真実の、言葉



よく晴れた、ある日の如月骨董品店にて。
「ながれー、いるー?」
「やぁ。いらっしゃい、よく来たね。今日は何の用事だ?」
 龍斗の呼ぶ声に、主である奈涸が顔を出す。無愛想と評判の奈涸にしてはにこやか
な笑顔で、けれど龍斗は見慣れているのか、何の反応も示さなかった。
「暇だったから遊びに来ただけ」
 迷惑だった?と少しばかりばつが悪そうに問えば、奈涸が笑みのまま緩く首を振っ
た。
「いや、そんなことはない。…君さえ良ければ、倉の整理を手伝って欲しいのだ
が…」
「倉の整理?良いよ、時間あるし」
 にっこりと笑ってうなずく龍斗に奈涸もほっと息を付く。けれど、次に出てきた龍
斗の言葉に、思わず表情を崩した。
「かわりにさ。甘いのが食べたいな。餡蜜(あんみつ)、おごってくれるなら幾らで
も手伝うよ?」
「…フッ。餡蜜くらい、いくらでもあげよう。そうだな、貰い物だが水饅頭もある。
それでどうだ?」
「やった!それじゃ、早くやろう?」
 パタパタとかけていく龍斗に奈涸は苦笑し、その後をゆっくりと追う。そして中庭
にある古い建物の鍵を開けると、扉を押し開けた。
「うわ…。いっぱいあるんだなぁ」
「古いものになると、ざっと100年は経っているよ」
 物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回す龍斗。それに緩い笑みを浮かべ、奈涸は
龍斗共に倉の中へと入った。
 倉の中は思っていたよりも暗く。扉を開け放していてもなお、薄暗かった。
「そうだな…。龍君は奥のものをこちら側へ運び出してくれるか?俺はこっちで品物
の整理をしているから」
「了解♪」
 
 そうして、二刻後。
「おわったー!!」
 かなり乱雑に置かれていた木箱は、全てきちんと並べられ。無造作に置かれていた
壺も戸棚にしまわれている。
「ふわー、疲れた…」
 首やら肩を回せば、ゴキゴキと骨の鳴る音が酷い。龍斗は自分の骨の音に苦笑し、
まだなにか真剣に見ている奈涸の元へと歩み寄った。
「奈涸、もう少しかかりそう?」
「いや…。これで終わりだ」
 そう龍斗に告げると、手に持っていた絵皿を丁寧に箱にしまう。そして立ち上がる
と、クスリと笑みを漏らして龍斗に顔を近づけた。
「な、奈涸??」
 思わず仰け反る龍斗に詰め寄り、ペロリと口端を嘗めれば。
「ッ!!??」
 訳が分からずに目を見開く龍斗の顔が、一気に赤く染まった。
「汚れていたよ」
「……汚れだったら自分でとれる!!ってか、何で嘗め取るわけ!?」
 真っ赤な顔でがうがう言う龍斗は、どこか犬のように見える。それが可笑しくて思
わず吹き出せば、龍斗が怒ったように奈涸をにらみつけた。
「なーがーれー?」
「ははは…あまり君が犬みたいに見えてね。…これで、許してくれるか?」
 そういって、ニヤリと悪戯な笑みを浮かべ。くいっと龍斗の顎をつかみ持ち上げる
と、いきなり唇を合わせた。
「んんーーーーーっ!?」
 突然のことに上手く対応できず、焦って口を開いたのが龍斗の敗因。開いた龍斗の
口内にするりと舌を滑らせ、ゆっくりと愛撫を始める。
「ん…ッ、ふ、ぁ…」
 見開いていた目を徐々に閉じ、知らず知らずのうちに求めるように腕を絡めて。緩
い愛撫に焦れたように深く口づければ、奈涸が貪るように龍斗を求める。
「はぁ…」
 溜息をつくように龍斗が息を付き、名残惜しそうに唇を離した。二人の間に銀糸が
残り、それは龍斗の顎を伝って服を濡らす。
「龍斗…」
 奈涸が呼び捨てするときは。決まって、自分を求めるとき。
「…ここで…?」
「布団の上でじっくりしてもらいたいというなら、それでも構わないが?」
 クツクツとからかうように言えば、龍斗が一瞬の沈黙の後帯に手をかけた。そして
恥もためらいもなく全て脱ぎ去ると、自ら求めるように奈涸にしなだれかかる。
「奈涸…。…愛して?」
「…幾らでも」

