
 唇に、素肌に確実に灯る、熱。
 分け合って、互いに。
 また、煽って。
 もう、こんなにも。
 熱くて。
「あ、つ・・・・・」
 下肢に感じる、その確かな熱は。
 霜葉の、ものだから。
「龍・・・・・」
 呼ばれて。
 返事の代わりに、腕を脚を絡め、強請れば。
 指先より、もっと。
 熱を帯びた、彼自身を。
 もっと、深く。
 身体の、深いところまで。
 入り込んで来る、それが。
 愛おしくて、ただ泣きながら喘ぎながら。
 抱き締める、全て。
 この、熱を。
 全部、自分のものにしたくて。
 自分だけに、与えて欲しくて。
 浅ましく、貪欲なまでに、きつく。
「熱いよ、・・・霜葉」
 打ち込まれた楔を、かき抱く。
 その熱に、内側からトロトロと溶けていきそう。
 穿たれ、突き込まれ、揺さぶられて。
「龍、・・・龍・・・」
 呼ぶ声が嬉しくて、また涙が零れる。
 それを優しく拭う舌も、熱くて。
 繋がりあった部分も。
「ッャ・・・・・ん、・・・ッ」
 一番、深いところ。
 弾け、注ぎ込まれる熱が。
 ゆっくりと、内を支配する。

 これ、は。
 俺だけの、もの。
 俺しか、知らない。
 冷たくて、熱い。
 霜葉の。

「・・・・・もっと」

 全てが。
 欲しくて、また。
 暗闇の中、手を伸ばす。
 いつまでも、この熱が此処にと。
 祈り、願いながら。





龍斗視点。
ひーたん自身が霜葉の熱を煽るモノ(悦)v
でもって、霜葉の冷たさも熱さも、全部
知っているのは、ひーたんだけでv
全部、ひーたんのモノv
そして、互いの熱はふたりだけのモノv