【嘘つきなカラダ】


 好きなヒトとじゃないとイけないなんて。

 そんなの、嘘。



「・・ッあ・・」
 漏れる、声も。
「ここ・・悦い・・?」
 触れられて。
握り込まれて、その器用な手の動きのまま。
ゆっくりと煽られて、もう既に濡れて勃ちあがっているソレも。
「ん・・ッ」
 聞かれなくても。
分かってる。分かり過ぎるくらいに。

 こんなに、感じてる。

 分かってる。分かっているのに。

「・・あ・あァ・・ッ」

 弾ける、瞬間。
よぎるのは、違う貌。

 ここにはいない、誰かの顔。
 
 ねえ、教えてよ。
どうしてこんなに、キモチイイの?

 オマエジャナイノニ

「・・いく、よ」

 押さえきれない欲に少し掠れた、声色も。

 そろりと、後ろに忍び込んだ少し冷たい指先も。

「・・う・・」
「・・痛い・・?」
 額に優しく、宥めるように与えられるくちづけも。
「ち・がう・・」

 違うのに。

「力・・抜いて」

 名残惜し気に引き抜かれる、指。
 一瞬の喪失感の後。
そこに。ゆっくりと、でも狭い内壁の抵抗を押し切るように、強く。
 奥まで、埋め込まれて。
ゾクリと背中を駆け上がる、それは。
きっと疑いようもなく。

「熱・・いよ」
「君の・・中も、ね」

 ズルリと。退いてはまた、穿たれる。
何度も何度も。やがて、リズムと角度を変えられて。
「あ・・ッアア・・んッ・・」
 揺さぶられて、追い詰められて。絶えまなくこぼれる、濡れた声。
 熱い欲の固まりを、突き立てられて。銜え込んで。
「・・ッ・・こんなに、締め付け・・て」
 淫らだね、と。その言葉にまた、煽られるように。
「い・・や・あッああ・・んッ」
 否定しても、それはやはり疑いようもなく、むしろ。

 もっと、と。ねだるように。追い縋るように絡み付く粘膜。

 ホラ、コンナニ、カンジテル

 激しく揺れる視界の中。
手を伸ばして掴んだのは、サラリと指の隙間を擦り抜けるような、綺麗な黒髪。

 違う、手触り。違う、色。

「あ・あ・・アッ・ん・・ふ・・」
 震える手で、それでも強く引き寄せると、困ったように微笑んで。
「好きだよ・・君が、好きだ」
 吐息も、甘く囁く声も。深く重ねられた唇も。
 舌を絡ませながら、その間も深く俺の内を侵し続ける、熱い楔の。
 その、カタチも。

 触れあう肌の匂いも、温度も。なにもかも。
 違うのに。こんなにも、違うのに、ね。

「・・龍麻」

 呼ばれて。
応えたい名前も。

「・・き・・」

 違う、ヒト。
分かっているのに。

 ドウシテ、コンナニ、カンジルノ


 教えて、よ。

 オマエジャナイ、ノニ


「・・ち・・」

 どうして嘘をつくの。
 どうして、ココロを裏切るの。


 お前のコトだけ、感じていたい、のに。
 

 


龍麻の相手・・名前は敢えて表記してませんが
多分皆様の予想通りなのではないかと(笑)。
一応、裏・・のつもりで書いたのですけど
・・微妙ですね(苦笑)。まあ、これ以上カマしたら
裏なのよ、という基準と言うことに
してくれたらしいです・・済まぬ、霞月ちゃん!!

by 日下部貢