 ぴちゃり、ぴちゃりと濡れた音が響く。猫が水を飲むような、けれど全く異なる
音。もっと淫欲に溢れ、聞くものの神経を熱くさせるような、淫らな音。
「んッ…ふ…ぁ、んぅ…」
 手近な箱の上に腰掛けた奈涸の足下に跪き、龍斗が一心にソレを嘗める。甘い飴を
無心になめる子供のように、深く銜え込んでは舌を絡め、きつく吸い上げて。
「…龍斗…」
 恍惚感に包まれながら、時々焦れたように龍斗の髪を梳く。しかし、優しく髪を撫
でるのもすぐに止まり、その手は背筋を伝って丸い双丘に掛かった。
「やぁッ!なが、れ…ッ、出来な…から…」
 ツプリと埋め込まれた長い指が蠢くたびに、感じる快感。慣らされた奥で、果ての
ない悦びは龍斗の神経を容易く乱れさせる。
「ああッ…ァ…ン、ふっ」
 柳眉を寄せて快感をこらえるその貌はあまりに扇情的で。疼く身体で、それでも奉
仕を続ける龍斗の唇から、唾液と奈涸の先走りが溢れる。
「や…ぁ…ッ、んっ」
 いつの間にか拓く指が三本になり。それをきつく締め付けた途端、弄られてもいな
い前から勢いよく密があふれ出す。ぺたりと座り込む龍斗の中から指が抜け出て。奈
涸はゆるりと笑むと、龍斗顎をつかんだ、
「龍斗、もう少し続けられるか?」
 口調は頼むように。けれど、込められた強さは命令。
「あ…ん、出来る」
 怒られるのをおそれる子供のようにおどおどとうなずくと、再び熱いそれを口に含
んだ。
「んぅ…っあ、…ん…」
 目を半ば閉じるように伏せ、指と舌で丁寧に奉仕すれば。奈涸のソレが、ひときわ
大きくなる。
「───ッ!?」
 このまま飲もうと大きく口を開けた途端、ソレが引き抜かれ、気付いたときには顔
になま暖かいものがかけられる。かけられたものが奈涸の欲望だと気づき、龍斗は流
れ落ちるソレを拭い取って、無心に口に運んだ。
「…奈涸…」
 顔にかかったものがだいぶとれ、それでも髪に頬に残る白い液体。それに気付かな
いまま、龍斗が奈涸の名を呼べばゆっくりと立ち上がった奈涸が龍斗を抱き上げる。
「龍斗」
 柔らかな笑みを浮かべ、顔に残る飛沫を舌で拭い取って。そのまま赤子を抱くよう
に抱えたまま、再び箱の上に座る。
「力を抜いていろ」
 奈涸に言われたとおり、ゆっくりと呼吸を繰り返して力を抜けば。徐々に押し入っ
てくる熱いモノ。痛みは感じず、痺れるような快感だけだが、訪れる。
「ああぁぁ──ッ!!」
 掠れた嬌声をあげ、龍斗が全て飲み込み。きつい締め付けに、奈涸が目を細める。
「…動くぞ」
 一言短く告げるが早いか、律動を開始する奈涸。最初はゆっくりといたわるよう
に、けれどそれもすぐに早く激しいものへと変わる。
「ひっ、アッ、あっ…なが…れぇ…」
 甘えるように名前を呼んで、首に腕を絡め。口付けをねだれば、絡みついてくる
舌。
「んぅ…ふっ…ああ…」
「ッ、龍、斗…」
 龍斗の腰をつかみ、己の上に落とすように幾度も注挿を繰り返し。
「ふっ…あ、ああんっ…ン、ッアっ!」
「…愛している」
 ぐちゃぐちゃの頭にささやかれる言葉は、真実。
「誰よりも、愛している」
 真摯な声は、嘘偽り無くて。
「ン、俺も…好きッ…ぁ…奈涸…愛…ッて、る…」
 啼きながら告げれば、最奥を抉られる。そのまま一番深いところで奈涸の熱を感
じ、それを追うように龍斗もはじけた。

 そのまま意識を失って。
 けれど暖かな闇の中で聞いた言葉は、真実。
 愛していると。
 君だけが、愛おしいと──


30000hit、おめでとう御座います☆遅ればせながら御祝いで御座いますvv…
30000hitの御祝いと、リンクの御礼も兼ねさせてくださいませ(滝汗)
ヘタレ奈涸主ですが(汗)霞月様にハメさせていただいたので(笑)捧げさせていた
だきますvちょいと(?)犯罪ですが、受け取っていただければ幸いで御座います♪
もちろん返品、ゴミ箱行きも可です…(汗)
これからもどぞがんばってくださいませ!それから末永くよろしくお願いしますです
vv(迷惑)

ああああ有難うございます・・・ッ(愛)!!30000打の言祝ぎと、更にステキSSまで
頂戴してしまいまして・・・嬉しいですvv奈涸主・・・しかも、裏(強調・笑)!!!!
こういう人ですよね・・奈涸さん(悦)vvvや、綾月さんがハマって下さって本当に
幸せでございますー・・・うくく(微笑)。こちらこそ、今後とも宜しくお願い致しますv