義恋ーGIREN-の晶山嵐子さんが当サイト開設二周年記念のお祝いに、とカリシャダSSをプレゼントして下さいました。
彼ら二人とも右手の薬指に同じ指輪をしていますが、その指輪をモチーフに書いて頂いた物です。
後日このSSには絵を付けさせて頂くつもりですが、まずは皆様にも読んで頂きたく先にアップすることにいたしました。
嵐子さん、いつも素敵なお話を有り難うございますv!


「シャダ……シャダ……」
 カリムが私の名前を囁きながら私に口付けてくる。
 綺麗な黒い瞳で私を見つめて、太い屈強な指先で私の体を探って来る。
 
 はじめてカリムを誘ったのは私。
 神官として当然前から知ってたけど。彼はどうだっただろう。
 六神官になるまで私のこと知らなかったんじゃ無いかな。
 彼はいっつも一人で本を読んでた。かと思えばナイルを泳いでいたり、砂漠を走っていたり。
 まだ下級神官の時、身分を偽って神殿建立の人夫として入ってたりした。
 今、私達が、ファラオが祈祷しているこの神殿だ。
 新ファラオ、アテム様のために建てられた神殿。
 当然、毎日じゃないけど。
 体を鍛える意味もあっただろうけど。
 彼の、新ファラオに対する忠誠の証。
 誰も知らないのに。
 ただひとり、彼だけがこの神殿で祈祷する中で彼だけが、この神殿を建てた一人。
 そんなこと何も言わない。
 彼は言わない。
 腰布一枚で、裸足で、まるで苦行のようにただ、ファラオのことを思って柱を、床石を運んだ彼。
 涙が出たのは……どうしてだろう。
 何も望まない彼。
 ただ、奉仕するだけが歓びの、彼。

「カリム……」
 彼の名を呼ぶ。
 私のくちびる。
「シャダ……」
 彼が口付けてくれる。
 私のくちびる。
 彼を抱き締める。
 彼が……私を求めてくれる。
 熱い……彼が私の中に……動く。
 ぞくぞくする。
 熱い。
 抱き締められて。口付けられて。
 うがたれて……
「シャダ…………シャダぁ……」
 彼が私を呼ぶ。
 ファラオしか見ない瞳で私を見る。
 綺麗。
 神官のものとは思えない程太い指。堅い腕。鍛えられた躰。
 ファラオに危機が及んだら、何も考えずに盾になるだろう、そのために鍛えている、この躰。
 きっと君は…………私より先に死ぬね。
 カリム。
 ファラオのために、死ぬね。
 私なんか見もせずにファラオの盾になって……
 死ぬね。
 けど。
 今は、私のもの。
 私だけのもの。
「シャダ……」
 浮かされたように私を呼んでくれる声。
 綺麗。

「これ、つけててね」
 カリムに指輪を渡した。
 最高級の象牙の指輪。
「裏にね、私の名前が彫ってあるんだよ。
 こっちには君の名前が彫ってある」
 指輪の裏の刻印を彼に見せる。
「私の名前は君の指に。
 君の名前は私の指に」
 
 ちゃんと調べておいたから、ほら……ちゃんと君の右手の薬指にぴったり。
 装飾品にあまり興味のない君には、この価値は判らないだろう?
 本当は不変の黄金で作りたかったけど。
 君、すぐに壊してしまいそうだから。
 不変で……いたいけど。
 そこまでは望めないから。
 だって君は……ファラオのものだから。

「シャダ……」
 優しく私の名を囁いてくれるカリム。
 無表情だけど、きっと、歓んでくれてるんだよね?
 彼の手首をそっと握ったらすごくどきどきしてた。かわいい。
 二人で右手をかざして指輪を眺める。
 どきどきする。
 どうしてだろう。
 指輪を付け替えることなんて珍しく無いのに。
 同じ象牙で作った指輪。
 一番綺麗な部分を切り出して、名前を刻んだ指輪。

「ね? これだとあまり派手じゃ無いから、君でもつけてられるでしょ?」
 無表情のカリム。全然わかんない。
 けど、はずそうとして無いんだから、いいんだよね?
 カリムが私を見てる。
 指輪じゃ無くて、私を見てる。
 あ、キスしてくれる。
 そ、と顔をあげるとくちびるが重なって。
 熱い。
 灼い……
「ありがとう……シャダ。大事にする」
 彼が囁いてくれた。
「ん。私も大事にするよ」
 湿ったシーツに押し倒される。
 指輪をはめたカリムの指が私を辿る。
 どこもかしこも痺れたままなのに……
「シャダ……」
 彼の声が私の耳を、体をもっと痺れさせる。
 アイシテルよ。カリム。
 アイシテル。

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晶山嵐子
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