『今』



 来世では、とか。
 来世でも、とか。

 そんな言葉で、未来を縛らないで。

 今、は。
 今しか、ないんだから。

 何を、しているの。
 ぐすぐずしている暇なんて、ない。
 さあ、今すぐ。
 此処に、来て。
 ほら。
 分かってる、はずだよ。

 今、ここにいる、俺。
 今、ここにいる、お前。
 それ、だけ。
 それしか、ないんだから。
 後にも先にも。
 それだけ、なんだから。

 迷わないで。
 手を伸ばして。
 知ってる、はずだよ。

 好きだ、と。
 お前が囁いたのは、今此処にいる、俺にで。
 好きだ、と。
 俺が告げたのは、今此処にいる、お前にで。

 例えば、ね。
 生まれ変わりだとか。
 そういうのが、あったとして。
 でも、でもそれは。
 今、の俺じゃない。
 今、のお前じゃない。
 だから。
 このままで、いい。
 遠い未来の、約束なんて要らない。
 生きている、今。
 俺が俺で、お前がお前である、今。
 ほら。
 余所見なんて、出来ないだろう。

 だから。
 これ、は。
 この念珠は。
 お前だけが、持っていて。
 誰にも、渡さないで。
 伝えたり、しないで。
 俺が持つ、これと。
 引き合うのは。
 俺が、引き寄せられるのは。
 お前だけ、なんだから。

 もしも、ね。
 生まれ変わることが、あったとして。
 それでも。
 こんなもの、なくてもね。
 言霊で、縛ってしまわなくてもね。
 引き合うのは、互いの内に在るもの。
 囚われない、心。
 身体。
 囚われるのだとすれば。
 それは、その時。
 目の前にいる、ものに。

 分かったら、さあ。
 手を伸ばして。
 触れて。
 抱き締めて。
 今。
 ここにいる、俺を。
 呼んでいる、から。
 お前、を。
 ずっとずっと、呼び続けているから。
 ここに、いるよ。
 離れないよ。
 離さないよ。
 だから。

 覚悟。
 して。




一応、ひーたんの言う「お前」は
各々の好みのお相手で(微笑)v
来世で、念珠を受け継いで巡り会うのも
悦なのですが、でも「今」のひーたんは
「今」の誰かと、ひとつがいで(つがいって)v
「未来」のひーたんは、何にも囚われずに
「未来」の誰かを好きになるのですv