『いつか来る日の』




「やっぱり、・・・何ていうかさ」
「・・・・・」
「・・・澳継は、ちっちゃいから『澳継』・・・って感じが
するんだよね・・・うん」
「・・・・・おい」
「俺より大きくなった澳継って、何か想像出来・・・ッ」
「今の状況、分かってんのかよッテメエ !!」
 抉るように突き込まれる衝撃に言葉を詰まらせ。
 仰け反る龍斗の白い喉があらわになって。
 誘われるように。憤りをぶつけるように、薄い皮膚に歯を
立ててやれば、溜め息ともつかぬ掠れた声が零れて。
「・・・・・ッ痛い、よ・・・澳継」
 恨めしに見上げて来る瞳は、熱っぽく潤んでいて。
 それだけで。
 その瞳に見つめられるだけで、熱くなる。
 身体も。心も。全部。
「・・・・・くそ、ッ」
 制御出来ない、熱。
 感情。
 身体、だって。
「あ、ッ・・・ん、ッ澳継・・・、あァ・・・」
 暗い、部屋。
 障子越しの月明りだけの。
 それでも、闇に慣れた目に。
 酷く鮮やかに映る、白いしなやかな肢体。
 それを、今。
 組み敷いて。
 貫いている、自分。
「分かって・・・んのかよ、・・・ッ」
 脚を大きく開かせて。
 その間に身を押し進め、激しく打ち付ければ。
 不安定に持ち上げられた脚が。
 揺れて。
 揺れて、風祭の腰に絡み付く。
「分かっ・・・てる、よ・・・ッあ・・・、んッ」
 律動に合わせ嬌声を漏らしながらも、何処か余裕ありげに、
ゆるりと弧を描く紅い唇が、どうにも憎らしくて。
 噛み付くように、塞いで。
 深く、探るように忍び込ませた舌でもって。
 敏感な上顎を舐め、瞬間きつくなる締め付けに、強く射精を
促されながらも、それを紛らすように柔らかい舌を捉え、吸い
絡め取って。
 龍斗もそれに応え、ひとしきり。
 互いに、貪るように。
「・・・・・巧く、なったよ・・・ね」
「ッ・・・・・」
 ゆるやかな動きで腰を打ち付けながら、首筋に伝う唾液を
追うように、舌で丹念に舐め取り、そのまま首筋にも口付け、
朱印を刻めば。
 くすぐったげに、吐息を漏らしながら、頭をかき抱くように
して、囁くのに。
「な、ッ・・・・・」
「最初は、歯がぶつかって血は出るし・・・・・ああ、血が出た
のは、下も」
「だ、黙れ・・・ッ」
 耳まで赤くなったのが、暗闇の中でもはっきり見て取れて。
 それを、誤魔化すかのように、また。
 腰に絡んでいた龍斗の脚を、高く抱え上げて。
 極限まで張り詰めた欲の塊を、奥へ奥へと激しく突き込んで
くるのに。
「澳、継・・・ッや、あァ・・・も、ぉ・・・ッ」
 そうすれば、もう。
 若い熱情に、ただ翻弄されて。
 思うまま揺さぶられ、しがみつけるものを求めて、腕を回した
背は、まだ大人になりきらない、少年の薄いもので。
 睨み付けるように龍斗を見下ろして来る貌は、確かに幼さを
残しながらも、強い眼差しの中、揺れる情欲の炎は。
 貫く熱塊の勢いは、雄の猛々しさで。
「・・・・・想像、出来ない・・・」
「ッうるさい、黙れ・・・ッ」
 欲に掠れた声。
 変声期前の高い、それも。
 きっともうすぐ、大人の男の色へと変わっていくのだろう。
 背も伸びて、逞しくなって。
 それを。
 見続けていく事が出来るのだろうか。
「・・・・・ッ澳、継・・・」
「く、ッ・・・・・」
 押し殺した、声。
 のしかかる身体がブルリと震え、身体の奥と外で弾けた熱が
下肢をゆっくりと支配していく。
 重なりあう熱い素肌が、気持ち良くて。
 泣きたい、くらいに。
「澳継・・・・・」
 髪を撫で、囁けば。
 首筋に埋めていた顔を上げ、何処か照れたように。それを隠す
ようにか、怒ったようなそんな複雑な表情で見下ろして来て。
「・・・・・また、そんな目・・・しやがって」
 風祭が、いつも言うところの『そんな目』というのが、龍斗
には未だよく分からないのだけれど。
 性急に降りて来る唇を、受け止めて。
 またゆっくりと勃ちあがる若い熱情を、かき抱いて。
「・・・・・早く」
 呟きにも似た声で、強請ったのは。
 行為の続きだったのか。
 それとも。

 風祭にも。
 龍斗自身にも。
 分からない、まま。

 繰り返される、夜。




若いって、素晴らしい・・・(何)。
何かこう、一生懸命に腰動かしてそうなカンジが
可愛らしく(微妙にオトナな感想だね・・・)vvv
『目殺し』ひーたんに、すっかりハマってしまった
澳継くんですが、私も大きくなった彼というのが
想像出来ませんのです・・・はい(笑)。