『初歩』



 どうにも、彼は。
 これまでとは、勝手が違う。


「俺も、お前が好きだよ・・・・・們天丸」
 半ば。
 玉砕覚悟で。
 自分でも、どうなのかと思う程に初々しく頬など染めて。
 告白を、してみたら。
 拍子抜けする程、あっさりと。
 受け入れられ。
「ほ、ほんまに・・・?」
 驚いて。
 でも。
 嬉しくて。
 本当に、嬉しくて。
 頬を抓ったら、痛いのは。
 夢ではないという、ことで。
 こんな子供じみた、ことまでしてしまう程に。
 どうにもこうにも。
 彼、が。
 彼、に。
 そんな們天丸の様子に、柔らかい笑みを浮かべ。
「本当に・・・好きだよ」
 はっきりと、告げてくるから。
「・・・ッ龍斗はん・・・・・ッ」
 込み上げて来る、熱いものを。
 抑え切れずに、目の前のしなやかな肢体を。
 かき抱こうとした、手は。
 スルリと。
 宙を。
「な、ん・・・・・で」
「何をしてる」
 一歩、下がって。
 抱き締め損ねた姿勢のまま、固まる様を。
 不思議そうに、見遣るのに。
「何、って・・・そんなん、あんさんをこう、ガバーッと
して、ほんでブチューッと」
「・・・・・どうして」
 どうして、って。
 たった今、告白を受け入れ。
 自分も好きだと、微笑みかけたばかりで。
 そうくれば、抱き合い熱い口付けを交わすなんて、ことは。
 至極、当たり前だと。
 思うのに。
「ええやん、チュウさせてェな、龍斗はん」
 想いを打ち明けあった、仲だというのに。
 この、そっけなさは何故なのだと。
 縋る、思いで。
 にじり寄れば。
「まだ、早い」
「・・・・・は?」
 サラリと。
 真面目な、顔をして。
「物事には、順序というものがあるだろう」
「・・・・・え、と・・・」
「そうだな、まずは・・・・・」
 小首をかしげる。
 そんな様も、可愛くて。
 もう一度、ガバリといきたいのを、堪えつつ。
 ゆっくりと歩み寄る龍斗を、じっと眺めれば。
「こんな、ところかな」
「・・・・・へ、ッ?」
 スッと。
 差し出された手が。
 們天丸のそれを、そっと握って。
 そのまま。
 歩き出そうとするのに。
「ちょ、・・・・・待ってや、龍斗はん」
「何だ、嫌なのか?」
 振り返り、仰ぎ見る瞳に。
 微かに哀しげな色が過るのを、ブンブンと勢い良く首を振って
否定して。
「そうやない、けど・・・・・これって・・・」
「恋仲になったら、・・・手を繋いで歩くものじゃないか?」
 そう。
 そういうことも、有りなのだけど。
 だけど。
「せやけど、これも・・・・・嬉しいんやけど、わいとしては、
こう・・・もっと別のトコをやなぁ・・・ピチーッとベターッと
くっつけさして貰いたいなー、と」
「何?」
「ナニ、って・・・・・」
 アレとか、ソレとか。
 澄んだ瞳に、見つめられて。
 あからさまな、単語は。
 やはり、口にするのは躊躇われて。
「・・・・・しゃあない、かなー・・・」
「們天丸?」
「ちょこっとずつ、イこか・・・」
 握った、手を。
 ギュッと。
 握り返し。
 力を。
 想いを、込めて。
「こういうのも、新鮮やし」
 今までとは、違う。
 というより。
 今までと、同じであるわけは、ないのだ。
 だって。
 これは。
「・・・・・内緒、やけどな」
 多分。
 初めての。
 『恋』、というもので。
 だから、今まで経験してきた色事のアレコレなんて。
 通用、しないのだ。
 今のうちは、とりあえず。
「明日は、ガバーッてしても、ええ?」
「・・・・・そうだな」
 ちょっと、ずつ。
 急ぐ事も。
 焦る、必要なんて。
 ないから。

 この、可愛い恋人と。
 共に。
 まずは、手を繋いで。
 それから。
 それから。



もんちゃん、青い春真っ盛り(爽笑)!!
初々し過ぎて、書いてて倒れそうになりつつ
・・・・・でも、もんちゃんにとって、
ひーたんは特別なのです(力説)!!今までのように
いかなくて当然なのです!!うほー。
童貞と処女のようなふたり(待て待て待て)は
高瀬なす嬢に捧ぐvvv本、頑張ってね(エール)♪