『ダ・カ・ラ』
自覚がないわけじゃない。
隠しているつもりもない。
でも。
だけど。
知られてしまうのは、少しだけ。
「・・・・・龍、麻」
囁くように、名を呼ばれる。
触れて来る唇も、声も熱く濡れているようで。
それだけで、身体が震えてしまう。
「ふ、・・・ッそんな、に・・・締め付けないで」
「・・・や、・・・違・・・・・ッ」
無意識の所作を指摘されて。
その言葉に、欲に掠れた声に。
そして、微かに眉間に寄せられた皺に、自分が彼に
与えている快楽の深さを思うと、またどうしようもなく
熱を帯びて溶けそうになる、身体。
繋ぎ止めるのは、打ち込まれた彼の欲の証。
既に内で一度果てたそれは、すぐにまた龍麻を一杯に
充たして。濡れた音を立てて、互いを追い上げる。
「ん、ッ・・・あァ、・・・・・くれ、は・・・」
「・・・・・ふふ」
揺さぶられて、唯1つの楔だけで繋がっている身体が
どうにも心もとなくて。見下ろす顔に手を伸ばし、汗の
伝う頬に触れ。そして、口付けを強請るように首筋に
腕を回して引き寄せれば。
「本当に、・・・気持ち良さそうな顔を、する・・・ね
・・・君は」
唇が重なる、寸前。
切れ長の目を、更に細めて。
そんなことを、言ってくるものだから。
「・・・・・ッ」
何だか、悔しくて。
抗議の意味を込めて、その薄い唇に噛み付くように、
軽く歯を立ててやる。微かな痛みに、壬生は一瞬眉を顰め
身を引きかけて。
だけどすぐに、その唇にゆるりと笑みを敷いて、目の前。
極至近距離、睨み付けてくる、潤んだ瞳。その長い睫毛を
掠めるように、目元に口付けて。そこを舐め上げれは、微か
に涙の味がする。
「・・・可愛いことを、するね・・・龍麻」
「紅葉、・・・・・ッ」
微笑って。
その柔らかい笑顔のまま、またグ、と突き上げて。既に
熟知している龍麻の弱いところを、寸分の互いもなく攻め
立ててやれば。また零れる、透明な快楽の雫を波打つシーツ
に落ちる前に、舌先で掬い取って。
「・・・・・本当の、ことだよ・・・」
濡れた淫猥な音を覆い隠すように。身を屈め、その耳元。
吐息と共に囁きかける。
「いつも、・・・僕の腕の中で・・・君は、本当に気持ち
良さそうに、・・・淫らに・・・ねぇ、龍麻・・・」
「ふ、・・・んァ・・・ああ、ッ・・・や、・・・・・」
敏感な肉壁を擦る、熱く昂ったものに。そして耳に絡み
付くような言葉に、内と外から犯されて。
感じる、それは。
紛れもなく、快感であって。
気持ち良いと、感じてしまう。
それは、ごまかしようのない事実であって。
「そ、・・・だよ・・・・・ッ」
激しい突き上げに、どうしようもなく喘ぎ、吐息を乱され
ながら。どうにか言葉を紡ぎつつ、縋った広い背に龍麻は
仕返しのように爪を立てる。
「気持ち、・・・良いよ・・・・・凄く、・・・だから、
お前とするんだ、よ・・・・・ッ紅葉」
「・・・・・」
感じているのだと。
その告白に、だがしかし壬生は立てられた爪が裂いた皮膚
の痛みにも、表情を動かすことなく。
「は、・・・ああァ・・・・・ッや、あ・・・ッあァ」
ギリギリまで引きかけた腰を、一気に。
突き込み、最奥を抉るように更に激しく、深く龍麻を攻め
悲鳴のような嬌声を上げさせる。
「く、れは・・・ッ待っ・・・・・ん、ッ・・・ふ・・・ッ」
「・・・・・訂正、して」
乱れる龍麻とは裏腹に、奇妙な程冷静に、それでも行為は
激しいままに、壬生は静かに言葉を落とす。
「違う、だろう・・・気持ち良いから、僕と・・・なんて、
・・・・・そうじゃない、だろう・・・・・」
「な、・・・に・・・ッく、・・・・・あ、ァ・・・ッ」
「ちゃんと、・・・言って」
うまく言葉の告げぬ唇を、ねっとりと舐め上げて。
掴んだ腰を高く抱え上げ、しなやかな肢体を折り曲げるよう
にして、己を深く突き刺したまま。
快楽の波に飲まれ、焦点の定まらない潤んだ瞳を覗き込み。
低く。
だけど、確かな響きで。
「僕とするから・・・気持ち良い、んだろう・・・?」
「・・・・・ッな、・・・」
「違う、なんて・・・・・言わせないよ、龍麻」
真直ぐに、射抜く強い眼差し。
捕らえられて。
思わず、身を震わせたのは。
それは、身の内を貫いた、熱い衝撃。
込み上げる、激しい熱情も。
快楽も。
愛おしさも、全て。
「・・・・・紅葉、だから・・・・・」
だから。
こんなにも。
「そう、・・・・・僕、だから・・・」
汗も、吐息も、鼓動も、体温も。
甘く、狂おしく。
「そして、君だから・・・僕は、こんなにも・・・・・」
熱い、身体。
言葉、全部。
「・・・・・えへへ」
何だか、くすぐったくて。
笑えば、目の前の堅かった表情も和らいで。
「分かったら、・・・・・続き、しよう」
「も、紅葉は・・・・・ッ、・・・ん・・・・・」
今度は、ゆっくりと。
寄せる波のように、揺られるように。
行き来する熱に、静かに充たされていく。
「・・・あ、ッ・・・・・も、っと・・・さっきみたい、に
激しく、しても・・・・・ッいい、よ・・・」
ゆるゆると追い上げられる熱に、もどかしげに。頬を少し
赤く染めて強請れば。
「でも、始めっからそれじゃ、・・・・・最後まで持たない
・・・だろう?」
「・・・・・まだ、序盤なんだ・・・」
確かに、夜が明けるまでは時間はたくさんあるけれども。
このままでは、きっと朝まで眠らせては貰えないだろうと、
こっそりと溜め息をつけば。
柔らかく耳を噛んでいた唇から、微かに笑う気配。
「・・・・・覚悟、してて」
覚悟、なんて。
きっと、ずっと、前から。
「・・・・・手は抜くなよ」
「ふふ、・・・そんな余裕、僕にはないって教えてあげるよ」
初めて触れた、時から。
初めて触れられた、時から。
分かって、いたこと。
彼でなければ。
分かっているから。
隠していたわけじゃないから。
少し、悔しくて。
少し、照れくさいけれど。
同じ、気持ちで。
重ねた、身体で。
繋がっている、からね。
壬生ーーーーーーッ(何)!!!!!!
ああああ・・・この絶倫野郎め・・・ッ(地団駄)!!
ナニやら、自信家な壬生なのですが(笑)、結局は
お互いメロメロなのです・・・くぅ!!←悔しいのか
まあでも、好きな人とだから気持ち良いってコトでv
微妙なニュアンスの違いv
この甘々且つ絶倫(笑)な壬生主・裏SSは、記念すべき
カウンター・キリ番32908を踏んで下さった、
弘樹さんへvvv愛やらナニやら込めつつ捧ぐvvv